児童ポルノ製造

 

児童ポルノ法の「児童」とは

児童ポルノ法の「児童」とは18歳未満の男女をいいます。実在していることが要件です。そのためアニメのキャラクターなど架空の児童は児童ポルノ法の児童には該当しません。

 

児童ポルノとは

児童ポルノとは、次の3つの姿態のいずれかを視覚により認識することができる方法により描写したものです。

 

①性交または性交類似行為(口淫・手淫など)をしている児童の姿態

②性器等(性器・肛門・乳首)を触られている児童の姿態or他人の性器等を触っている児童の姿態

③衣服の全部または一部をつけない児童の姿態

 

ただし、②と③については次の要件を満たした場合のみ児童ポルノに該当します。

②…一般人の性欲を刺激する姿態であること

③…ことさらに児童の性的な部位が露出・強調された姿態であること+一般人の性欲を刺激する姿態であること

 

児童ポルノ製造とは

動画撮影などの方法により児童ポルノを作成することをいいます。第三者に提供する目的がある場合、既に存在する児童ポルノの画像等をコピーする行為も「製造」に該当しますが、第三者への提供目的がない場合、コピーだけでは「製造」したことにはならないとされています。

  

児童ポルノ製造と児童らの同意

撮影対象の児童やその親の同意があっても児童ポルノ製造罪は成立します。本人や親の同意があってもその児童の尊厳が害され、児童を性的行為の対象とする風潮を助長するおそれがあることは変わらないためです。

 

児童ポルノ製造-よくある5つのケース

①児童の裸を撮影したケース

児童ポルノ製造罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)が成立します。

 

【具体例】

モデル撮影といって女子中学生の裸を撮影した

 

②児童に裸の写真を自撮りさせメールやライン等で送信させたケース

児童ポルノ製造罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)が成立します。

 

【具体例】

女子中学生に自らの裸体を撮影させて自分のスマートフォンに送信させた

 

③児童を脅迫して裸の写真を送信させたケース

児童に裸の写真を送信させた行為について、児童ポルノ製造罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)が成立します。また、児童を脅迫して義務のないことを行なわせた点について強要罪(3年以下の懲役)が成立します。

 

2つの犯罪は併合罪となり、最高刑は懲役3年の1.5倍である懲役4年6月になります。

 

【具体例】

裸の写真を送らないと家に押しかけるといってラインで送信させたケース

 

④お金を払って児童と性行為をしながら、その場面を携帯電話で撮影したケース

お金を払って児童と性交した点について、児童買春罪(5年以下の懲役または300万円以下の罰金)が成立します。また、性行為の場面を撮影した点について、児童ポルノ製造罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)が成立します。

 

2つの犯罪は併合罪となり、最高刑は重い児童買春の最高刑を1.5倍した懲役7年6月となります。

 

*教師などが児童に対する影響力を利用して児童と性行為をした場合は、児童買春罪ではなく児童福祉法違反(10年以下の懲役・300万円以下の罰金。)が成立します。

 

*金銭など対価の授受がない場合は、児童買春罪ではなく淫行条例違反(東京都の場合2年以下の懲役または100万円以下の罰金)が成立します。

 

*13歳未満の児童と性行為をした場合、同意の有無にかかわらず強制性交等罪(懲役5年~20年)が成立します。

 

⑤児童の裸を盗撮したケース

盗撮による児童ポルノ製造罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)が成立します。

 

【具体例】

銭湯の男湯で女児の裸を盗撮した

 

児童ポルノ製造-なぜばれる?

児童ポルノ製造が発覚するきっかけとしては以下の3つが考えられます

 

①児童買春など別の犯罪で押収されたスマートフォンやPCから児童ポルノ製造の証拠が見つかる

②子供のスマートフォンを見た親が警察に被害相談

③補導された児童から押収したスマートフォンから被疑者とのやりとりが発覚

 

*盗撮による児童ポルノ製造では現行犯逮捕もよくあります。

 

児童ポルノ製造の刑事弁護

児童ポルノの製造が処罰されている理由は、それが児童に対する性的な搾取であり、また、いったんインターネット等を通じて画像が流通してしまうと、児童の心身に回復困難なダメージを与えうるからです。

 

そこで、被害児童が特定されているケースでは、弁護士を通じて、児童のご両親に対して、児童の画像については全て捜査機関に提出していることや、インターネット等に流出させていないこと等を説明し、適切な再発防止策を盛りこんだ示談を締結することが重要です。

 

被害児童が特定されていない場合は、贖罪寄付(しょくざいきふ)をしたり、専門の治療期間に通院し、寄付の領収証や受診証明書などの証拠資料を検察官に提出します。

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。