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準強制性交等で逮捕される可能性について弁護士が解説
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
準強制性交等で逮捕されるかは被害申告のタイミングによる
準強制性交等のケースでは、警察への通報が早ければ早いほど、逮捕の可能性は高まります。
準強制性交等の被害者は、睡眠薬を飲まされ熟睡していたり、飲酒により泥酔しているときに姦淫されたケースが多いです。このようなケースでは、被害者は心神喪失になり、正常な判断能力を失っているので、被害者の供述には高度の信用性は認められません。
そのため、準強制性交等の捜査においては、被害者の供述以外の客観的な証拠を集めることが重要になります。
客観的な証拠の例としては、被害者の尿や膣分泌液が挙げられます。被害者の尿を鑑定することにより、睡眠薬成分の有無や酩酊の度合いがわかりますし、膣分泌液から被疑者のDNAが検出されれば、被疑者が性交したことを立証できます。
これらの客観的な証拠を収集するためには、迅速な初動捜査が肝心です。迅速な初動捜査をするためには、事件発生直後に被害者が警察に申告している必要があります。
2,3日たってから警察に行っても、尿から睡眠薬の成分やアルコールが検出される可能性は低くなります。また、一度膣を洗浄していれば膣分泌液から犯人のDNAが検出される可能性も低くなります。
そのため、時間がたってから警察に申告しても、客観的証拠の収集が困難になり、警察が被害届を受理しないことが多くなります。したがって逮捕される可能性も低くなります。
準強制性交等と逮捕の可能性-被害者にパートナーがいる場合
準強制性交等のケースでは、被害者が既婚者であったり、交際している男性がいるときは、たとえ警察に相談に行ったとしてもその場で被害届を提出せず、結果として、加害者が逮捕されないことがよくあります。
よくある準強制性交等は次のようなケースです。
飲み屋で知り合った男性客と女性客が意気投合し、一緒にお酒を飲んでいた。そのうち女性が酔いつぶれてしまった。泥酔して意識がもうろうとしている女性を男性がホテルに連れ込み姦淫した。 |
このケースの特徴は次の2つです。
①犯行前の時点で、被害者と加害者との間にある程度親密な関係が築かれている
②犯行前の時点で、被害者は加害者と二人きりの状況におかれている
被害者に配偶者や交際している男性がいれば、上記の①や②をパートナーに知られたくないという思いを抱くのが通常です。
上のケースで、被害者は、意識がもうろうとしている状態でホテルに連れ込まれているので、ホテルに行ったこと自体について過失があるとはいえないでしょう。また、初対面の男性と一緒にお酒を飲んだことについても、落ち度があるとまではいえないでしょう。
しかし、たとえ落ち度はないとしても、これらのことを自分のパートナーに知られたくないと思うのは自然な心情です。そのような場合、大事にはしたくないと考え、すぐに被害届を提出しないことがあります。そのような状況で、警察が加害者を逮捕することはありません。
このようなケースでは、被害届が提出される前に、弁護士が被害者と交渉して示談が成立すれば、刑事事件化することはなく事件が終了することになります。
加害者側が誠意をもって対応しなければ、被害者も意を決してパートナーに事件について話した上で警察に被害届を提出することもあります。
できるだけ早く弁護士を選任して、被害者と示談交渉をした方がよいでしょう。
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