【刑事裁判】検察側の証拠を手に入れる方法

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

検察側の証拠をいつ見れるのか

裁判所は公判前に証拠を見れない

刑事裁判では、検察官が被告人が有罪であることを証明する責任があります。有罪であることを証明できなければ、無罪判決が下されます。刑事裁判では、事実の認定は証拠に基づいて行われますので、まずは立証責任を負っている検察官が証拠を準備し、裁判所にその取調べを請求します。

 

証拠の取調べは公判期日に行われます。検察官が証拠の取調べを請求すると、裁判所は弁護士の意見を求めます。裁判所は、弁護士の意見を聴いた上で、証拠の取調べを実施するかどうかを決めます。

 

先入観を排除するため、裁判所は公判前に検察側の証拠を見ることができません。公判で証拠調べ決定をしてはじめて証拠を見ることができるようになります。

 

弁護士は公判前に証拠を見ることができる

これに対して、弁護士は公判前に検察側の証拠を見ることができます。事前に証拠を見ることができなければ、効果的な弁護活動をすることができないですし、弁護士が検察官の証拠調べ請求に対して、適切な意見を言えないためです。

 

検察側の証拠を手に入れるまでの流れ

検察側の証拠が弁護士に開示されるタイミングは、起訴されてからおおむね3週間後になります。証拠の準備が整うと、検察事務官から弁護士に「開示の準備が整いました。」と電話が入ります。

 

凶器などの証拠物は、弁護士が検察庁の庁舎内で閲覧することができます。通常、写真撮影も許可されます。

 

供述調書などの証拠書類は、検察庁の庁舎内で、閲覧したり、コピーすることができます。東京地方検察庁では、庁舎内の謄写センターに有料でコピーを依頼することもできます。他の検察庁でも、司法協会や弁護士会、出入りの業者を通じて、証拠書類のコピーを依頼することができます。

 

コピー機を使って1枚1枚コピーしていると時間がかかってしまいますので、私選弁護士であれば、コピーを依頼するのが通常です。国選弁護士であれば費用を節約するために1枚1枚コピーする方もいます。

【検察側の証拠をコピーするまでの流れ】

7月1日

起訴

7月20日

検察事務官から弁護士へ電話連絡

7月21日

弁護士が謄写センターにコピーを依頼

7月23日

弁護士が謄写センターでコピーを取得

 

検察側の証拠を手に入れた後の流れ

弁護士が検察側証拠のコピーを手に入れた後は、被告人にも見てもらい、記憶と違っているところはないか検討してもらいます。

 

被告人の検討結果に基づき、弁護士が証拠意見書を作成し、公判期日に裁判所に提出します。事前に検察官にも提出しておきます。検察官は、弁護士の証拠意見書を見た上で、公判期日で証拠調べ請求を維持するのか、撤回するのかを検討します。

 

検察側の証拠と弁護士費用

証拠のコピー費用は事件によって様々です。単純な事件であれば数千円~1,2万円程度ですが、事件によってはコピー代だけで10万円以上かかることもあります。コピー代については、法律事務所によっては弁護士費用に最初から含まれている場合もありますし、「実費」として別途請求される場合もあります。

 

ウェルネス法律事務所では、原則としてコピー費用も弁護士費用に含まれていますが、高額になる場合は依頼者にご負担いただくこともあります。