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常習的脅迫とは?逮捕や執行猶予について弁護士が解説
ガーシーこと東谷義和氏に対して常習的脅迫の容疑で逮捕状が発付されました。このページでは、常習的脅迫の要件や逮捕・執行猶予の可能性、示談等について弁護士 楠 洋一郎が解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
目次
常習的脅迫とは
常習的脅迫とは、常習として一定の罪を犯した者が他人を脅迫したときに成立する犯罪です。
常習的脅迫は「暴力行為等処罰ニ関スル法律」で定められています。そのため、常習的脅迫の正式な犯罪名は「暴力行為等処罰ニ関スル法律違反」となりますが、以下では「常習的脅迫」または「常習的脅迫罪」と表記します。
【暴力行為等処罰ニ関スル法律】
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常習的脅迫罪の罰則は懲役3か月から5年です。通常の脅迫罪(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)よりもかなり重くなっています。
そもそも脅迫とは
常習的脅迫罪が成立するためには、問題となっている行為について脅迫罪が成立していることが前提になります。
脅迫罪は、被害者やその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に害悪を与えることを告げて、被害者を怖がらせたときに成立します。
常習的脅迫の「常習」とは
常習的脅迫の「常習」とは、「粗暴な行動に出る習癖」のことです。そのような習癖の発現として脅迫事件を起こしたときには、その脅迫事件について常習的脅迫罪が成立します。
「粗暴な行動に出る習癖」の「粗暴な行動」とは、脅迫だけを意味するのではありません。
暴力行為処罰法違反には、「常習トシテ刑法第二百四条(傷害罪)、第二百八条(暴行罪)、第二百二十二条(脅迫罪)又ハ第二百六十一条(器物損壊罪)ノ罪ヲ犯シタル者」がさらに暴行罪、脅迫罪、器物損壊罪を犯した場合に、懲役3か月から5年に処すると定めています。
そのため、「粗暴な行動」とは、脅迫だけではなく、傷害・暴行・器物損壊も含みます。
例えば、脅迫の前科が全くなかったとしても、暴行や傷害の前科が多数ある人が脅迫事件を起こした場合は、粗暴な行動に出る習癖が認められ、常習的脅迫罪が成立する可能性が高くなります。
常習的脅迫のよくあるケース
1.近隣トラブルのケース
近隣トラブルのケースでは、加害者に粗暴な傾向があったりメンタルに問題がある場合、隣人に対する暴言がエスカレートして脅迫になってしまうことがあります。
近隣トラブルの事案では、お互い隣人同士で日常的に接する機会が多いため、脅迫が常習化しやすいといえるでしょう。
被害者は、警察に相談するため、加害者の発言をICレコーダー等で録音していることが多いです。確実な証拠があれば、常習的脅迫事件として立件されやすくなります。
2.加害者が暴力団等に所属しているケース
加害者が暴力団などの反社会集団に所属している(していた)場合、相手を1回脅迫しただけでも、常習的脅迫として立件されやすくなります。
常習的脅迫の「常習」を認定する際には、暴行・傷害・脅迫・器物損壊の前科が考慮されます。反社会集団に所属している(していた)方は、これらの粗暴犯の前科が複数ある方が多いです。
現に問題になっている脅迫が1回であっても、粗暴犯の前科が多数あると、粗暴な習癖の発現として今回の脅迫に及んだと判断され、常習的脅迫として立件されやすくなります。
常習的脅迫で逮捕される?
通常の脅迫罪で逮捕される確率は60%です(2021年検察統計年報)。
脅迫をした人の60%が逮捕されるというわけではなく、「警察に被害届が提出され脅迫事件の被疑者として扱われた人の60%が逮捕されている」という意味です。
常習的脅迫の逮捕率は公表されていませんが、通常の脅迫罪より刑罰が重くなっているので、逮捕される確率も60%を相当に上回っていると思われます。
常習的脅迫で勾留される?
刑事事件の身柄拘束は、逮捕→勾留という2つのステップで進みます。逮捕は最長でも3日しかできませんが、勾留されれば原則10日、勾留が延長されればさらに10日の限度で拘束が続きます。
通常の脅迫罪で勾留される確率は90%です(2021年検察統計年報)。常習的脅迫は通常の脅迫よりも刑罰が重いため、勾留される確率は90%を相当に上回っていると思われます。
常習的脅迫で起訴される?
検察官は最長20日の勾留期間内に被疑者を起訴するか釈放するかを必ず決めなければなりません。
初犯の方の場合は、被害者との間で示談が成立すれば、釈放され不起訴になる可能性が高いです。逆に被害者との間で示談が成立しなければ、常習的脅迫で起訴される可能性が高くなります。
起訴されればその後も勾留が続きますが、保釈請求をして許可されれば、保釈金を納付することを条件として釈放されます。
常習的脅迫は執行猶予?実刑?
1.初犯の方の場合
常習的脅迫で起訴されても、前科・前歴がなければ執行猶予がつく可能性が高いです。
常習的脅迫は懲役刑しかない重大犯罪ではありますが、実際に人の生命・身体に危害を加えたわけではないので、初犯の方がいきなり実刑になる可能性は低いです。
2.前科がある方の場合
反社会集団の(元)メンバーで多数の前科がある方の場合、実刑になる可能性が高くなります。執行猶予を獲得するためには是非とも被害者との間で示談を成立させたいところです。
常習的脅迫の弁護活動-被害者と示談をする
常習的脅迫で最も重要な弁護活動は、被害者との間で示談をすることです。常習的脅迫の被害者は、加害者に対して恐怖感を抱いており関わりたくないと考えている方が多いです。
弁護士が間に入れば、被害者としても加害者と直接やり取りする必要がなくなるため、示談交渉に入りやすくなります。
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