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仮釈放とは?仮釈放につながる3つのポイント等を弁護士が解説

仮釈放

 

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

 

仮釈放とは

仮釈放とは、懲役・禁錮の実刑判決を受け刑務所に収容されている方について、刑期が満了する前に、条件付きで釈放する制度です。

 

 

仮釈放の制度があることによって、受刑者は希望をもって刑務所内で生活することができますし、刑が終了する前から社会の中で暮らし始めることにより、スムーズな社会復帰が可能となります。

 

 

仮釈放が認められるためには一定の要件があります。仮釈放された後も、再犯をしたり守るべきルールに違反すると、仮釈放が取り消されることがあります。

 

 

このページでは、仮釈放の要件や流れ、仮釈放になるためのポイント、仮釈放の取消し等について弁護士が解説しています。

 

仮釈放の要件

仮釈放の要件は次の2つです(刑法28条)。

 

【要件1】 改悛の状があるとき

 

【要件2】 刑期の3分の1(無期刑については10年)が経過したとき

 

 

【要件1について】

「改悛の状があるとき」とは具体的には次の5つの事情に該当することです。

 

①悔悟の情が認められること

②改善更生の意欲が認められること

③再犯のおそれがないと認められること

④保護観察に付することが改善更生のために相当であると認められること

⑤社会の感情が仮釈放を是認すると認められること

 

根拠:犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則28条

 

 

受刑者本人の状況だけではなく、社会一般の感情も考慮されますので、事件当時大きく報道された事件については仮釈放が厳しくなるといえるでしょう。

 

【要件2について】

有期刑の仮釈放は、刑期の3分の1が経過した後でなければ許可されません。「刑期」には未決勾留日数は含まれません。<判決で言い渡された刑期-未決勾留日数>の3分の1が経過する必要があります。

 

 

短期間で仮釈放が許可されると、刑事裁判で実刑判決にした意味がなくなってしまうからです。

 

 

無期刑の場合は、未決勾留日数にかかわらず、服役してから10年が経過していないと仮釈放が許可されません。

 

 

無期刑の方が仮釈放されるまでの平均在所期間は37年6か月です(法務省の資料:無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況について)

 

 

仮釈放の割合

受刑者のうち仮釈放された方の割合は60%で推移しています(保護統計年報)。女性だけでみると、例年70%前後の方が仮釈放されています。

 

 

女性の方が仮釈放される割合が高いのは、殺人・強盗などの重大犯罪や仮釈放が難しいとされる性犯罪で服役する方が少ないためです。

 

仮釈放の期間

仮釈放される期間については、刑期全体の2割未満となるケースが約80%、2割以上となるケースが約20%です(保護統計年報)。

 

 

言い方を変えると、刑期が2割以上短くなるのは、仮釈放された方のおおむね5人に1人ということです。

 

 

強制退去が予定されている外国人受刑者については、刑期を20%以上残した状態で仮釈放されすぐに強制退去になることが多いです。

 

仮釈放の申請

仮釈放にするか否かを決めるのは、刑務所ではなく、全国に8か所にある「地方更生保護委員会」という組織です。

 

 

地方更生保護委員会は、刑務所長からの申請を受けて、対象者について仮釈放するか否かについて審理を始めます。

 

 

地方更生保護委員会が独自に仮釈放について審理することもできますが、そのようなケースはほとんどありません。

 

 

そのため、仮釈放されるためには、刑務所長の申請があることが必要になります。なお、受刑者自身に仮釈放を申請する権利はありません。

 

 

仮釈放の審理

仮釈放の審理は地方更生保護委員会の委員3名による合議で行われます。委員の1人が対象者と面接し、発言内容や態度等を審理の参考にします。その他、以下の事項を調査し、審理の参考にします。

 

 

①犯罪の内容、動機及び原因並びにこれらについての対象者の認識及び心情

②共犯者の状況

③被害者等の状況

④審理対象者の性格、経歴、心身の状況、家庭環境及び交友関係

⑤矯正施設における処遇の経過及び審理対象者の生活態度

⑥帰住予定地の生活環境

⑦引受人等の状況

⑧釈放後の生活の計画

⑨その他審理のために必要な事項

 

 

仮釈放を早めに実現するためのポイント

1.身元引受人を確保する

社会復帰後に同居してくれる身元引受人がいないと仮釈放が難しくなります。身元引受人の候補として考えられるのは親や配偶者です。

 

 

日ごろから手紙を通じて緊密にコミュニケーションをとっておくと、仮釈放の審査の際に有利に考慮されやすくなります。

 

 

2.刑務所内での行状に注意する

模範囚であれば仮釈放されやすくなりますが、他の受刑者とケンカして懲罰を受けると仮釈放が遠のいてしまいます。

 

 

刑務所内でのトラブルは人間関係に起因することが多いため、他の受刑者との関係に注意し、挑発されても受け流すことが大切です。

 

 

3.事前に示談や被害弁償をする

仮釈放について審理される際、示談や被害弁償についても考慮されます。仮に実刑がやむをえない状況であっても、判決までに可能な限り示談や被害弁償をしておけば、早めに仮釈放されやすくなります。

 

仮釈放の流れ

有期の懲役・禁錮の受刑者が仮釈放されるまでの流れは次のとおりです。

 

1.刑務所での審査

刑務所において、地方更生保護委員会に対して仮釈放を申請すべきか否かについての審査が行われます。最初の審査は、刑期の3分の1が終了するまでの間に実施され、その後の審査は、少なくとも6か月ごとに行われます。

 

 

2.刑務所長からの申出

刑務所で審査した結果、仮釈放の要件を満たすと判断されると、刑務所長が地方更生保護委員会に対して仮釈放を許すべき旨の申出を行います。

 

 

3.地方更生保護委員会の審理

刑務所長からの申出を受けて、地方更生保護委員会によって仮釈放を許すか否かに関する審理が行われます。

 

 

対象者は保護観察官による予備面接(仮面)を受け、仮釈放の意思があること等を確認されます。受刑者は、予備面接の呼出しを受けることにより、はじめて自身について仮釈放の審理が進められていることを知ります。

 

 

予備面接の後、地方更生保護委員会の委員による本面接を受けることになります。

 

 

4.地方更生保護委員会の決定

仮釈放を許す場合は、地方更生保護委員会が許可の決定を下し、釈放すべき日と仮釈放後に居住すべき住所を指定します。結果は、地方更生保護委員会から刑務所長に通知されます。

 

 

仮処分が許可されなかった場合は、不服を申し立てることはできません。

 

 

5.仮釈放

仮釈放の1~2週間前になると、仮釈放予定者のための準備寮に移されます。テレビが視聴できるようになる等、一般の受刑者に比べ制限が緩くなります。仮釈放の当日は仮釈放式が開かれ、迎えに来た身元引受人と合流します。

 

 

仮釈放後の制限

仮釈放された後は必ず保護観察に付されます。保護観察とは、保護観察官と保護司が対象者を指導・監督することにより、地域社会の中で更生を促す制度です。

 

 

保護観察官は常勤の国家公務員で、保護観察の全体的な計画を立てたり、保護司にアドバイスをする存在です。保護司は地域のボランティアです。仮釈放されると、保護司と定期的に面談し、生活状況等を報告する必要があります。

 

 

保護観察に付されると守るべきルールが定められます。このルールには保護観察中の誰もが守るべき一般遵守事項とケースに応じて個別に定められる特別遵守事項の2つがあります。

 

 

【一般遵守事項の例】

健全な生活態度を保持すること

保護観察官や保護司の呼出し又は訪問を受けたときは、これに応じ、面接を受けること

 

 

【特別遵守事項の例】

共犯者に接触・連絡しないこと

薬物の更生プログラムを受けること

 

仮釈放の取消し

仮釈放が取り消される場合として以下の4つのケースがあります。

 

 

①仮釈放中に罪を犯し、罰金以上の刑に処せられたとき。

②仮釈放前に犯した他の罪について罰金以上の刑に処せられたとき。

③仮釈放前に他の罪について罰金以上の刑に処せられた者に対し、その刑の執行をすべきとき

④仮釈放中に遵守すべき事項を遵守しなかったとき

 

実務で多いのは①と④のケースです。

 

 

仮釈放が取り消されると仮釈放中の日数は1日も刑期に算入されません。そのため、仮釈放された日から刑期満了日までの日数分服役することになります。

 

 

仮釈放が取り消されやすいのは、薬物依存、性依存、クレプトマニアの方です。仮釈放されたものの、スムーズに社会に復帰できず、ストレスを抱えた状態で再犯をしてしまう方が少なくありません。

 

 

仮釈放されたら保護司と緊密にコミュニケーションを取り、再犯防止プログラム等に積極的に参加するようにしましょう。