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クレプトマニア(窃盗症)について弁護士が解説

 クレプトマニアについて

 

☑ 万引きがやめられない。

☑ どうして盗んだのか自分でもわからない。

☑ また妻が万引きで逮捕された。このままでは家庭が崩壊してしまう。

 

 

もしこのようなことで悩んでいれば、ご本人はクレプトマニアという病気にかかっている可能性があります。

 

 

「頭では『してはいけない』と理解しているのに、体と感情が別の働きをするような感覚になる」

 

 

このようなことを取り調べで警察官や検察官に言っても「言い訳してるんじゃない!」と怒られ、「何を言ってもわかってくれない」と絶望してしまう方もおられます。

 

 

クレプトマニアの方にとって必要なのは、刑罰ではなく社会の中で治療を受け更生することです。そして、そのような道筋をつけるのが弁護士の役割です。

 

 

このページでは弁護士 楠 洋一郎クレプトマニアについて知っておいた方がよいことをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

クレプトマニアとは

クレプトマニアとは、「とりたい」という衝動をコントロールすることができず、悪いとわかっていながら、盗みを繰り返してしまう精神障害のことです。「窃盗症」ともいいます。

 

 

「どうせ吐いてしまうものだから、お金を出して買いたくない。」

「盗らなければという気持ちが芽生え、抑えることができなかった」

「スーパーに行くと万引きしても絶対捕まらないという根拠のない自信が湧いてくる。」

 

 

これらはクレプトマニアにり患している方のことばです。一般的に女性は男性よりクレプトマニアになりやすいと言われています。

 

 

クレプトマニアの方は、ふだんは真面目に生活している主婦や会社員が多く、窃盗以外に反社会的行為がみられないのが通常です。クレプトマニアの特徴として、「なぜ盗みを繰り返すのか説明できないし自分でもわからない」という点が挙げられます。

 

 

窃盗の手口としては、大部分が万引きであり、被害金額も数百円から数千円にとどまることが多いです。

 

クレプトマニアの診断基準

5つの診断基準

精神医学の現場では、さまざまな精神疾患の診断基準としてDSMというマニュアルが利用されています。

 

 

DSMはアメリカの精神医学会が発表しているものですが、その最新版であるDSM-5には、クレプトマニアの診断基準として次の5つが挙げられています。

 

【クレプトマニアの5つの診断基準】

A

個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。

B

窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり

C

窃盗に及ぶときの快感、満足または解放感

D

その盗みは怒りまたは報復を表現するためのものではなく、妄想または幻覚への反応でもない。

E

その盗みは、素行症、躁病エピソード、または反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されない。

 

これらの特徴に該当すればクレプトマニアである可能性が高いです。

 

診断基準Aについて

DSM-5の診断基準Aによれば、とった物を個人的に使う目的や節約目的が少しでもあれば、この基準を満たさずクレプトマニアではないということになります。

 

 

弁護士がクレプトマニアの主張をすると、検察官は決まって診断基準Aを持ち出し、「被告人の行為はこの基準に該当しないためクレプトマニアではない。」と反論してきます。裁判所も同じ理屈でクレプトマニアに該当しないと判断することが多いです。

 

 

しかし、病的窃盗の事例では、自分が食べるために食料品を万引きするケースが多く、診断基準Aを厳格に適用すると、クレプトマニアに該当するケースはほとんどなくなってしまいます。

 

 

クレプトマニア治療の第一人者である赤城高原ホスピタルの竹村道夫医師も「診断基準Aは、窃盗の主たる動機が、その物品の用途や経済的価値でなく、衝動制御の問題にあるという意味に許容範囲を広く理解すべきである。」と述べています(BRAIN and NERVE第68巻第10号別刷)。

 

 

弁護士としても、診断基準Aの解釈について、医学的根拠に基づきしっかりと主張することが大切です。

 

クレプトマニアと摂食障害

クレプトマニアは、過食症や拒食症といった摂食障害を合併しているケースが多いです摂食障害にかかった後に、クレプトマニアになるのが通常ですが、両者の関連性についてはよくわかっていません。

 

 

クレプトマニアと摂食障害を合併している方には、物をどんどんため込んでいくという「ためこみ症状」がみられることも多いと言われています。

 

 

ウェルネスの弁護士が担当したケースでも、冷蔵庫の中に大量の食品が入っていたり、使わないのに同じ電化製品を何台も持っている方がいました。

 

クレプトマニアの治療

医療機関での治療

クレプトマニアは精神疾患ですから、本人の意思だけで克服することはできません。

 

 

裁判官の前で「もう二度と万引きしません」といって執行猶予判決が下されたにもかかわらず、1週間後に万引きをして再び逮捕されてしまうケースもあります。クレプトマニアを克服するためには、専門の医療機関に通院し継続的に治療を受ける必要があります。

 

 

関東圏でクレプトマニアの治療を手がけている医療機関を以下にまとめました。

 

名称

所在地

電話番号

赤城高原ホスピタル 

群馬県渋川市赤城町北赤城山1051

0279-56-8148

京橋メンタルクリニック

東京都中央区京橋1丁目2−4 YNビル8F

03-5203-1930

榎本クリニック

東京都豊島区西池袋1-2-5

03-3982-5321

ライフサポートクリニック

東京都豊島区要町3-11-1菊信第1ビル2.3.4階

03-3956-5555

大石クリニック

神奈川県横浜市中区弥生町4-41大石第一ビル

045-262-0014

 

赤城高原ホスピタルは入院治療がメインです。その他の医療機関は通院形式です。クレプトマニアの治療を手がけている医療機関はまだまだ少ないため、なかなか予約がとれないこともあるようです。

 

 

不起訴や執行猶予を目指すのであれば、処分が出るまでになるべく多く通院しておきたいところです。早めに医療機関に電話をして初診の予約をとった方がよいでしょう。

 

自助グループへの参加

自助グループとは、依存症で苦しんでいる人たちが定期的に集まり、ミーティング形式で、自らの体験や悩みを語り合いながら、更生をめざしていく団体です。

 

 

アルコール依存症や薬物依存症など依存症のタイプに応じて自助グループが存在します。クレプトマニアについても複数の自助グループが存在します。参加費用は無料か実費程度のことが多いです。ミーティングに参加するかどうかは本人の自由です。参加を強制されることはありません。

 

 

自助グループの参加者の中には、クレプトマニアによって家庭が崩壊し全てを失った方もいるでしょう。逆に、そのような状況から立派に更生して、社会で活躍している人もいるでしょう。

 

 

そのような方々と交流することによって、悩んでいるのは自分ひとりではないということを実感し、更生に向けて前向きな気持を持てるようになります。

 

【クレプトマニアの治療と刑務所】

性依存や薬物依存については刑務所の中で更生プログラムを受けることができます。これに対して、クレプトマニアについては、いくつかの刑務所で試験的に更生プログラムが実施されていますが、全国規模で導入されているわけではありません。

 

そのため、刑務所内でクレプトマニアの治療を受けることは困難です。弁護士としては、このような実情をふまえて窃盗症の治療を途切れさせないためにも、執行猶予を付けて社会内で更生させるのが妥当であると主張すべきです。

 

クレプトマニアと責任能力

責任能力の3つのレベル

責任能力は次の3つのレベルに分けられます。

①心神喪失

②心神耗弱

③完全責任能力

 

①心神喪失とは

心神喪失とは、精神の障害により、①善悪を区別する能力(弁識能力)または、②善悪の区別にしたがって自分の行動をコントロールする能力(制御能力)が欠けている状態のことです。刑事裁判で心神喪失と判断されると無罪になります。

 

 

②心神耗弱とは

心神耗弱とは、精神の障害により、①弁識能力または②制御能力のいずれかが著しく弱まっている状態をいいます。刑事裁判で心神耗弱と判断されると、無罪にはなりませんが、刑罰が必ず軽くなります。

 

 

③完全責任能力とは

完全責任能力とは心神喪失でも心神耗弱でもない状態です。このように完全責任能力は「~ではない状態」として消極的に定義されますので、完全責任能力であれば常に精神的に全く問題ないというわけではありません。

 

 

弁識能力や制御能力が「著しく」とまではいえないが「かなり」弱まっていると判断されれば、完全責任能力ではあるものの責任非難の程度が減少するとして、裁判官の裁量によって減刑されることがあります。

 

 

責任能力のレベルと刑罰との関係をまとめると次のようになります。

心神喪失

必ず無罪になる

心神耗弱

必ず減刑される

①でも②でもないが責任能力に問題あり

減刑されることがある

責任能力とは?無罪になる理由や精神鑑定の3つのタイプを解説

 

クレプトマニアは制御能力の障害

クレプトマニアの人は「万引きが悪い」ということはわかっていますが、「万引きしたい」という衝動をコントロールすることができません。つまり責任能力のうち弁識能力は正常だが制御能力に問題がある状態といえます。

 

刑事裁判で検察官がよく「被告人は盗んだ物をカバンの中に隠し入れており、犯行が見つからないよう合理的な行動をとっているから責任能力に問題はない。」等と主張してくることがありますが、クレプトマニアは弁識能力に障害はなく、「してはいけないことをしている」という認識はあるわけですから、犯行が見つからないように工夫するのは当然といえるでしょう。

 

クレプトマニアで無罪になる?減刑は?

クレプトマニアを理由として心神喪失で無罪になった裁判例はありません。心神耗弱が認められた裁判例もほとんどありません。

 

 

クレプトマニアだけではなく、認知症や摂食障害など他の疾患も合併している場合は、心神喪失や心神耗弱となる余地がありますが、クレプトマニアだけで心神喪失や心身耗弱と認められる可能性は低いです。

 

 

言い換えるとクレプトマニアであっても完全責任能力が認められる可能性が高いです。

 

 

しかし、完全責任能力は心神喪失と心身耗弱以外の全ての状態を含む幅の広い概念です。そのため、完全責任能力であっても心神耗弱に至らない程度に責任能力に問題ありと認定され、減刑されるケースは少なくありません。

 

 

具体的には、次のような「合理性に疑問を抱かせる状況」があると責任能力に問題ありと認定されやすくなります。

 

①とった食料品が自分用や家族用としてはあまりにも多い

②資産家でお金に全く困っていない

③いったん万引きした店舗に戻って同じ物を万引きしている

 

クレプトマニアと取調べ

クレプトマニアの方は、自分がどうして盗みをしたのか説明できないことが多いです。

 

 

とはいえ、取調官に対して「どうして盗んだのかわかりません。」と言っても、なかなか納得してくれません。取調官は、「買い物代を節約したかったので盗みました。」等とわかりやすいストーリーを供述調書に書きたがります。

 

 

もし取調官のプレッシャーに負けて、そのような調書を作ってしまうと、刑事裁判でクレプトマニアであることを主張しても、裁判官に納得してもらうことが難しくなります。「どうして万引きしたのか説明できません。」と取調官にはっきり述べることができるよう弁護士が本人をサポートします。

 

クレプトマニアと保釈

クレプトマニアで執行猶予を獲得するためには、窃盗症を克服するために、専門のクリニックに通院したり自助グループに参加することが必要です。

 

 

逮捕・勾留されている場合は、保釈されてからの動きだしになります。そのため、逮捕・勾留されたクレプトマニアの方が執行猶予を獲得するためには、保釈請求をして早期に身柄を釈放させることが必要になります。

 

 

証人威迫の可能性があると保釈が難しくなりますが、もし被告人が店舗の関係者を威迫すれば、店をあげて対応できるため、個人を被害者とする性犯罪等のケースと異なり、証人威迫の可能性は低いといえます。

 

 

また、クレプトマニアの方にとっては、窃盗症を克服するためにクリニックに通院したり、自助グループに参加することが是非とも必要です。

 

 

保釈請求をするにあたり、弁護士がこれらの点を強調すれば、クレプトマニアの方であっても起訴直後に保釈が許可される可能性が高いです。

保釈に強い弁護士

 

クレプトマニアと再度の執行猶予

執行猶予期間中に再び万引きをして起訴された場合は、原則として実刑判決になります。例外的に、①新たな窃盗が1年以下の懲役で、②情状に特に酌量すべきものがあり、③前の執行猶予に保護観察が付いていないときに限り、再度の執行猶予を獲得できる余地があります。

 

 

執行猶予中に万引きをして検挙されたら、早い段階から専門のクリニックへ通院したり、自助グループへ参加した方がよいでしょう。その上で、弁護士がご本人の取組みを証拠化していくことになります。

 

 

ウェルネスの弁護士は、ご本人が通院したり、自助グループに参加するたびに、ご本人に報告書を書いてもらい、診断書や領収証と一緒に、証拠として裁判所に提出しています。

 

 

クレプトマニアの弁護士を選ぶ3つのポイント

1.クレプトマニアの弁護経験が豊富な弁護士

クレプトマニアは窃盗罪の中のさらに細分化された分野になりますので、経験したことのある弁護士がほとんどいないのが現状です。

 

 

万引き(窃盗)は国選弁護でもっとも多いタイプの犯罪ですので、国選弁護をしたことがある弁護士であれば、窃盗の弁護はひととおり経験したことはあるでしょう。

 

 

ただ、国選弁護で扱う窃盗は「生活困窮型の万引き」であることが多く、クレプトマニアという観点から弁護することは非常に少ないです。そのため、私選で窃盗の弁護を数多く経験している弁護士から選んだ方がよいでしょう。

 

 

2.専門家と連携した活動が可能な弁護士

クレプトマニアは精神疾患であり、責任能力への影響を分析したり、更生プランを立てるためには医療や精神福士の専門家によるサポートが必要になります。

 

 

専門家に意見書を書いてもらったり、証人として法廷で証言してもらうこともあります。そのため、専門家と連携しながら弁護活動を進めていける弁護士を選ぶとよいでしょう。

 

 

ウェルネスでも専門家をご紹介することが可能です。

 

 

3.弁護士費用が高額になり過ぎない弁護士

クレプトマニアの弁護では専門のクリニックに通ってもらったり、専門家に協力してもらうことが多いです。

 

 

保険が適用されるクリニックであればそれほど費用はかかりませんが、専門家に意見書を作成してもらったり、法廷に出廷してもらう場合は、それなりの費用が発生します。

 

 

トータルの予算に限りがある場合は、費用が高額になり過ぎない弁護士を選ぶとよいでしょう。費用については弁護士事務所のホームページで比較してみてください。

 

 

ウェルネスは法テラス出身の弁護士が運営するリーズナブルな費用の法律事務所です。

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