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検察官の異動と刑事事件

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

検察官が異動する時期

検察官は公務員ですので、2、3年ごとに異動になります。異動の時期は3月末になることが最も多いです。4月10日付で異動になることも多いです。

 

異動前の検察官の傾向と弁護士が注意すべきこと

検察官が異動後に異動前の事件を引き続き受け持つことはありません。ただ、多くの検察官は、手がけている事件をなるべく異動前に片づけておきたいと考えます。そのため、異動前は通常よりもハイペースで事件を処理する傾向があります。

 

弁護士として注意する必要があるのは、「示談交渉の期間が短くなることが多い。」ということです。

 

被害者がいる事件では、示談の成否が処分の内容に大きく影響します。そのため、加害者が示談を希望していて、被害者も「話を聞いてもよい」というケースでは、検察官はすぐに処分を下すのではなく、しばらく猶予期間を設けて、示談についての結論が出てから、それを踏まえて処分を下します。

 

通常、検察官は、弁護士に3,4週間程度の猶予期間を与えてくれることが多いですが、異動前は1,2週間程度の期間しか与えてくれない検察官も少なくありません。そのため、弁護士としても、通常よりも迅速に交渉する必要があります。

 

もっとも、2,3日の猶予期間しか与えてくれないケースや、いきなり逮捕中在庁略式にしようとするケースでは、弁護士から担当検察官または刑事部長に抗議して処分の撤回を迫ることも考えられます。