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触法少年とは?犯罪少年との違いや年齢・事件の流れ・親の責任を解説


⚖️ この記事の作成者
弁護士 楠 洋一郎
(第二東京弁護士会所属 / 第39896号)
🏛️【事務所名:ウェルネス法律事務所】
刑事事件の弁護経験15年以上。これまで約3,000件の刑事事件を取り扱い、約100件の少年事件の実績があります。最新の法令に基づき解説しています。

触法少年とは?(年齢と責任能力)

触法少年の定義と、なぜ法律上犯罪にならないのかを解説します。

 

1.触法少年の年齢

触法少年(しょくほうしょうねん)とは、刑法などの刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の少年のことです。少年法上の用語であり、少女も含まれます。

【対象年齢の基準】 行為の時点で「14歳未満(13歳以下)」であることが要件です。中学生以下の年齢層がこれに該当します。

2.触法少年には責任能力がない

刑法第41条において「14歳に満たない者の行為は、罰しない」と規定されています。心身の発達が未熟な14歳未満の少年には責任能力がないとみなされるためです。

【刑法上の判断】 是非を弁別して行動をコントロールする能力が未成熟であるため、一律に刑事責任能力を否定し、処罰の対象から除外しています。

3.触法少年の行為は犯罪にならない

触法少年が人を傷つけたり物を盗んでも、責任能力がないため法律上の「犯罪」にはならず、警察に逮捕されることもありません。

※犯罪にならない=何もない、ではありません
逮捕や刑事罰はありませんが、放置されるわけではなく、少年の健全育成と再非行防止のために「警察の触法調査」や「児童相談所・家庭裁判所による保護手続き」を受けることになります。事案によっては少年院に収容されることもあります。

触法少年・犯罪少年・虞犯少年の違い【比較表】

少年法上の「非行少年」は、年齢や行為の態様に応じて「触法少年」「犯罪少年」「虞犯(ぐはん)少年」の3つに分類されます。

区分対象年齢行為の内容逮捕・刑事処分の有無主たる手続機関
触法少年
本記事
14歳未満刑罰法令に触れる行為をした逮捕不可・刑事罰なし警察 ➔ 児童相談所(福祉優先)⇢家庭裁判所
犯罪少年14歳以上20歳未満罪を犯した(犯罪成立)逮捕・勾留あり
※原則は保護処分。重大事件等で逆送された場合のみ刑事罰あり
警察・検察 ➔ 家庭裁判所
虞犯少年20歳未満
(18・19歳除外)
将来罪を犯すおそれがある逮捕不可・刑事罰なし児童相談所 または 家庭裁判所

触法少年と虞犯(ぐ犯)少年の違い

虞犯少年とは、法律に触れる行為を未だ行っていなくても、以下の4つの事由のいずれかに該当し、性格や環境に照らして将来罪を犯す危険性が高い少年のことを指します。

事由 イ 家庭内指導の限界
保護者の正当な監督に服しない性癖
【具体例】 親の注意を無視して暴言・暴力を振るう、門限破りや無断外泊を日常的に繰り返すなど。

事由 ロ 所在不明・家出
正当の理由がなく家庭に寄りつかない
【具体例】 理由もなく何日も家に帰らない、家出を繰り返して友人宅やネットカフェを転々としている状態。

事由 ハ 有害な交友・環境
不良交友・いかがわしい場所への出入
【具体例】 暴走族や不良グループ、反社会勢力と交際がある、深夜の繁華街や歓楽街を徘徊しているなど。

事由 ニ 自己・他人の害
自己又は他人の徳性を害する行為の性癖
【具体例】 薬物乱用・シンナー吸引、パパ活、立ちんぼなど

触法少年は「現実に刑罰法令に触れる行為をした少年」であるのに対し、虞犯少年は「将来行為をするおそれはあるが、現実に違反行為をしたわけではない少年」です。また、虞犯の対象が17歳以下(18・19歳は除外)であるのに対し、触法少年は14歳未満に限られます。

⇒虞犯(ぐ犯)とは?4つの要件と流れ・少年鑑別所や少年院の回避策

子どもが触法行為をした場合、親の責任・損害賠償はどうなる?

子どもが刑事罰を受けないとしても、親が無関係でいられるわけではありません。親が負う法的な責任について解説します。

 

1.親の監督義務者責任(民法714条)

14歳未満の触法少年が他人に損害を与えた場合、親が民事上の損害賠償責任を負うことになります。

民法714条 保護者が負う民事上の損害賠償義務

未成年者が自己の行為の責任を判断できない場合(概ね12歳前後が基準)、本人は不法行為責任を免れます(民法712条)。その代わりとして、監督義務者である親権者が被害者に対して生じた損害全額の賠償義務を負います。また、子どもに責任能力が認められる場合であっても、親の監督不行き届きが事故を招いたと認められれば、親自身が不法行為責任(民法709条)を問われます。

2.被害者への早期示談対応の重要性

怪我や物損を放置すると被害感情が激化し、児童相談所や家庭裁判所に厳しい処分を求められる決定的な要因となります。

弁護士を介した示談が処分の軽減に直結する理由
当事者の親同士では感情的な対立が生じやすく交渉が破綻しがちです。弁護士が間に入り、適正な金額で早期に示談(被害弁償と許しの獲得)をまとめることで、民事トラブルを解決するとともに、児童相談所での福祉的措置にとどめてもらうなどの有利な処遇につながります。

触法少年事件の流れ

触法少年事件は、警察から児童相談所、そして家庭裁判所へと進む独自の福祉手続きをとります。

 

1.触法少年事件の流れ-警察による触法調査

警察官が触法少年と思われる少年を発見し調査が必要と判断すると、事案の真相解明と少年の健全育成を目的に「触法調査」を開始します。

STEP 1 警察での聴取と強制捜査の限界

警察官は少年本人や保護者から事情聴取を行います。少年補導職員が担当することもあります。令状を得て家宅捜索や差押えを行うことはできますが、触法少年を逮捕することは法律上できません。

2.触法少年事件の流れ-児童相談所(長)への通告・送致

触法少年は心身ともに幼く福祉的なケアが適しているため、警察での調査が終了した少年や事件は児童相談所(長)へ引き継がれます。

STEP 2 「通告」と「送致」の違い

触法「少年」を児相に引き継ぐことを通告(保護者の監護が不適当な場合等)、触法「事件」を引き継ぐことを送致(故意の死亡事件、法定刑が死刑・無期・短期2年以上の拘禁刑にあたる重大事件、家裁の審判が相当な場合)といいます。

3.触法少年事件の流れ-児童相談所の調査と一時保護

事件が引き継がれると、児童福祉司や心理司が少年の成育歴や家庭環境を調査します。また、必要に応じて「一時保護」が行われます。

STEP 3 一時保護による事実上の身柄拘束

重大事件等では児相所長の判断で一時保護所へ収容されます。親権者の同意がなくても強制実施でき(最長2ヶ月・延長可)、近くに児相がない夜間などは警察署の保護室に委託収容されるケースもあります。

4.触法少年事件の流れ-児童相談所の福祉的措置

調査の結果、家庭裁判所に送致する必要がないと判断された場合は、児童福祉法に基づく福祉的措置がとられます。

児童相談所における主な福祉的措置の内容

  • 児童や保護者に訓戒を与え、誓約書を提出させる
  • 児童福祉司や児童委員に児童・保護者を指導させる
  • 児童家庭支援センターに指導を委託する
  • 児童を里親に委託する / 児童養護施設や児童自立支援施設へ入所させる

5.触法少年事件の流れ-家庭裁判所での処分

児童相談所の所長が「家庭裁判所の審判に付すべき」と判断した事件は家裁へ送致され、通常の少年事件と同様の手続きに進みます。

家庭裁判所での審判と少年院送致の年齢条件

送致当日に観護措置がとられ少年鑑別所に入れられることもあります(最長4週間)。家裁調査官の調査を経て少年審判が開かれ、不処分・保護観察・児童自立支援施設送致などの処分が下されます。

※少年院送致も法的に可能ですが、「特に必要と認める場合」に限られ、原則として「おおむね12歳以上」でなければ送致できません(少年法24条1項3号)。

触法少年事件で弁護士ができること

弁護士(付添人)が介入することで、手続きの各段階で不当な処分や長期の身柄拘束を防ぐ活動を展開できます。

 

1.不利な書面が作成されないようにする(警察段階)

触法少年は精神的に未熟であるため、警察官の強い口調や誘導に流され、事実と異なる不利な供述調書をとられてしまいがちです。

弁護士の対応

弁護士が速やかに少年に接見して取り調べのアドバイスを行い、違法・不当な調査を監視します。また、親による実効的な監督体制を警察に説き、児相へ引き継がれず警察署限りで調査を終了させるよう求めます。

2.一時保護の解除・家庭裁判所送致を阻止する(児童相談所段階)

児童相談所に事件が引き継がれた場合、一時保護(身柄拘束)の長期化や家庭裁判所への送致を防ぐことが最大の目標となります。

弁護士の対応

児童相談所長に対して一時保護の解除を求める意見書を提出し、早期帰宅を促します。また、家庭内での指導環境が整っていることを示し、少年院のリスクがある家庭裁判所へ送致せず「福祉的措置」に留めるよう意見します。

3.少年鑑別所への収容阻止と不処分・保護観察の獲得(家庭裁判所段階)

家庭裁判所に送致された場合、送致直後の少年鑑別所への収容(観護措置)を回避し、審判で寛大な処分を目指します。

弁護士の対応

裁判官面接や意見書提出により鑑別所収容を回避します。少年審判では、少年の内省が深まっていることや学校・家庭環境の調整プランを提示し、「不処分(処分なし)」や社会内で更生を図る「保護観察」の決定を求めます。

4.被害者との示談交渉と宥恕の獲得(被害者対応)

被害者がいる事件では、示談が成立しているかどうかが児童相談所や家庭裁判所の処分判断に決定的な影響を与えます。

弁護士の対応

保護者同士の直接交渉は感情的な対立を生みやすいため、弁護士が代理人となって冷静に示談交渉を進めます。適正な被害弁償を行い、被害者から「宥恕(寛大な処分を求める意思)」を取り付けることで処分を有利に導きます。

触法少年事件に強い弁護士とは?

触法少年の事件は一般の刑事弁護とは手続きが根本から異なるため、弁護士選びには以下の3つの基準が重要です。

弁護士選びの3大チェックポイント
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1.少年事件・児童福祉法の実務経験が豊富な弁護士
成人の刑事弁護しか扱っていない弁護士だと、児童相談所特有の調査実務や一時保護の対抗手段に精通していないリスクがあります。児相のケース会議や家裁調査官の実務を知り尽くした弁護士であれば、先々の流れを見据えたベストな活動を展開できます。
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2.動き出しが早い弁護士(初動のスピード対応)
触法少年は判断能力が未熟で、警察官の強い誘導に乗ってしまいがちです。一度不利な供述調書をとられると後から撤回することは極めて困難になります。警察官が一気に書面を作成してしまう前に、即座に少年のもとに駆けつけられる機動力が不可欠です。
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3.土日・祝日や夜間も活動している弁護士
触法事件で一時保護された場合、休日も関係なく調査が進んでいきます。また、被害者がいる事件では、仕事の都合上、示談交渉を土日に行わざるを得ない親御様も多数いらっしゃいます。平日・休日を問わず途切れのない弁護活動ができる事務所を選びましょう。

触法事件に関するよくある質問(FAQ)

触法少年の事件に関して、保護者の方から特によく寄せられる疑問について回答します。

 

Q1. 触法少年の行為で前科はつきますか?

A. 前科は一切つきません。

前科とは刑事裁判で有罪判決を受けた履歴を指します。触法少年は刑事責任を問われず刑事裁判が開かれないため、法律上の前科がつくことはありません。ただし、警察、児童相談所、家庭裁判所の内部記録(非行歴)としては保管されます。

Q2. 事件を起こしたことは学校に知られますか?

A. 原則として一律に通知されるわけではありませんが、連絡が入るケースはあります。

警察と教育委員会の間で「学校・警察相互連絡制度」が協定されている地域では、重大事案や他の児童・生徒に影響が及ぶおそれがある事案について情報共有がなされます。弁護士を通じて不必要な学校連絡を控えるよう申し入れることも可能です。

Q3. 一時保護された場合、親は面会できますか?

A. 親の面会は厳しく制限される傾向があります。

一時保護所では本人の精神的動揺の防止や事実関係の調査を優先するため、保護者であっても面会や連絡が断られるケースが少なくありません。一方、弁護士(付添人)であれば面会制限を受けずに直接接見することが認められており、少年の状況把握や不安のケアを迅速に行えます。

 

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