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虞犯(ぐ犯)少年とは?事件の流れや少年鑑別所・少年院の回避策を解説

虞犯(ぐ犯)とは?流れや対応の仕方を解説

⚖️ この記事の作成者
弁護士 楠 洋一郎
(第二東京弁護士会所属 / 第39896号)
🏛️【事務所名:ウェルネス法律事務所】
刑事事件の弁護経験15年以上。これまで約3,000件の刑事事件を取り扱い、約100件の少年事件の実績があります。最新の法令に基づき解説しています。

大人であれば、刑事裁判で有罪とならない限り刑務所に収容されることはありません。ところが、18歳未満の少年については、犯罪行為をしていないのに少年鑑別所や少年院に収容されてしまうことがあります。

 

これが虞犯(ぐ犯)のケースです。

 

このページでは、虞犯(ぐ犯)の要件や手続の流れ、少年鑑別所や少年院を回避するための弁護活動について弁護士 楠 洋一郎が解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

 

虞犯(ぐ犯)とは?定義と4つの要件

少年法上の虞犯(ぐ犯)とは、少年の性格や環境に照らして「将来、罪を犯しまたは刑罰法令に触れる行為をするおそれ(虞犯性)」がある状態をいいます。犯罪行為をしていない段階でも家庭裁判所の審判に付される点が大きな特徴です。

 

虞犯(ぐ犯)とは

 

少年法上、虞犯少年(ぐ犯少年)と判断されるには、以下の4つの虞犯事由のいずれかに該当し、かつ将来罪を犯すおそれ(虞犯性)が認められる必要があります。

虞犯(ぐ犯)と判断される「4つの事由」
※以下の4つの事由のいずれかに該当し、かつ「将来罪を犯すおそれ(虞犯性)」があると判断された場合に虞犯少年となります。
① 親の監督に従わない
保護者の正当な監督に服しない性癖があること
【具体例】 深夜の徘徊、親への無断外泊
② 家庭に寄りつかない
正当の理由がなく家庭に寄りつかないこと
【具体例】 家出、ホテルや知人宅を転々とする
③ 不良交友・悪所への出入り
犯罪性のある人等との交際、いかがわしい場所への出入り
【具体例】 暴走族・不良集団・暴力団への加入
④ 徳性を害する性癖
自己または他人の徳性を害する行為をする性癖があること
【具体例】 パパ活(援助交際)、風俗店での勤務
【虞犯処分の成立要件】 ①〜④の客観的事由 + 将来罪を犯すおそれ(虞犯性)
※単に上記のいずれかの事由があったことだけでなく、本人の性格や家庭環境を踏まえて将来罪を犯すおそれが認められた場合に保護処分の対象となります。

虞犯事件が家庭裁判所に送致されると、保護観察や少年院送致といった保護処分が可能になります。少年法が虞犯を保護処分の対象にしたのは、犯罪予備軍といえる少年を保護し、犯罪に走るのを未然に防止するためです。

 

なお、少年法の改正により、18歳と19歳の少年は「特定少年」として、虞犯事件の対象から外されました。そのため、虞犯少年として扱われるのは18歳未満の少年に限られます。

⇒特定少年とは?18歳・19歳の適用除外について詳しく解説

 

 

虞犯少年と犯罪少年・触法少年との違い

少年法上の「非行少年」には、虞犯少年のほかに「犯罪少年」「触法少年」があります。それぞれの違いは下表の通りです。

区分定義対象年齢処分の主な内容
虞犯少年
(ぐはんしょうねん)
罪を犯してはいないが、性格や環境から将来罪を犯すおそれがある少年18歳未満
※特定少年は除外
児童相談所の福祉的措置 or 家裁の保護処分
犯罪少年罪を犯した(刑罰法令に触れる行為をした)少年14歳以上
20歳未満
原則として保護処分(逆送されれば大人と同じ刑事処分)
触法少年刑罰法令に触れる行為をしたが、刑事責任年齢(14歳)に達していない少年14歳未満児童相談所の福祉的措置 or 家裁の保護処分
不良行為少年非行には至らないが、自己または他人の徳性を害する行為(喫煙・深夜徘徊等)をする少年20歳未満警察官による指導・助言・補導
(法的処分はなし)

虞犯(ぐ犯)の具体例

虞犯(ぐ犯)の具体例

事例 1
高校中退後にパパ活・歌舞伎町でホテル暮らし(A子のケース)
【少年の状況】母子家庭で高校を中退後、定職に就かずパパ活(援助交際)で収入を得ていた。素行を注意した母親と口論になり、家出して歌舞伎町のホテルを転々としていた。
【該当する虞犯事由】

② 正当の理由がなく家庭に寄りつかない(家出・ホテル転々)

④ 徳性を害する性癖がある(パパ活・援助交際)

事例 2
退学処分後にホスト勤務・不良グループと無断外泊(B男のケース)
【少年の状況】飲酒が発覚して高校を退学処分になった後、ホスト等の仕事に従事。不良グループに加わって無断外泊を繰り返すようになり、親からの連絡も一切無視していた。
【該当する虞犯事由】

① 保護者の正当な監督に服しない(親の連絡無視・無断外泊)

③ 不良集団への加入・悪所への出入り(不良グループ・ホスト勤務)

虞犯と警察の逮捕

虞犯と逮捕

 

少年であっても犯罪の嫌疑があれば逮捕・勾留されることがありますが、虞犯は犯罪行為をしたわけではないので、逮捕・勾留をされることはありません。ただ、最初は犯罪の疑いで逮捕・勾留された後に、嫌疑不十分で釈放され、その後に虞犯事件として扱われるケースは珍しくありません。

実例ケース
逮捕・釈放の後に「虞犯」として扱われる典型例

⚖️

「犯罪の証拠がなくて釈放されたから安心」ではありません。刑事事件としては不起訴相当であっても、素行や生活環境に問題がある場合、そのまま虞犯(ぐ犯)事件に切り替えられて家庭裁判所へ送致されることがあります。

発覚

職務質問と共同所持容疑での身柄拘束
少年Xは、深夜に仲間と車内で騒いでいたところ警察官から職務質問を受ける。同乗者のバッグから乾燥大麻が発見され、大麻の共同所持容疑で逮捕・勾留される。
▼
刑事

共謀の立証ができず釈放少年Xは「大麻の存在を知らなかった」と一貫して共謀を否認。嫌疑不十分により釈放される。
▼
虞犯

生活実態に着目され、虞犯として家庭裁判所へ送致
大麻所持罪は成立しないものの、検察官は「夜な夜な遊び歩き、家庭に寄りつかず不良仲間と交際している状態」を問題視。将来罪を犯すおそれ(虞犯事由・虞犯性)があるとして、家庭裁判所に送致した。
💡 弁護士の視点:
刑事事件として釈放されても、虞犯事件として裁判所へ送致されると少年鑑別所(観護措置)に入れられる危険が高いため、釈放の前後から速やかに生活環境の立て直しと付添人(弁護士)の選任を進める必要があります。

虞犯事件の流れ

虞犯事件の流れ

 

STEP 1
警察の虞犯調査(街頭補導・少年相談)

深夜徘徊等での街頭補導や親からの相談をきっかけとして、本人・保護者への事情聴取が始まります。
STEP 2
家庭裁判所への「送致」または児相への「通告」

14歳以上18歳未満で審判が妥当な場合は家庭裁判所へ送致されます。
STEP 3
最重要
観護措置の決定(少年鑑別所へ収容:約4週間)

虞犯の約60%が鑑別所に入所。学校や職場から隔離されます。
★ 弁護士(付添人)が家庭裁判所に意見書を出し、身柄拘束の阻止に動く最大のタイミングです。
STEP 4
少年審判(処分決定)

裁判官による審判。環境調整や内省が評価されれば「少年院送致」を回避し、保護観察や不処分を目指せます。

1.警察での虞犯調査

少年が警察官に補導されたり(街頭補導)、親が警察に相談することがきっかけとなり(少年相談)、警察によって虞犯調査が開始されます。

 

警察は虞犯少年と認められる者や保護者、参考人を警察署に呼び出して事情を聴きます。少年の問題行動やその原因・動機だけでなく、少年の性格、家庭環境、交友関係等を広く調査します。

 

2.家庭裁判所や児童相談所への引継ぎ

調査の結果、虞犯にあたると判断されれば、警察は家庭裁判所や児童相談所に虞犯事件を引き継ぎます。家庭裁判所への引継ぎを「送致」、児童相談所への引継ぎを「通告」といいます。

 

①家庭裁判所に送致されるケース
14歳~18歳未満の少年について、警察が家庭裁判所の審判に付するのが適当と考えた場合、家庭裁判所に送致します。

 

②児童相談所に通告されるケース
14歳~18歳未満の少年について、保護者がいないとき又は保護者に監護させることが不適当と認められ、かつ、福祉の措置に委ねるのが適当であると認められるときは、児童相談所に通告します。

 

14歳未満の少年については、保護者がいないとき又は保護者に監護させるのが不適当であると認められるときに児童相談所に通告します。

虞犯と少年鑑別所・保護処分

虞犯と少年鑑別所

 

虞犯で逮捕・勾留されることはありませんが、家庭裁判所に送致されると、少年鑑別所に収容(観護措置)されることがあります。鑑別所に入る期間は通常4週間で、その間は学校や職場へ行くことも、スマートフォンを使うこともできません。

📊 数字で見る「虞犯事件」の厳しさ(一般少年事件との比較)
少年鑑別所への収容(観護措置)率
少年事件全体
約20%
 
虞犯少年(ぐ犯)
約60%(過半数が鑑別所へ)
 
少年院送致・保護観察(保護処分)率
少年事件全体
約20%
 
虞犯少年(ぐ犯)
約70%(大半が何らかの処分を受ける)
 
※家庭環境や親子関係の調整が困難と判断されやすいため、身柄拘束や保護処分の割合が極めて高くなります。

少年鑑別所とは、心理テストや面接を通じて資質や更生の見込みを調査する施設です。⇒少年事件と家庭裁判所調査官の役割

 

実際に犯罪行為をしたわけではないのに、虞犯少年の観護措置率が約60%、保護処分率が約70%に達するのは、家庭環境に問題があるケースが多く、裁判所が「親に任せておくだけでは将来罪を犯す可能性が高い」と判断するためです。

虞犯事件の弁護活動(少年院・鑑別所回避)

虞犯事件の弁護活動

 

虞犯事件では、弁護士(付添人)は少年が鑑別所や少年院に収容されないように活動します。

 

虞犯の要件となる虞犯事由や虞犯性はあいまいな概念です。弁護士が少年や親から事情を聴き、そもそも虞犯の要件に該当しないと考えられる場合は、その旨を警察や裁判所に強く主張します。

 

たとえ虞犯の要件に該当する場合であっても、裁判所に要保護性が低いと判断されれば、少年院を回避することができます。弁護士は少年や親の悩みに寄り添いながら、次のような活動を行っていきます。


☑ 少年の内省を深める
☑ 親子関係の改善を図る
☑ 不良交友を改めさせる
☑ 定職に就かせる
☑ 学校生活に復帰させる

☑ 具体的な更生プランを策定する

 

虞犯事件では、観護措置や少年院送致になるリスクが高くなるため、お早めに少年事件の実績豊富な弁護士にご相談ください。

虞犯(ぐ犯)に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 虞犯で警察に逮捕されることはありますか?


A. 逮捕されることはありませんが、少年鑑別所へ収容されることはあります。
虞犯は犯罪行為そのものではないため、刑事訴訟法に基づく「逮捕」はされません。ただし、家庭裁判所に送致された後は、少年の保護や調査のために「観護措置(少年鑑別所への収容)」が決定されるケースが約60%に上ります。観護措置がとられると原則4週間にわたり身柄が拘束されるため、早期に弁護士(付添人)を選任し、釈放を働きかけることが重要です。

Q2. 虞犯事件で処分を受けると「前科」がつきますか?


A. 「前科」はつきません。ただし、家庭裁判所の審判記録(非行歴・前歴)は残ります。
前科とは、大人の刑事裁判で有罪判決(拘禁刑・罰金など)を受けた履歴を指します。虞犯に対する審判は少年の更生を目的とした教育的な「保護処分(保護観察や少年院送致など)」であり刑事罰ではないため、前科にはなりません。戸籍や住民票に記録されることもなく、就職活動の履歴書に書く義務もありません。

Q3. 虞犯の手続きが進むと、学校や職場に知られてしまいますか?


A. 家庭裁判所の調査や少年鑑別所への収容に伴い、知られてしまうリスクがあります。
家庭裁判所の調査官が少年の普段の生活状況を把握するために学校へ照会書を送るケースや、観護措置によって数週間の欠席が続くことで発覚するケースがあります。「退学処分を回避したい」「周囲に知られずに解決したい」という場合は、家庭裁判所に対して学校照会を控えるよう意見書を提出したり、鑑別所行きを防いで在宅のまま手続きを進める弁護活動が必要です。

Q4. 18歳・19歳(特定少年)でも虞犯の対象になりますか?


A. 18歳・19歳は虞犯の対象外です。
2022年4月の改正少年法施行により、18歳および19歳は「特定少年」と位置づけられ、虞犯の規定から除外されました。そのため、現在虞犯の対象となるのは「18歳未満」の少年に限られます。

 

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