- トップ
- > 虞犯(ぐ犯)少年とは?事件の流れや少年鑑別所・少年院の回避策を解説
虞犯(ぐ犯)少年とは?事件の流れや少年鑑別所・少年院の回避策を解説
大人であれば、刑事裁判で有罪とならない限り刑務所に収容されることはありません。ところが、18歳未満の少年については、犯罪行為をしていないのに少年鑑別所や少年院に収容されてしまうことがあります。
これが虞犯(ぐ犯)のケースです。
このページでは、虞犯(ぐ犯)の要件や手続の流れ、少年鑑別所や少年院を回避するための弁護活動について弁護士 楠 洋一郎が解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
虞犯(ぐ犯)とは?定義と4つの要件
少年法上の虞犯(ぐ犯)とは、少年の性格や環境に照らして「将来、罪を犯しまたは刑罰法令に触れる行為をするおそれ(虞犯性)」がある状態をいいます。犯罪行為をしていない段階でも家庭裁判所の審判に付される点が大きな特徴です。
少年法上、虞犯少年(ぐ犯少年)と判断されるには、以下の4つの虞犯事由のいずれかに該当し、かつ将来罪を犯すおそれ(虞犯性)が認められる必要があります。
虞犯事件が家庭裁判所に送致されると、保護観察や少年院送致といった保護処分が可能になります。少年法が虞犯を保護処分の対象にしたのは、犯罪予備軍といえる少年を保護し、犯罪に走るのを未然に防止するためです。
なお、少年法の改正により、18歳と19歳の少年は「特定少年」として、虞犯事件の対象から外されました。そのため、虞犯少年として扱われるのは18歳未満の少年に限られます。
虞犯少年と犯罪少年・触法少年との違い
少年法上の「非行少年」には、虞犯少年のほかに「犯罪少年」「触法少年」があります。それぞれの違いは下表の通りです。
| 区分 | 定義 | 対象年齢 | 処分の主な内容 |
|---|---|---|---|
| 虞犯少年 (ぐはんしょうねん) | 罪を犯してはいないが、性格や環境から将来罪を犯すおそれがある少年 | 18歳未満 ※特定少年は除外 | 児童相談所の福祉的措置 or 家裁の保護処分 |
| 犯罪少年 | 罪を犯した(刑罰法令に触れる行為をした)少年 | 14歳以上 20歳未満 | 原則として保護処分(逆送されれば大人と同じ刑事処分) |
| 触法少年 | 刑罰法令に触れる行為をしたが、刑事責任年齢(14歳)に達していない少年 | 14歳未満 | 児童相談所の福祉的措置 or 家裁の保護処分 |
| 不良行為少年 | 非行には至らないが、自己または他人の徳性を害する行為(喫煙・深夜徘徊等)をする少年 | 20歳未満 | 警察官による指導・助言・補導 (法的処分はなし) |
虞犯(ぐ犯)の具体例
虞犯と警察の逮捕
少年であっても犯罪の嫌疑があれば逮捕・勾留されることがありますが、虞犯は犯罪行為をしたわけではないので、逮捕・勾留をされることはありません。ただ、最初は犯罪の疑いで逮捕・勾留された後に、嫌疑不十分で釈放され、その後に虞犯事件として扱われるケースは珍しくありません。
虞犯事件の流れ
最重要
★ 弁護士(付添人)が家庭裁判所に意見書を出し、身柄拘束の阻止に動く最大のタイミングです。
1.警察での虞犯調査
少年が警察官に補導されたり(街頭補導)、親が警察に相談することがきっかけとなり(少年相談)、警察によって虞犯調査が開始されます。
警察は虞犯少年と認められる者や保護者、参考人を警察署に呼び出して事情を聴きます。少年の問題行動やその原因・動機だけでなく、少年の性格、家庭環境、交友関係等を広く調査します。
2.家庭裁判所や児童相談所への引継ぎ
調査の結果、虞犯にあたると判断されれば、警察は家庭裁判所や児童相談所に虞犯事件を引き継ぎます。家庭裁判所への引継ぎを「送致」、児童相談所への引継ぎを「通告」といいます。
①家庭裁判所に送致されるケース
14歳~18歳未満の少年について、警察が家庭裁判所の審判に付するのが適当と考えた場合、家庭裁判所に送致します。
②児童相談所に通告されるケース
14歳~18歳未満の少年について、保護者がいないとき又は保護者に監護させることが不適当と認められ、かつ、福祉の措置に委ねるのが適当であると認められるときは、児童相談所に通告します。
14歳未満の少年については、保護者がいないとき又は保護者に監護させるのが不適当であると認められるときに児童相談所に通告します。
虞犯と少年鑑別所・保護処分
虞犯で逮捕・勾留されることはありませんが、家庭裁判所に送致されると、少年鑑別所に収容(観護措置)されることがあります。鑑別所に入る期間は通常4週間で、その間は学校や職場へ行くことも、スマートフォンを使うこともできません。
少年鑑別所とは、心理テストや面接を通じて資質や更生の見込みを調査する施設です。⇒少年事件と家庭裁判所調査官の役割
実際に犯罪行為をしたわけではないのに、虞犯少年の観護措置率が約60%、保護処分率が約70%に達するのは、家庭環境に問題があるケースが多く、裁判所が「親に任せておくだけでは将来罪を犯す可能性が高い」と判断するためです。
虞犯事件の弁護活動(少年院・鑑別所回避)
虞犯事件では、弁護士(付添人)は少年が鑑別所や少年院に収容されないように活動します。
虞犯の要件となる虞犯事由や虞犯性はあいまいな概念です。弁護士が少年や親から事情を聴き、そもそも虞犯の要件に該当しないと考えられる場合は、その旨を警察や裁判所に強く主張します。
たとえ虞犯の要件に該当する場合であっても、裁判所に要保護性が低いと判断されれば、少年院を回避することができます。弁護士は少年や親の悩みに寄り添いながら、次のような活動を行っていきます。
☑ 少年の内省を深める
☑ 親子関係の改善を図る
☑ 不良交友を改めさせる
☑ 定職に就かせる
☑ 学校生活に復帰させる
☑ 具体的な更生プランを策定する
虞犯事件では、観護措置や少年院送致になるリスクが高くなるため、お早めに少年事件の実績豊富な弁護士にご相談ください。
虞犯(ぐ犯)に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 虞犯で警察に逮捕されることはありますか?
A. 逮捕されることはありませんが、少年鑑別所へ収容されることはあります。
虞犯は犯罪行為そのものではないため、刑事訴訟法に基づく「逮捕」はされません。ただし、家庭裁判所に送致された後は、少年の保護や調査のために「観護措置(少年鑑別所への収容)」が決定されるケースが約60%に上ります。観護措置がとられると原則4週間にわたり身柄が拘束されるため、早期に弁護士(付添人)を選任し、釈放を働きかけることが重要です。
Q2. 虞犯事件で処分を受けると「前科」がつきますか?
A. 「前科」はつきません。ただし、家庭裁判所の審判記録(非行歴・前歴)は残ります。
前科とは、大人の刑事裁判で有罪判決(拘禁刑・罰金など)を受けた履歴を指します。虞犯に対する審判は少年の更生を目的とした教育的な「保護処分(保護観察や少年院送致など)」であり刑事罰ではないため、前科にはなりません。戸籍や住民票に記録されることもなく、就職活動の履歴書に書く義務もありません。
Q3. 虞犯の手続きが進むと、学校や職場に知られてしまいますか?
A. 家庭裁判所の調査や少年鑑別所への収容に伴い、知られてしまうリスクがあります。
家庭裁判所の調査官が少年の普段の生活状況を把握するために学校へ照会書を送るケースや、観護措置によって数週間の欠席が続くことで発覚するケースがあります。「退学処分を回避したい」「周囲に知られずに解決したい」という場合は、家庭裁判所に対して学校照会を控えるよう意見書を提出したり、鑑別所行きを防いで在宅のまま手続きを進める弁護活動が必要です。
Q4. 18歳・19歳(特定少年)でも虞犯の対象になりますか?
A. 18歳・19歳は虞犯の対象外です。
2022年4月の改正少年法施行により、18歳および19歳は「特定少年」と位置づけられ、虞犯の規定から除外されました。そのため、現在虞犯の対象となるのは「18歳未満」の少年に限られます。
お子さんが警察に検挙・逮捕された場合、成人の事件とは異なり、初動の取調べ対策や環境調整が早期釈放を実現し、退学・鑑別所収容・少年院送致を防ぐ決定打となります。少年事件の流れや弁護士(付添人)の役割、解決事例や弁護士費用については以下の総合解説ページをご覧ください。
少年事件の実務経験豊富な弁護士が対応します。











