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ぐ犯(虞犯)とは?事件の流れや対応の仕方について弁護士が解説

ぐ犯(虞犯)とは?

 

大人であれば、刑事裁判で有罪とならない限り刑務所に収容されることはありません。ところが、18歳未満の少年については、犯罪行為をしていないのに少年院に収容されてしまうことがあります。

 

 

これがぐ犯(虞犯)のケースです。

 

 

このページでは、ぐ犯の要件や手続の流れ、弁護活動について弁護士 楠 洋一郎が解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

ぐ犯とは

ぐ犯とは、以下のぐ犯事由の少なくともひとつに該当し、「将来、罪を犯しまたは刑罰法令に触れる行為をするおそれ」(ぐ犯性)のある少年のことです。

 

 

ぐ犯事由

具体例

①保護者の正当な監督に服しない性癖のあること

深夜の徘徊、無断外泊

②正当の理由がなく家庭に寄りつかないこと

家出

③犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること

暴走族、暴力団への加入

④自己または他人の徳性を害する行為をする性癖があること

援助交際、風俗店に勤務

 

 

ぐ犯事件が家庭裁判所に送致されると、保護観察や少年院送致といった保護処分が可能になります。少年法がぐ犯を保護処分の対象にしたのは、犯罪予備軍といえる少年を保護し、犯罪に走るのを未然に防止するためです。

 

 

なお、少年法の改正により、18歳と19歳の少年は「特定少年」として、ぐ犯事件の対象から外されました。そのため、ぐ犯少年として扱われるのは18歳未満の少年に限られます。

特定少年とは?

 

ぐ犯の具体例

【その1】

A子は母子家庭で高校を中退してから定職を持たず、パパ活(援助交際)をして収入を得ていた。もともと母親と関係が悪かったが、素行を注意され口論になったことがきっかけとなり、家出をして、歌舞伎町のホテルを転々としていた。

 

 

【その2】

B男は飲酒が発覚して高校を退学処分になった。その後、ホストなどの仕事をしていたが、不良グループに入って無断外泊を繰り返すようになり、親が連絡を入れても無視するようになった。

 

ぐ犯と逮捕

少年であっても犯罪の嫌疑があれば逮捕・勾留されることがありますが、ぐ犯は犯罪行為をしたわけではないので、逮捕・勾留されることはありません。

 

 

ただ、逮捕・勾留された後に嫌疑不十分で釈放され、その後にぐ犯として扱われることがあります。

 

 

【具体例】

少年Xは、他の少年と一緒に街中にとめた車の中で騒いでいたところ、警察官に職務質問された。その際、別の少年のズボンから乾燥大麻が発見されたため、大麻の共同所持で逮捕・勾留された。

 

 

少年Xは共謀を否認し嫌疑不十分で釈放された。検察官は、少年Xが家に戻らず夜な夜な遊び歩いていたことから、ぐ犯として家庭裁判所に送致した。

 

 

ぐ犯事件の流れ

1.警察でのぐ犯調査

少年が警察官に補導されたり(街頭補導)、親が警察に相談することがきっかけとなり(少年相談)、警察によってぐ犯調査が開始されます。

 

 

警察はぐ犯少年と認められる者や保護者、参考人を警察署に呼び出して事情を聴きます。少年の問題行動やその原因・動機だけでなく、少年の性格、家庭環境、交友関係等を広く調査します。

 

 

2.家庭裁判所や児童相談所への引継ぎ

調査の結果、一定の要件に該当すれば、警察は家庭裁判所や児童相談所にぐ犯事件を引き継ぎます。家庭裁判所への引継ぎを「送致」、児童相談所への引継ぎを「通告」といいます。

 

 

①家庭裁判所に送致されるケース

14歳~18歳未満の少年について、警察が家庭裁判所の審判に付するのが適当と考えた場合、家庭裁判所に送致します。

 

 

②児童相談所に通告されるケース

14歳~18歳未満の少年について、保護者がいないとき又は保護者に監護させることが不適当と認められ、かつ、福祉の措置に委ねるのが適当であると認められるときは、児童相談所に通告します。

 

 

14歳未満の少年については、保護者がいないとき又は保護者に監護させるのが不適当であると認められるときに児童相談所に通告します。

 

ぐ犯と少年鑑別所

ぐ犯で逮捕・勾留されることはありませんが、家庭裁判所に送致されると、少年鑑別所に収容されることがあります。

 

 

少年鑑別所とは、少年に対して心理テストや面接を行い、資質や更生の見込みについて調査する施設です。調査を担当するのは鑑別所の職員である鑑別技官と家庭裁判所から派遣されてくる家庭裁判所調査官です。

少年事件と家庭裁判所調査官

 

 

鑑別所に収容されると、少年は外に出ることができないため、学校や職場に行くことはできません。スマートフォンを使うこともできませんので、友人と連絡をとることもできません。鑑別所に入る期間は通常4週間です。

 

 

少年鑑別所に収容することを観護措置といいます。少年事件全体でみると観護措置になるケースは約20%ですが、ぐ犯少年だけで見ると約80%にも達します。

 

 

ぐ犯少年の観護措置が多いのは、親子関係に問題があるケースが多いからです。なかには、親が少年の扱いに困って鑑別所への収容を希望するケースもあります。

 

 

ぐ犯と保護処分

ぐ犯事件が家庭裁判所に送致されると、少年審判を経て、保護処分に付されることが多いです。具体的には保護観察か少年院送致になることが多いです。

 

 

少年事件全体でみると保護処分になるケースは約20%です。「審判不開始」といって少年審判が開かれないケースや、少年審判で保護処分にしない旨の「不処分」が言い渡されるケースが多いです。

 

 

これに対して、ぐ犯事件では約70%が少年院や保護観察等の保護処分に付されます。

 

 

実際に犯罪行為をしたわけではないのに、ぐ犯少年が保護処分になりやすいのは、家庭環境に問題があるケースが多く、裁判所が「親に任せておくだけでは罪を犯す可能性が高い。」と判断することが多いためです。

 

 

ぐ犯事件の弁護活動

ぐ犯事件では、弁護士は少年が鑑別所や少年院に収容されないように活動します。

 

 

ぐ犯の要件となるぐ犯事由やぐ犯性はどれもあいまいな概念です。これらの要件に該当しているのか微妙なケースも少なくありません。

 

 

弁護士が少年や親から事情を聴き、そもそもぐ犯の要件に該当しないと考えられる場合は、その旨を警察や裁判所に主張します。

 

 

たとえぐ犯の要件に該当する場合であっても、裁判所に要保護性が低いと判断されれば、少年院を回避することができます。

 

 

弁護士が少年や親の悩みに寄り添いながら、次のような活動を行っていきます。

 

 

☑ 少年の内省を深める

☑ 親子関係の改善を図る

☑ 不良交友を改めさせる

☑ 定職に就かせる

☑ 学校生活に復帰させる

 

 

ぐ犯事件では、観護措置や少年院送致になるリスクが高くなるため、お早めに弁護士にご相談ください。

 

 

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