盗撮で逮捕されやすいケースは?逮捕後に勾留を防ぐ方法も解説

盗撮で逮捕された!勾留を防ぐために弁護士ができること

 

 

【この記事の作成者】

弁護士 楠 洋一郎(第二東京弁護士会所属 / 登録番号第39896号

【事務所名:ウェルネス法律事務所】

 

刑事事件の弁護士経験15年以上。これまで約3000件の刑事事件を取り扱い、うち盗撮事件は約550件の実績があります。

 

盗撮事件の勾留阻止等の豊富な実務経験と最新の法令(性的姿態等撮影処罰法)に基づき解説しています。

 

 

 

盗撮で逮捕されやすい3つのケース

盗撮をしてその場で捕まった場合、次の3つのいずれかに該当すれば逮捕される可能性が高くなります。

 

①現場から逃走しようとした

②その場で盗撮画像を削除しようとしたり、盗撮に使ったカメラを地面に叩きつける等して証拠隠滅しようとした 

③防犯カメラ等の証拠から盗撮をしたことが明らかであるにもかかわらず、不合理な否認を続けた

 

逮捕される場合は、被害者や目撃者が現行犯逮捕したものとして扱われます(私人逮捕)。

 

 

3つのケースのいずれにも該当しなければ、逮捕されずに在宅事件として取り扱われる余地があります。

在宅事件とは?呼び出しはいつ?流れや不起訴についても解説

 

 

盗撮で逮捕された!勾留の要件とは?

盗撮で逮捕されたら勾留されるか否かによってその後の流れが大きく変わります。逮捕の期間は最長3日ですが、勾留されると原則10日、勾留が延長されれば最長20日にわたって留置場で拘束されます。

 

 

勾留の要件は次の1・2・3です。

 

【勾留の要件】

1 被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること

2 次の3つの要件のいずれかに該当すること

①住居不定

②証拠隠滅のおそれ

③逃亡のおそれ

3 勾留の必要性があること


検察官が勾留の要件を全て満たすと判断すると、裁判官に勾留を請求します。勾留請求されれば当日か翌日に裁判官の勾留質問が実施されます。

 

 

裁判官も、1・2・3の要件を全て満たすと判断すれば、検察官の勾留請求を許可します。その結果、被疑者は勾留されます。

 

 

逆に勾留の要件を満たさないと判断すれば、検察官の勾留請求を却下します。その結果、被疑者は釈放されます。

⇒【逮捕】勾留されなかったときの釈放の流れ-何時にどこに迎えに行く?

 

 

それでは、盗撮事件における勾留の要件について個別に見ていきましょう。

 

 

1.盗撮で勾留される?「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」とは

盗撮をすると現行犯逮捕されることが多いです。現行犯逮捕された場合、持っていたスマートフォンや小型カメラは押収されますが、これらに盗撮動画が保存されていることが少なくありません。

 

 

また、防犯カメラに犯行状況が録画されていることもあります。盗撮データや防犯カメラ映像という客観的な証拠があれば、「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」が認められます。

 

 

そのような証拠がなくても、被害者や目撃者の証言に矛盾や変遷がなければ、「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」が認められることが多いです。

 

 

2.盗撮で勾留される?「住居不定」とは

住居不定とは実際に定まった住居があるだけでは足りず、証拠によって捜査機関に定まった住居が判明していることが必要です。

 

 

そのため、住居を黙秘していたり、口頭で説明したとしても免許証などの身分証を携帯していなかった場合は住居不定になり得ます。

 

 

3.盗撮で勾留される?「証拠隠滅のおそれ」とは

盗撮で現行犯逮捕された場合、スマートフォンや小型カメラが押収されるため、証拠隠滅のおそれはないとも言えそうです。

 

 

もっとも、盗撮事件では余罪が問題になることが多く、家宅捜索をして自宅からパソコンや他のスマートフォンが押収されるまでは、余罪についての証拠隠滅のおそれがあると判断されやすくなります。

 

 

また、会社内や学校内で盗撮した場合、被害者と面識があると、釈放されたら被害者に接触して自己に有利な証言をさせるのではないかと疑われやすいです。証言を変更させることも証拠隠滅になります。

 

 

4.盗撮で勾留される?「逃亡のおそれ」とは

盗撮は初犯であればいきなり実刑になることはありませんので、初犯の方について逃亡のおそれが認定されて勾留されることは少ないです。

 

 

これに対して、性犯罪の前科が複数あったり、執行猶予中の場合は、実刑になる可能性が高いことから逃亡のおそれが認定されやすくなります。

 

 

5.盗撮で勾留される?「勾留の必要性」とは

他の要件を全て満たしていても、勾留の必要性がなければ勾留は認められません。勾留の必要性は、勾留による捜査上のメリットと被疑者側のデメリットを比較して判断されます。

 

 

「事案が軽微で公判請求される可能性が低い」、「勾留が続くと勤務先を解雇される可能性が高い」、「被疑者が重い病気にかかっている」といった事情は、勾留の必要性を否定する方向に作用します。

 

 

盗撮で逮捕された!勾留を阻止する方法は?

盗撮で逮捕された方の勾留を阻止するため、弁護士は勾留の要件に該当しないことを意見書にまとめて検察官や裁判官に提出します。

 

 

 

検察官に勾留の要件を満たさないことを納得させることができれば、勾留請求を阻止することができます。裁判官に勾留の要件を満たさないことを納得させることができれば、勾留請求が却下されます。

 

 

盗撮事件の勾留で最も問題になりやすい要件は「証拠隠滅のおそれ」です。盗撮事件の証拠として以下の物が挙げられます。

 

 

【盗撮事件の証拠】

1.盗撮動画が保存されているスマホや小型カメラ

2.盗撮の状況が録画された防犯カメラ

3.盗撮の被害者や目撃者の供述

4.盗撮の余罪データが保存されている自宅のパソコン

 

 

以下では、それぞれの証拠ごとに証拠隠滅のおそれがないと主張する上でのポイントを解説します。

 

 

1.盗撮で証拠隠滅のおそれを否定する-盗撮動画が保存されているスマホや小型カメラ

盗撮で現行犯逮捕された場合、盗撮に使ったスマートフォンや小型カメラは警察に押収されます。押収されているため、客観的に証拠隠滅できないことを主張します。

 

 

2.盗撮で証拠隠滅のおそれを否定する-犯行状況を録画した防犯カメラ

防犯カメラは鉄道会社などの第三者が管理しているもので、盗撮の被疑者が隠滅できるものではありません。警察も事件後すぐに、防犯カメラの映像データをCD-R等にコピーして保全しています。

 

 

これらの事情を弁護士が意見書で主張します。

 

 

3.盗撮で証拠隠滅のおそれを否定する-被害者や目撃者の供述

盗撮の被疑者が被害者や目撃者に接触し、自分に有利な供述をするように働きかけることが考えられますが、通常、盗撮の被疑者と被害者・目撃者に面識がなく、氏名や住所、連絡先がわからないため、接触する術がないことを主張します。

 

 

通勤や通学の途中で盗撮をした場合は、偶然に被害者に出会ってしまう可能性があることから、被疑者に「本件の処分が出るまでの間、○○線を利用しません」という誓約書を作成してもらい、弁護士が検察官や裁判官に提出します。

 

 

4.盗撮で証拠隠滅のおそれを否定する-余罪の盗撮動画が保存されている自宅のパソコン等

余罪は逮捕された盗撮とは別の事件になりますが、逮捕された盗撮事件の処分を検討するにあたって重要な情状事実になります。

 

 

検察官や裁判官は、家宅捜索の前に被疑者を釈放すれば、被疑者が自宅のパソコンに保存されている盗撮データを破棄するなどの証拠隠滅を図るおそれがあると考えます。

 

 

そのため、「家宅捜索があるまでパソコンを保管し本人に触らせない」旨のご家族の誓約書、それに同意する旨の被疑者の同意書を作成してもらい、弁護士が検察官や裁判官に提出します。