【住居侵入】酔って他人の部屋に入ると逮捕される?示談についても解説

酒に酔って住居侵入した場合

 

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。

 

 

 

【住居侵入】酔って他人の部屋に侵入するケース

正当な理由なく他人の家に侵入すれば住居侵入罪になります。住居侵入の目的としてまず考えられるのは金品の窃盗です。他に、のぞきや下着泥棒など性的な衝動を抑えきれずに侵入するケースもあります。

 

 

これらのよくあるケース以外に、酒に酔ってわけがわからない状態で他人の住居に侵入するケースもあります。

 

 

酔って他人の住居に侵入する事件の特徴は、自分が住んでいるマンションの別の部屋に入ってしまうケースが多いということです。

 

 

酔っぱらって判断能力が低下している状況で、自分の部屋だと勘違いして他人の部屋に入ってしまうのです。

 

 

被害者に見つかって追い出された後も、奇声を上げながら周囲を徘徊したり、廊下やロビーで寝てしまう方も少なくありません。

 

【住居侵入】酔って他人の部屋に入ったら逮捕される?

泥酔して自分の部屋だと思って他人の部屋に入った場合は、110番通報を受けて臨場した警察官に職務質問され、警察署に任意同行された後に逮捕されることが多いです。

 

 

本人は泥酔していて取調べにならないことが多く、そのまま家に帰してしまうと再び同様の事件を起こしてしまう可能性があるからです。

 

 

もっとも、酔余の住居侵入は窃盗や性加害目的の侵入と異なり、逮捕されても勾留されずに3日以内で釈放されることが多いです。

 

 

明確な犯意があって侵入したわけではなく、反省して取調べに協力するのであれば、あえて勾留する必要まではないからです。

 

 

逮捕されると翌日か翌々日に検察官に送致されます。検察官の取調べを受ける際は、覚えていないことまで覚えていると言う必要はありませんが、住居侵入の事実を認めて反省すれば、勾留請求されずに釈放されることが多いです。

 

 

【住居侵入】酔って他人の部屋に入ったら報道される?

刑事事件を起こして逮捕されると、有名人でなくても報道されることがあります。

 

 

報道カメラマンに撮影されやすいタイミングは、検察庁へ向かう護送バスに乗る直前です。逮捕の翌日か翌々日の朝に撮影され、その日の午後に実名報道されます。

 

 

もっとも、酒に酔って住居に侵入したケースでは、勘違いの可能性もあり、明確に犯罪が成立しているとは言い難いことから報道されることはまずありません。

 

 

【住居侵入】酔って他人の部屋に入った場合の示談

1.示談の必要性

本人は泥酔していたとしても、いきなり自宅に侵入された被害者としては、たまったものではありません。

 

 

泥酔して完全に意識が飛んだ状態で侵入したのであれば、故意がなく犯罪が成立しないともいえますが、いずれにせよ被害者に迷惑をかけたことは事実ですので、示談で穏便に解決した方がよいでしょう。

 

 

隣人同士であれば今後も顔をあわせる機会があるのでなおさらです。

 

 

2.示談交渉は弁護士に依頼すべき

釈放されても、自分で被害者の自宅を訪問し示談交渉を持ち掛けるのは禁物です。

 

 

被害者は、最もくつろげる場所であるはずの住居にいきなり侵入され、大変怖い思いをしています。自らの通報がきっかけで加害者が逮捕され、復讐されるのではないかという不安もあります。

 

 

そのため、加害者が自ら訪問することはかえって被害者にプレッシャーを与えかねないため、示談交渉は弁護士に依頼した方がよいでしょう。

 

3.酔って住居侵入した場合の示談金

被害者はいきなり住居に侵入されたことにより、多大な迷惑を被っています。

 

 

もっとも、金品窃取やのぞき目的のように明確な悪意があるわけではないことから、慰謝料として数十万円もの金額を支払う必要はないでしょう。

 

 

性加害目的で侵入した場合は、慰謝料に被害者の転居費用を上乗せして支払うことが多いですが、酔って勘違いで侵入した場合、転居費用の支払いが必要なケースは少ないです。

 

 

結論として慰謝料10万円がひとつの目安になるでしょう。

 

 

【住居侵入】酔って他人の部屋に入った-示談しないとどうなる?

窃盗目的や性加害目的で住居に侵入したケースでは、被害者と示談しない限り処罰される可能性が高いです。

 

 

これに対して、酒に酔ってわけがわからない状況で住居侵入したケースでは、示談しなくても不起訴になる余地があります。

 

 

住居侵入罪が成立するためには住居侵入の故意が必要です。過失で他人の住居に入っても住居侵入罪は成立しません。泥酔して完全に意識が飛んでいれば、住居侵入の故意が認められず、住居侵入罪は成立しません。

 

 

もっとも、住居侵入の故意は、「他人の部屋に侵入する」という明確な認識だけではなく、「もしかすると他人の部屋かもしれないが侵入してもよい。」という未必の故意も含んでいます。

故意とは?確定的故意と未必の故意について弁護士が解説

 

 

住居侵入の故意を否認するのであれば、確定的な故意は当然として、未必の故意があったと誤解されるような供述調書をとられないようにすることが重要です。

 

 

【そのような調書の例】」

「他人の部屋かもしれないと思っていましたが、好奇心もあり酔った勢いで入ってしまいました。」

 

 

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故意について争えば、何度も取調べを受けたり、公判請求される可能性もあるため、早期に解決したいということであれば、示談をした方がよいでしょう。

 

 

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