公然わいせつで自首するメリットは？自首の流れや弁護士費用も解説

路上で露出をして逃げた場合、「公然わいせつで逮捕されるのだろうか？」と不安な日々を過ごさなければなりません。

そのような方のなかには、警察に自首することを検討している方もいるでしょう。

このページでは、公然わいせつの自首同行の経験豊富な弁護士が、公然わいせつで自首をするメリットや自首の流れ、弁護士費用を解説しています。ぜひ参考にしてみてください！

このページは弁護士　楠　洋一郎が作成しました。

公然わいせつで自首－そもそも自首とは？

自首とは、自分がした犯罪を捜査機関に申告し、処分を求める意思表示です。

自首が成立するためには、自発的に申告することが必要です。取調べで公然わいせつについて追及された後に罪を認めても、自首したことにはなりません。

また、犯罪と犯人が発覚する前に申告しないと自首にはなりません。公然わいせつの目撃者から通報があり警察が事件を認知していても、犯人が発覚する前に自発的に申告すれば自首が成立します。

公然わいせつで自首するメリット

公然わいせつで自首することにより次の４つの可能性が高まります。

１．逮捕・報道の回避

２．家族・会社への発覚の回避

３．示談の成立

４．不起訴の獲得

それでは個別に見ていきましょう。

１．逮捕・報道回避の可能性を高める

路上で公然わいせつをすると後日逮捕されることがあります。

「住宅街で下半身を露出した疑いで逮捕－４５歳の会社員」

公然わいせつで逮捕されると、このようにニュースで報道されることがあります。実名報道されると会社にも逮捕されたことが発覚してしまい、解雇される可能性が高くなります。

実名報道されなかったとしても、後日逮捕はある日突然ふりかかってくるので、無断欠勤となり、会社に発覚するリスクがあります。公然わいせつは重大犯罪ではありませんので、自首すれば逮捕される可能性は低くなります。

逮捕の要件として逃亡のおそれと証拠隠滅のおそれがありますが（刑事訴訟規則１４３条の３）、自首して犯罪事実を正直に話していれば、逃げたり証拠を隠滅するおそれは低いと言えるからです。

逮捕されなければ、有名人でない限り実名報道されることもありません。

２．家族・会社への発覚を防ぐ

公然わいせつの犯人として特定された場合、必ず逮捕されるわけではありません。逮捕されずに在宅で捜査が進められることもあります。

在宅捜査のケースでは、決められた日時に警察署に出頭し取調べを受ける必要はありますが、それ以外は自由に行動することができます。

そのため、逃亡や証拠隠滅を防ぐため、警察は被疑者の家族に連絡し、身元引受人として警察署まで迎えに来てもらいます。家族が遠方に住んでいる場合は、職場の上司に身元引受人になってもらうこともあります。

公然わいせつで逮捕されなかったとしても、身元引受の手続を通じて家族や会社に発覚する可能性が高いです。

弁護士が自首に同行する場合は、その場で弁護士が身元引受人になることにより、警察から家族や上司に連絡がいくことを回避できます。

３．示談の可能性を高める

公然わいせつは社会の健全な性風俗を保護する犯罪ですので、目撃者個人と示談したからといって、不起訴に直結するわけではありません。

もっとも、人通りのない路上で特定の女性をターゲットにして露出したようなケースでは、目撃者は事実上の被害者とみなせますので、示談をすることにより不起訴になる可能性が高まります。

自首をしていれば、謝罪の気持を相手に受け入れてもらいやすくなるため、示談がまとまりやすくなります。

自首せずに後日逮捕された場合は、相手から「逮捕されていなければ謝罪していませんでしたよね？」等と言われ示談交渉が難航することも少なくありません。

４．不起訴の可能性を高める

刑法で「罪を犯した者が、捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と定められています（刑法４２条１項）。

この条文は起訴されて正式裁判を受ける場合に適用される規定ですが、起訴「前」であっても、公然わいせつで自首した場合は、有利な情状として評価され、不起訴になる可能性が高まります。

公然わいせつで自首する際のポイント

１．犯行現場に近づかないことを誓約する

公然わいせつは被疑者の自宅近くで発生することが多い犯罪です。目撃者もたまたま現場を通りがかったというより、日常的に現場周辺を行き来していることが多いです。

そのため、自首した後も現場周辺を通行していると、目撃者に出会ってしまうことがあります。目撃者としても気が気ではないでしょうし、被疑者が目撃者と接触するおそれがあると警察に判断されると、逮捕される可能性が高くなります。

そのため、自首する際は、現場周辺に近づかないことを誓約した書面を警察に提出します。

２．事件の時と同じ服を着て出頭する

公然わいせつの犯人探しは、防犯カメラの解析によって行われます。防犯カメラに写っている犯人の服と同じデザインの服が被疑者の自宅にあれば、犯人性を裏づける強力な証拠になります。

そのため、公然わいせつの初動捜査は、家宅捜索から始まることが多いです。

自首する際、事件当時に着ていた服と同じ服を着用して出頭すると、あえて家宅捜索をする必要がなくなるため、ある日突然捜査員が家に来るという事態を避けることができます。

３．迷惑防止条例違反の可能性にも留意する

不特定多数の前で露出をした場合は公然わいせつ罪が問題となりますが、特定の人物に対して露出した場合は、公然わいせつというよりも、迷惑防止条例の「卑わいな言動」に当たることが多いです。

迷惑防止条例違反で立件された場合の方が、示談の成立が不起訴に結びつきやすいです。

そのため、「特定の女性を意識して露出した」、「その女性以外に周囲に人はいなかった」といった事情があれば、弁護士が書面に記載して警察に提出します。

公然わいせつの証拠がない場合も自首できる？

自首の要件として証拠があることは必要とされていません。

とはいえ、本人の供述以外の証拠（防犯カメラ映像や目撃証言など）が何もない場合は、出頭しても事件として立件されず、自首として扱われないことが多いです。

刑事事件にならず、被疑者として取り扱われることもないため、出頭した本人とっても不利益はありません。

後日、目撃者から通報があった場合は、目撃証言が証拠になりますので、最初に出頭した日に自首したものとして、自首調書が作成されます。

公然わいせつで自首した当日の流れ

１．取調べ

警察に出頭すると取調室に案内され取調べを受けます。事件や身上について聴取され、自首調書を作成します。取調べが終了すると取調べ状況報告書を作成します。

⇒自首調書とは？内容や作成のポイントを弁護士が解説

２．警察署で写真撮影

取調室や廊下で顔写真と全身写真を撮影します。防犯カメラ映像と比較するため、犯行当時に着ていた衣類を着用してきてもらいます。

３．車両の撮影

公然わいせつの現場に車やバイク、自転車で行った場合は、それらの車両を撮影します。そのため、出頭する際は事件の時と同じ車両に乗ってきてもらいます。

４．露出した現場で実況見分

警察車両で露出をした現場に移動し、実況見分を行います。１０分程度で終わることが多いです。

５．身元引受け

警察署に戻ってきた後に、警察が家族や上司に連絡して身元引受人として迎えに来てもらいます。弁護士が自首に同行した場合は、弁護士が身元引受人になることにより、家族や上司へ連絡がいかないようにします。

公然わいせつで自首した後の流れ

１．送検前

自首してから２，３か月で捜査資料が検察に引き継がれることが多いです（書類送検）。担当者の忙しさによっては送検まで６か月程度かかることもあります。

自首した当日以外に警察署に１，２回出頭し、指紋やDNAを採取されたり、事件についての供述調書や身上についての供述調書を作成します。

２．送検後

書類送検されたら担当の検察官が決まります。通常は検察官の取調べを１回受けてから処分が決まることが多いです。

検察官の取調べを受けたときに略式手続についての説明があれば、略式起訴され罰金になる可能性が高いです。

⇒略式裁判とは？罰金の金額や払えない場合について弁護士が解説

略式手続について説明がなかったときは不起訴になる可能性が高いです。ただし、前科がある場合は公判請求の可能性もあります。

公然わいせつの自首同行の弁護士費用

ウェルネスの自首同行の弁護士費用は２２万円（税込）です。自首した後の弁護士費用は次の通りです。

・着手金…１１万円（税込）

・不起訴の報酬金…２２万円（税込）

本人の供述以外に証拠がない場合は、事件化しない可能性が高いため、弁護士費用は自首同行の２２万円のみになる可能性が高いです。

公然わいせつの自首の解決事例

１．事案の概要

ご依頼者が陰茎を露出して自慰行為を女性に見せつけた事件。女性に「通報しますよ」と言われて逃げた後、近くにとめていた車をとりに現場に戻ったところ、女性がこちらを見ながら携帯電話で話をしていました。

ご依頼者は通報された可能性が高いと判断し、自首同行をウェルネスに依頼されました。ご依頼者には公然わいせつの罰金前科が１件、懲役前科が１件ありました。

２．弁護活動

ご依頼後速やかに弁護士が自首に同行しました。やはり通報されていましたが、速やかに自首して洗いざらい供述したことが評価され、逮捕を回避することができました。

その後、弁護士が捜査員から被害者の連絡先を教えてもらい、示談交渉に入りました。当初、被害者からかなり高額の示談金を請求されましたが、弁護士が粘り強く交渉した結果、妥当な金額で示談をすることができました。

ご依頼者には同種前科があるため、再発防止策として、性依存症のクリニックに通院してもらいました。検察官にこれらの活動を評価してもらい、公然わいせつの前科が２件ありましたが、不起訴になりした。

３．弁護士費用（税込み）

４．弁護士のコメント

公然わいせつは重大犯罪ではありませんので、同種前科があっても自首すれば逮捕を回避できる可能性が高いです。

公然わいせつの自首でお悩みの方はお気軽にウェルネス（０３－５５７７－３６１３）へご相談ください。

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自首に弁護士が同行するメリットや同行の弁護士費用について