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痴漢は迷惑防止条例違反か強制わいせつになる!違いや刑罰は?
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
痴漢をしたらどんな犯罪になる?
痴漢は、①各都道府県の迷惑防止条例違反になるケースと、②刑法の強制わいせつ罪になるケースがあります。
迷惑防止条例違反になるか強制わいせつになるかの基準は、「下着の中に手を入れたかどうか」です。
下着の中に手を入れて直接、陰部や乳房を触った場合は強制わいせつ罪になります。着衣や下着の上から触った場合は迷惑防止条例違反になります。
迷惑防止条例違反の最高刑は、都道府県によって異なりますが、懲役1年か2年です。これに対して、強制わいせつ罪の最高刑は10年とずっと重くなります。
痴漢のうち9割以上は迷惑防止条例違反のケースです。強制わいせつで立件されるケースはそれほど多くはありません。
痴漢の刑罰
迷惑防止条例は都道府県ごとに定められています。東京1都3県の刑罰は以下の通りです。
都道府県 | 通常の場合 | 常習の場合 | |
迷惑防止条例違反 | 東京都 | 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
埼玉県 | |||
千葉県 | |||
神奈川県 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | |
強制わいせつ罪 | 6ヶ月〜10年の懲役 |
強制わいせつは刑法で定められていますので、刑罰は全国一律で懲役6ヶ月~10年です。
迷惑防止条例違反の痴漢と強制わいせつの痴漢-共通点
迷惑防止条例違反にあたる痴漢も強制わいせつに当たる痴漢も、被害者との間で示談が成立すれば不起訴の可能性が高くなります。
強制わいせつは、以前は、告訴がなければ起訴することができない犯罪でしたが、2017年に刑法が改正され、告訴がなくても起訴できるようになりました。
そのため、現在では、被害者と示談しても確実に不起訴になるとはいえません。もっとも、初犯の方の場合は、示談が成立すれば、不起訴になる可能性が非常に高いです
迷惑防止条例違反の痴漢と強制わいせつの痴漢-2つの違い
1.強制わいせつの方が逮捕される可能性が高い
強制わいせつにあたる痴漢の方が、「下着の中に手を入れた」という点で、迷惑防止条違反にあたる痴漢よりも悪質であり、刑罰も重くなるため、逮捕される可能性が高くなります。
2.強制わいせつは初犯でも懲役になり得る
迷惑防止条例違反は懲役刑と罰金刑が定められています。前科・前歴のない方が痴漢をして迷惑防止条例違反で検挙された場合、示談が成立しなければ、略式裁判という簡単な手続きで罰金になることが多いです。
これに対して、強制わいせつの場合は、そもそも罰金刑がありません。そのため、<略式裁判→罰金>というルートがなく、示談が成立しない限り、正式裁判で審理され懲役刑となる可能性が高いです。
初犯であれば執行猶予がつくと思われますが、猶予期間中に再犯をして検挙されれば、次は実刑になる可能性が非常に高いです。