痴漢で再度の執行猶予を獲得したケース

事案の概要

ご本人（４０代男性・会社員）は、以前、強制わいせつで逮捕・起訴され、懲役１年・執行猶予３年の判決を受けましたが、執行猶予期間中に、ショッピングセンターで女性の臀部を触ってしまいました。

弁護活動

１．自首

ご本人は以前に強制わいせつ事件を起こした際は、事件の数か月後に逮捕されました。その経験をふまえ、後日逮捕を回避するため、自首をすることになりました。

弁護士が自首に必要な書類を作成して、ご本人・奥様と一緒に大晦日に警察署に出頭しました。被害届が出ていましたが、自首したことが評価され、逮捕されることはありませんでした。

２．再発防止の取組み

ご本人は執行猶予中に痴漢をしてしまったことで自身の病的な傾向を自覚し、性犯罪治療のクリニックに通院し、再犯防止プログラムを受けることになりました。

また、ご本人から奥様に毎日SNSでGPS情報を送信するようにしてもらい、一人での外出を極力控えてもらうことにしました。

３．示談

弁護士が被害者のお父様と電話でお話しし、面談の約束を取り付けました。後日、弁護士がご本人と一緒にお父様と面談し、ご本人に直接謝罪してもらいました。

お父様からは執行猶予中の再犯であることを指摘され、厳しい言葉をいただきましたが、最後は今後の更生に向けて暖かいメッセージもいただきました。

その後、お父様から被害者である娘様に加害者の状況をご説明いただき、示談が成立しました。

４．刑事裁判

刑事裁判では、ご本人の再犯防止の取組みを証拠化し、裁判所に提出しました。

具体的には、再犯防止プログラムに参加してもらうたびにご本人にレポートを作成してもらい、弁護士がそれらのレポートを裁判所に提出しました。薬物療法も受けていたため、薬局の領収書も裁判所に提出しました。

奥様にも情状証人として出廷してもらい、日々ご主人をどのように監督しているかを話してもらいました。

裁判所には、痴漢の態様が悪質とまではいえないこと、自首したこと、示談が成立していること、再発防止のために努力していること、妻の監督が期待できること等が評価され、再度の執行猶予（懲役１０月・執行猶予４年・保護観察付き）を獲得することができました。

弁護士のコメント

執行猶予中の再犯のケースでは、示談をするだけでは不十分です。専門の医療機関に通い、再犯防止に向け具体的な努力をしていることを証拠化し、裁判所に提出することが必要です。

今回のケースではそれらに加えて、自首をしていたという有利な事情もあり、再度の執行猶予を獲得することができました。

⇒ご本人の直筆メッセージ

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