クレジットカードの不正利用で逮捕を防ぐ方法

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

クレジットカードを不正利用するケース

他人のクレジットカードを不正利用するケースで最も多いのは、財布を置き引きして、中に入っていたクレジットカードを勝手に使ってしまうケースです。このページでもこのようなケースについて解説しています。

 

クレジットカードを不正利用したら何罪になる?

他人のクレジットカードを不正利用した場合、複数の犯罪が成立します。ここでは、置き引きした財布に入っていたクレジットカードを不正利用したケースについてみていきましょう。

 

①財布の置引きについて

飲食店のトイレやパチンコ店で、クレジットカードが入った財布を置き引きした場合、窃盗罪が成立する可能性が高いです。

 

財布の持ち主に占有が認められる場合は持ち主を被害者とする窃盗罪が成立します。持ち主に占有が認められない場合は、店長の占有が認められ、店長を被害者とする窃盗罪が成立する可能性が高いです。

占有について詳しくはこちら置引き

 

持ち主の占有も店長の占有もいずれも認められない場合は、遺失物横領罪が成立します。

 

②クレジットカードの不正利用

クレジットカードを不正利用した点については、カードを使った店(加盟店)を被害者とする詐欺罪が成立します。クレジットカードの名義人ではないにもかかわらず、名義人のふりをして、加盟店の店員をだまして商品を得ているからです。

 

加盟店はカード会社から立替払いを受けられるので、実質的な損害はありません。しかし、詐欺罪では、トータルで損をしたかどうかではなく、個別に損害としてカウントするので、加盟店にも損害が認められ、詐欺の被害者とみることができます。

 

カードを不正利用する際、売上げ票にカード名義人の署名をした場合、私文書偽造罪および偽造私文書行使罪も成立します。

 

クレジットカードの不正利用と逮捕の可能性

クレジットカード会社は、自社で発行しているクレジットカードについて、利用された日時や店舗のデータを保有しています。カードの名義人やカード会社から通報を受けた警察が、カード会社に照会して、これらのデータを入手します。

 

その後、不正利用された加盟店の防犯カメラを確認し、そこを起点にして複数の防犯カメラを順次分析していくリレー方式で被疑者の住居を特定し、逮捕することが考えられます。

 

クレジットカードの不正利用で逮捕を防ぐ方法

他人のクレジットカードを不正利用した場合、警察に自首することによって逮捕を防げる可能性が高まります。出頭する警察署は、財布やカバンを置き引きした場所を管轄する警察署になります。自首する際は、手元にある以下の物を警察署に持参します。

 

①置き引きした財布やカバン、クレジットカード等

②クレジットカードで購入した商品

③商品のレシート

④不正利用したクレジットカードでいつ、どの店で、何を、いくらで購入したかをまとめたリスト(覚えている範囲で結構です)

 

捜査員は、現場周辺の防犯カメラに写っている人物と出頭した本人の同一性を確認しますので、置き引きしていた時に着ていた服を着用して出頭します。また、可能であれば、カードの不正利用をしたときに着ていた服も全て持って行きます。

自首の相談は弁護士へ

 

クレジットカードの不正利用で家族らに発覚することを防ぐ方法

他人のクレジットカードを不正利用した後、警察署に自首した場合、逮捕されなければ、家族や上司に身元引受人として警察署まで迎えに来てもらいます。

身元引受人と刑事事件

 

そのため、自首した時点で家族や上司に事件の概要が発覚することになります。このような事態を避けたければ、自首する際に弁護士に同行してもらいましょう。弁護士と一緒に出頭すれば、弁護士が身元引受人になることで、家族らに発覚することを防ぐことができます。

 

もっとも、繰り返し不正利用したケースでは、自首の際、手元にある全ての商品を警察に持参しても、家宅捜索される可能性が十分にあります。

 

本来、家宅捜索は、裁判所の令状を得て抜き打ちで実施するものですが、自首して素直に取調べに協力すれば、あらかじめ捜査員と日程調整することが可能なケースもあります。この場合は、同居の家族が自宅を留守にしているときに、捜査員に来てもらうことになります。

 

ウェルネスの弁護士も捜査員と交渉してこのように対応してもらったことがあります。

 

カードの不正利用と不起訴の可能性

実質的な被害者との間で示談が成立すれば、不起訴処分の可能性が高くなります。カード会社がカードの名義人に不正利用された金額を補償しているケースでは、カード会社が実質的な被害者になります。

 

カードの裏面に署名していなかった等の理由により、カードの名義人がカード会社から補償を受けられなかった場合は、名義人が実質的な被害者になります。

 

財布やカバンごと置き引きしたケースでは、カードの名義人は当然、財布やカバンについては補償を受けられませんので、カード会社から不正利用分について補償を受けているか否かにかかわらず、カード名義人との間で示談をする必要があります。

不起訴処分を獲得する

 

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