労役場とは?場所・期間・留置までの流れ・生活状況など

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しました。

 

 

労役場とは?

労役場とは、刑事裁判で確定した罰金や科料を納付できないときに留置され、強制的に労働をさせられる場所のことです。

 

罰金や科料の未払いを許すと、悪いことをしたのに刑罰を受けないということになりますし、きちんと納めている人と比べて不公平になります。そのため、法律で、罰金や科料を納付しない人は、労役場に留置されることになっています。

 

「〇〇労役場」という専用の施設があるわけではなく、全国の刑務所や拘置所の中に併設されています。東京拘置所にも労役場があります。

 

【科料と罰金のちがい】

どちらも財産刑ですが罰金は1万円以上で科料は1000円以上1万円未満です。

 

【刑務所と拘置所のちがい】

刑務所…受刑者を収容する施設

拘置所…裁判で刑が確定する前の人を収容する施設

 

検察庁の統計によれば、2018年は約4000人の方が労役場に留置されています。

 

労役場に留置される期間

労役場に留置される期間は、法律で「1日以上2年以下の期間」と定められています。

 

数十万円程度の罰金であれば、1日あたり5000円として、罰金額÷5000円の日数だけ収容されることになります。端数は1日としてカウントされます。

 

【罰金を命じる略式命令の主文】

被告人を罰金〇万円に処する。この罰金を完納できない場ときは、金5000円を1日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。ただし、端数を生じたときはこれを1日とする。

 

罰金が数百万円になる場合は、前述したように2年までしか収容できないため、1日あたりの換算額は5000円よりも高くなります。

 

労役場に留置されるまでの流れ

東京地検本庁が徴収事務を担当しているケースで、労役場に留置されるまでの流れは次のとおりです。地域によって多少違いはありますが、他の検察庁でもほぼ同様と思われます。

 

【東京地検でのよくある流れ】

①検察官が略式起訴→略式裁判で審理される。

②罰金・科料の略式命令が自宅に届く。

③約週間後に罰金・科料の納付用紙が届く。支払期限は約週間後に設定されている。

④罰金・科料の刑が確定する(正式裁判を請求しない限り略式命令が届いた日の翌日から2週間後に確定します)。

⑤前記③の支払がない場合は、支払期限の約週間後に、徴収担当の事務官が督促状①を本人に発送する。督促状①の支払期限は約週間後に設定されている。

⑥それでも支払がない場合、督促状①の支払期限の約週間後に督促状②を発送する。督促状②の支払期限は約週間後に設定されている。

それでも支払いがない場合は労役場留置の手続に入ります。

 

⑦徴収担当の事務官が本人に電話または呼出状を送付することにより、「〇月〇日〇時〇分に東京地方検察庁に出頭してください」と通知します。指定された日時・場所に出頭すれば、身柄を拘束され労役場に移送されます。

⑧本人を呼び出しても出頭しないときは、収容状を発付します。

⑨検察事務官や警察官が本人を拘束して労役場に留置します。

 

東京地検本庁でも常にこの流れになるわけではありません。本人から検察庁に電話して「お金が全然ありません」と言ってきた場合や、生活保護の受給者でお金がないと思われる場合は、督促手続を省いて、早期に収容手続に入ることもあります。

 

分割払いで労役場を避けられる?

刑法では以下のように罰金・科料の一部納付を前提とした規定がありますが、実務では分割払いはほとんど認められていません。

 

【刑法18条6項】

罰金又は科料の一部を納付した者についての留置の日数は、その残額を留置1日の割合に相当する金額で除して得た日数(その日数に1日未満の端数を生じるときは、これを1日とする。)とする。

 

例外的に分割払いが認められる余地があるのは、「重い病気にかかっていて収入を得る見込みがないが、親族の援助などで分割払いであれば何とか納付できる」ケースです。その場合でも診断書の提出は必須となるでしょう。

 

「生活が苦しい」という理由だけではまず分割払いは認められません。インターネットでは「罰金の分割払いも認められる」といった記事が散見されますが、決して簡単には認められないので注意が必要です。

 

「どうせ罰金になっても月2,3万円の分割払いにしてもらえれば問題ない。」等と軽く考えないようにしてください。

 

検察官が研修を受ける際も、「罰金の具体的な納付方法については被疑者に説明するな。」と教えられるようです(筆者が元検察官の知人から聞いた話です)。被疑者に罰金の納付方法を説明すると、「分割払いできますか?」と聞いてくる方が多いため、分割払いの話自体を避けるためだと思われます。

 

自己破産して労役場留置を避けられる?

自己破産をしたからといって労役場に入らなくてもすむというわけではありません。自己破産をすれば借金は原則としてゼロになりますが(「免責」といいます)、罰金や科料は、例外的に破産しても免責されないと法律で決まっているからです。

 

労役場を避けるためには、何とかしてお金を調達して、納付するほかありません。

 

労役場の「労役」とは?

労役場での「労役」とは軽作業のことです。具体的には、刑事施設が民間企業から受託した紙袋の作成などをします。映画に出てくる強制収容所のように、過酷な肉体労働を強いられるわけではありません。

 

労役場での生活

1.1日の流れ(東京拘置所の場合)

6:40

起床

6:45

点検(番号で呼ばれる)

7:00

朝食

7:30

作業開始

 11:50 

昼食

12:20

作業開始

16:20

夕食

16:40

点検

17:00

余暇

21:00

消灯

 

2.どんな部屋?

鉄格子のある雑居房で、部屋の中に仕切りだけのトイレがあります。刑務所と聞いて一般的にイメージするような部屋です。

 

3.お風呂は?

毎日入浴することはできません。夏場は「週3日」、冬場は「週2日」だけ入浴できます。入浴時間も15分に制限されています。

 

4.自由時間はあるの?

17時から消灯までは自由時間です。自由時間といっても、労役場に入る前に携帯電話などの所持品は預りとなっていますので、自由に使うことはできません。

  

5.面会できるの?

懲役刑の受刑者と同様、原則として家族・親族のみ面会が許可されます。単に友人・知人というだけで面会することはできません。

 

労役場から1日でも早く出る方法

労役場に入れば、通常1日あたり5000円としてカウントされるため、罰金・科料の金額から<労役場で過ごした日数×5000円>を差し引いた残額を検察庁に納めれば、すぐに出してもらうことができます。

 

本人は労役場に留置されているため家族が検察庁に残額を納めることになるでしょう。

 

労役場留置を避けるために

労役場への留置を避けるためには罰金や科料を納付することが必要ですが、そもそも不起訴処分を獲得できれば、罰金や科料を納付する必要がないため、当然、労役場に入ることもありません。

 

罰金や科料であっても前科がつきますが、不起訴であれば前科もつきません。

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逮捕・勾留されていなければ、刑事事件が発生してから罰金や科料の通知(略式命令)を受けとるまでに数か月かかることが多いです。通知を受けとった後ではもう手遅れです。

 

不起訴を目指すのであればお早めに弁護士にご相談ください。

 

ウェルネスでは既に罰金や科料の通知を受けた方については、ご相談をお受けしておりません。ご質問がある方は納付用紙や督促状に記載されている検察庁の徴収担当までお問い合わせください。大変申し訳ございませんがご理解のほどお願いいたします。

 

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