少年が逮捕されたら弁護士を呼ぼう

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

逮捕された少年に弁護士が必要な理由

少年は成人に比べ精神的に未成熟で、誘導されやすく、捜査官の都合のいいように供述調書を作られてしまうことが多いです。とりわけ逮捕・勾留されたケースではこのような傾向が顕著です。

 

刑事手続きについての理解も十分ではなく、家族や友人と離れ離れにされ、先の見えない不安や緊張にさらされています。

 

弁護士が、早い段階から、少年に手続の流れや取調べにどのように対応すればよいのかをわかりやすく説明し、事件を起こした原因を共に考え、更生に向けた環境調整を行うことが必要です。

  

逮捕された成人と弁護士

成人の場合は、逮捕されると、通常、留置場の雑居房に収容されます。

 

雑居房では、入所者同士で、お互いの事件の内容や処分の見込み、捜査官とのやりとり、留置係官の人柄、刑務所事情などについて、活発に情報交換が行われます。交わされている情報は事実ではないことも多く、信頼性に欠ける面があることは否めません。

 

ただ、ほとんどの被疑者は、国選・私選の別はともかくとして、弁護士をつけており、そのような環境にいると、刑事手続の知識がなくても、「弁護士をつけるのが普通」ということはすぐにわかります。

 

そのため、ご家族が私選弁護士をつけていない場合は、本人から留置係官を通じて、速やかに当番弁護士や国選弁護士を呼んでもらうという流れになりやすいです。

 

 逮捕された少年と弁護士

少年事件の場合は、たった一人で収容され同房者が誰もいないことが少なくありません。留置場では少年と成人を分けて収容しなければいけないというルールがあります。精神的に未成熟な少年が、成人から悪しき影響を受けないようにするためです。

 

もっとも、逮捕・勾留される少年は、成人に比べかなり少ないため、留置場に収容された時点で、本人以外に誰も少年がいないというケースも少なくありません。その場合、たった一人で少年房に留置されることになります。孤独な環境で、弁護士を選任することなく、成り行き任せで取調べに対応しているケースも見受けられます。

 

留置係官は、少年に対して、当番弁護士や国選弁護士を呼べることは説明してくれますが、弁護士の重要性を説明したり、弁護士の選任を親身になって勧めるようなことまではしてくれません。

 

ご両親も「本人が弁護士を希望していないので、まあいいか。」等と考えてしまいがちです。

 

しかし、これは大きな間違いです。精神的に未成熟な少年だからこそ、成人以上に弁護士の必要性は高いです。ご両親が速やかに私選弁護士をつけるか、少年と面会して、国選弁護士を呼ぶように働きかけるべきです。

 

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