少年事件と早期釈放

痴漢盗撮万引き(単独犯)、暴行(単独犯)等の軽微な事件では、逮捕されたとしても勾留されずに早期釈放されるケースが少なくありません。

 

これから早期釈放の流れと弁護士ができることについて解説していきます。

 

 

 

少年事件-逮捕後の流れ

逮捕後の流れは、基本的には成人の刑事事件と同じです。すなわち、逮捕(最長3日)→勾留(最長20日)という流れで進んでいきます。

 

逮捕から勾留に移行するタイミングで、①検察官による勾留請求と②裁判官の審査があります。検察官の勾留請求を裁判官が審査して、「勾留の必要性がある」と判断した場合は勾留されます。

 

逆に言うと、次の2つのケースでは、勾留されないということになります。

①検察官が勾留請求しない

②裁判官が審査した結果、勾留の必要性がないと判断した

 

これらの場合、勾留されることはありません。ではその後の流れはどうなるのでしょうか?

 

少年事件-勾留されないときの流れ

成人の刑事事件では、勾留されなければ、すぐに釈放され在宅事件に移行します。

 

少年事件の場合は、②裁判官が勾留の必要性がないと判断した場合はすぐに釈放されますが、①検察官が勾留請求をしなかった場合は、すぐに釈放せず、少年の身柄を家庭裁判所に送致することがあります。

 

この場合、家庭裁判所の裁判官が少年と面接して、少年鑑別所に収容する措置(「観護措置」といいます)をとるかどうかを判断します。ここで裁判官が観護措置の決定をすれば、少年鑑別所に収容されます。決定がなければ裁判官と面接した当日に釈放されます。

 

釈放されても、その時点で少年事件がすぐに終了するわけではありません。多くのケースでは、家庭裁判所調査官の調査を経て少年審判(少年の裁判)が開かれます。

 

少年事件-早期釈放のために弁護士ができること

勾留前に少年を釈放させるためには、次の2つを達成する必要があります。

 

①少年が勾留されることを阻止する

②少年が鑑別所に収容されることを阻止する

 

①について

勾留を阻止するために、弁護士が検察官に対して、勾留請求しないよう求める意見書を提出します。もし、勾留請求された場合は、弁護士が裁判官に対して、検察官の勾留請求を却下することを求める意見書を提出します。

 

②について

弁護士が家庭裁判所の裁判官に対して、観護措置決定を出さないよう求める意見書を提出します。弁護士が裁判官と面接をして、直接、釈放を申し入れることもあります。

 

少年事件-痴漢で早期釈放された場合のイメージ

 

事件の流れ

弁護活動

1月22日午前

痴漢で現行犯逮捕される

 

1月22日午後

 

弁護士が警察署で少年と接見

1月23日午前

少年がバスに乗って検察庁に到着

検察官の取調べ

勾留請求しないで家庭裁判所に送致

弁護士が検察官に意見書を提出し、勾留請求しないよう要請する

1月23日午後 

少年が検察庁から家庭裁判所に移動

裁判官が弁護士と面接した後に少年と面接

観護措置決定をしない

少年が迎えに来た両親と一緒に自宅に帰る

弁護士が裁判所に少年鑑別所に収容しないことを求める意見書を提出

弁護士が裁判官と面接し釈放を求める

釈放後

1月24日

家庭裁判所調査官が、少年が卒業した小学校と中学校に学校照会を行う

弁護士が在学中の高校には学校照会しないよう調査官に要請

1月29日

学校からの回答が調査官のもとに到着

 

2月6日

 

弁護士を通じて被害者と示談が成立

2月8日

調査官が少年と保護者に保護者照会書と少年照会書を発送

弁護士が保護者照会書と少年照会書の書き方をアドバイス

2月25日

調査官が少年と保護者に面接

弁護士が面接の対応方法をアドバイス

3月5日

調査官が少年調査票を裁判官に提出

弁護士が少年調査票を閲覧した上で、裁判官と面接

3月25日

少年審判

 

 

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