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東京拘置所での生活
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
目次
東京拘置所と食事
ほとんど全ての収容者が、「東京拘置所のごはんは留置場よりもずっとおいしい。」と言います。留置場のごはんとの一番の違いは、あたたかいということです。
拘置所では、受刑者が所内の炊事場でごはんを作っています。ごはんの時間になると、「配当配当」という放送が流れます。その後、受刑者が部屋の前にできたてのご飯を持ってきてくれます。食器は部屋に備え付けられており、食事が終わった後は、部屋の水道を使って自分たちで洗います。
東京拘置所と運動
東京拘置所では運動の時間があります。平日のみ毎日30分です。拘置所の屋上が運動場になっています。運動といっても、野球やサッカー、バスケットボール等の球技はできません。できるのはランニング、体操、筋トレくらいです。入所者同士で雑談もできます。
運動場は天井が柵になっているだけの吹きさらしですので、冬はかなり寒いです。そのため、運動場に出たくなければ出る必要はありません。雑居房の収容者は同時に20人前後で運動場に出ます。独居房の収容者は運動するときも1人で運動しますが、入所時に「グループ運動」を希望すれば、3~5人程度の集団で運動場に出ることもできます。
屋外での運動とは別に室内体操の時間もあります。土日祝日含め、午前15分、午後15分です。
東京拘置所と洗濯
東京拘置所ではパンツ、シャツ、靴下以外の衣類は洗濯してくれません。スエット等を洗濯してもらいたいときは、いったん家族に宅下げして、自宅等で洗濯してもらった後に再び差し入れてもらうことになります。
洗濯の回数は週に4回です。自分用の洗濯ネットに洗濯物を入れておくと、洗濯係の受刑者が回収しにきてくれます。翌日、生乾きのものが戻ってきますので、部屋の中で干して乾かします。洗剤の臭いが独特で、あまり汚れも落ちないと言われています。
東京拘置所と入浴
入浴は週に2回程度です。時間は15分です。この時間に入浴だけでなく、着替えや整列もすませなければいけませんので、あまり余裕はありません。雑居房の収容者は集団で入浴しますが、入浴中話をすることはできません。独居房の収容者は入浴も一人で行います。
東京拘置所と冷暖房
東京拘置所には部屋の中に冷暖房の設備はありません。廊下には冷暖房の設備があり、部屋の扉に設置された通風口を開いて、廊下の冷気や暖気を取り込みます。天井にもダクトがあります。
ただ、これだけでは冷暖房としては不十分ですので、夏や冬はかなり辛いと言われています。夏は入所者にうちわが配られます。
東京拘置所と雑誌・お菓子の購入
東京拘置所では、入所者が自ら雑誌やお菓子などを購入することができます。注文してから手元に届くまでに1週間程度かかります。購入可能な品物のリストが用意されているわけではありませんので、注文しても取扱いがなければ、購入できません。雑誌については、有名な雑誌であればほとんど取り扱いがあります。
東京拘置所と官本
東京拘置所では無料で本を借りることができます。この本を「官本」といいます。入所者は、官本の番号が書かれたリストをもらい、番号を指定して借ります。週に2回、1回あたり3冊まで借りることができます。官本のストックは4カ月ごとに入れ替えられます。
東京拘置所と人間関係
独居房は一人しかいませんので上下関係はありませんが、雑居房は複数の入所者がいますので、上下関係があります。基本的には、拘置所への入所が早い人ほど上の立場になります。最も早い人が「1番手」、以下、順次「2番手」、「3番手」、「4番手」と続いていきます。
トイレ掃除は新入りの入所者が行います。1番手になるとごはんの盛り付けの際、多めに持って行ったりします。1番手が保釈、執行猶予、実刑判決などで部屋からいなくなると、番手が繰り上がることになります。
東京拘置所と勉強
留置場では、本とボールペンを同時に利用することはできません。これに対して、東京拘置所では本とボールペンを同時に利用することができます。自分の本であれば、ボールペンで書き込むこともできます。シャープペンシルを買うこともできます。そのため、留置場に比べ勉強しやすい環境といえるでしょう。
東京拘置所と時計
東京拘置所では部屋の中に時計がありません。そのため時間の感覚がおかしくなってくると言われています。ラジオも流れていますが、一度録音したものを時間をおいて流していますので、放送内容から現在の時刻がわかるわけではありません。現在時刻は食事の時間により把握することになります。
東京拘置所と姿勢
東京拘置所では、就寝時間、午睡の時間、室内体操の時間などを除いて、部屋の中で寝転がることはできず、ずっと座布団の上に座っていなければいけません。もし寝転がっているところを職員に見つかると注意されます。腰が痛かったり、多少体調が悪くても、寝転がることはできません。慣れるまではかなり辛いと言われています。
東京拘置所と医療
東京拘置所には所内に医務室があり、医師もいます。具合が悪くなると連れて行ってもらえます。各種の検査を受けたり、薬をもらうことができます。
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