暴行罪の示談金の相場は?示談なしでも不起訴になる?

このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。

 

 

 

 

暴行罪の示談金の相場は?

暴行罪の示談金の相場は10万円前後です。

 

 

ナンパ中に女性の腕を引っ張ったなど性的な要素がある場合は10万円より高くなる傾向があります。DV事件で被害者に何度も暴行している場合は10万円を超えることが多いです。

 

 

逆に相互暴行(けんか)のケースでは、10万円よりも低い慰謝料で示談がまとまることもあります。

相互暴行に強い弁護士

 

 

暴行罪の示談金の内訳は?

暴行罪は傷害罪と異なり、被害者にケガが生じていません。そのため暴行罪の示談金の中に治療費や通院交通費は含まれません。暴行罪の示談金は、主として暴行を受けた精神的ショックに対する慰謝料になります。

 

 

傷害罪と異なりケガをしていないため、多額の休業損害が発生することはありませんが、警察や検察への対応などで半日や1日仕事を休んだ場合は、それに対応して休業損害が発生します。

 

 

暴行罪で示談をするメリットは?

1.刑事事件にならない

暴行罪の被害者が警察に被害届を出す前に「被害届を出さない」という内容で示談が成立すれば、刑事事件にはなりません。事件にならないため取調べを受けることもありません。前科はもちろん前歴もつきません。ベストな解決といえるでしょう。

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2.送致されない

被害届が出されると刑事事件になり捜査が始まります。捜査はまずは警察によって行われます。警察の捜査が一通り終わると検察に引き継がれます。この引継ぎのことを「送致」といいます。

 

 

暴行罪は比較的軽い犯罪ですので、示談が成立すると送致されないことがあります(不送致)。送致されなければ警察段階で事件が終了となり、早期に刑事手続から解放されます。

 

 

3.不起訴になる

送致されても暴行罪の被害者と示談がまとまっていれば、不起訴になる可能性が高まります。不起訴とは被疑者を刑事裁判にかけない処分です。刑事裁判にならないため、処罰されず、前科がつくこともありません。

 

 

不起訴は送致された後、検察官によってなされる処分です。

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4.早期釈放される

暴行罪で逮捕・勾留されても示談が成立すれば、速やかに釈放される可能性が高くなります。釈放のタイミングは、弁護士が検察官に示談書を提出した当日か翌営業日になることが多いです。

 

 

示談が成立すれば不起訴となり刑事手続から解放される可能性が高くなります。そのため、あえて勾留を続ける必要もなくなるため早期に釈放されるのです。

 

 

5.民事訴訟を回避できる

暴行罪の被害者との間で示談が成立すれば、示談のとりきめに反しない限りは、民事訴訟を提起されるリスクがなくなります。

 

 

示談書に「お互い債権債務なし」という精算条項が入るため、示談金を支払わないなど示談の取り決めに反しない限りは、被害者に請求権が発生しないのです。

 

 

暴行罪で示談しないで不起訴になる?

暴行したことを認めている場合、示談をすれば不起訴になる可能性が高くなります。もっとも、示談なしでも不起訴になることがあります。暴行罪で示談なしで不起訴を狙えるケースは以下の3つです。

 

 

1.軽微な暴行のケース

「電車内で口論になり相手の肩を軽く押した」といった軽微な暴行事件では、本人が反省していれば刑罰を科す必要が高いとまでは言えないため、示談なしでも不起訴になることがあります。

 

 

2.被害者にも落ち度があるケース

被害者から暴言を吐かれて挑発された場合など、相手にも落ち度があるケースでは、示談しなくても不起訴になることがあります。

 

 

相手から暴行されて過剰にやり返した場合は過剰防衛が成立します。過剰防衛については刑を減免することができるとされていますが、それ以前に起訴されないこともあります。

 

 

3.被害弁償をしたケース

被害弁償をすれば示談なしで不起訴になることがあります。被害弁償とは被害者に賠償金を支払うことです。

 

 

「許す」と書かれた示談書にサインしてもらうわけではありませんので、示談に比べると不起訴の確率は下がりますが、悪質な暴行でなければ、被害弁償のみで不起訴になることもあります。

 

 

暴行罪の示談交渉は弁護士に依頼しよう

見知らぬ人に暴行して刑事事件になった場合、被害者と示談交渉をするためには、まず被害者の名前と連絡先を知る必要があります。

 

 

もっとも、暴行罪の加害者が捜査員に「被害者の名前と連絡先を教えてください」と頼んでも、通常、教えてくれません。暴行罪の被害者は個人情報を加害者に知られたくないと思っており、捜査員も被害者の意向を無視するわけにはいかないからです。

 

 

弁護士が間に入れば、被害者としても安心して個人情報を教えることができます。

 

 

知人間の暴行事件などで加害者が被害者の電話番号を知っている場合でも、加害者がいきなり被害者に電話をすると、相手を怖がらせてしまったり、逆に相手から高額な示談金を請求されたりして逆効果になってしまうリスクがあります。

 

 

そのため、被害者の連絡先を知っている場合でも暴行の示談交渉は弁護士に依頼すべきです。

 

 

暴行罪の示談の流れは?

1.弁護士が捜査機関の担当者に連絡を入れる

弁護士が警察や検察の担当者に連絡し、被害者の氏名や連絡先を教えていただけるよう依頼します。

 

 

2.担当者が被害者に確認する

警察や検察の担当者が被害者に電話して、弁護士から示談の申し入れがきているので氏名や連絡先を教えてよいか確認します。

 

 

3.担当者から被害者の氏名などを教えてもらう

被害者が氏名や連絡先を弁護士に教えてよいということであれば、担当者を通じて教えてもらいます。

 

 

4.示談交渉に入る

弁護士が被害者に連絡をして示談交渉をスタートします。弁護士が被害者に面談することもあれば、電話やメールで交渉することもあります。

 

 

5.示談が成立

示談が成立すれば示談書の写しを警察や検察に提出します。