痴漢冤罪で絶対にしてはいけないこと4つと使える対処法2つ

痴漢冤罪で絶対にしてはいけないこと4つと使える対処法2つ

 

満員電車で通勤している男性であれば、誰しも痴漢冤罪と無関係ではありません。

 

 

「この人 痴漢です!」

 

 

女性に痴漢と決めつけられてしまうと、駅事務所に連れて行かれます。その後、やってきた警察官に車に乗せられ、最寄りの警察署に連行されます。

 

 

逮捕されれば懲戒解雇されるリスクがあります。実名報道されれば、仕事も家族の信頼も失い、取り返しのつかないダメージを受けることになります。

 

 

痴漢冤罪の被害者にならないために、このページでは「痴漢冤罪に巻き込まれたときに絶対にやってはいけない4つのこと」「現場で使える2つの対処法」弁護士 楠 洋一郎が解説しています。ぜひ参考にしてみてください!

 

 

痴漢冤罪で絶対にしてはいけない4つのこと

痴漢冤罪で絶対にしてはいけない4つのこと

 

1.痴漢冤罪で逃げてはいけない

痴漢冤罪に巻き込まれたら、現場から走って逃げるようアドバイスする弁護士もいます。しかし、逃げることは決しておすすめできません。逃げようとして取り押さえられると、「痴漢をしたから逃げた。」と思われ、逮捕されてしまいます。

 

 

いったんは逃げおおせたとしても、警察の捜査によって身元を特定されれば後日逮捕される可能性が高くなります。

痴漢の後日逮捕とは?現行犯以外でも逮捕される?弁護士が解説

 

 

都市部の駅にはいたるところに防犯カメラが設置されています。記名式の交通系ICカードを利用して改札を通っていれば、容易に個人情報が特定されます。

 

 

逃げたという事実があれば、逮捕・起訴された後に「痴漢をしていない。」といくら主張したところで、検察官や裁判官に「じゃあなぜ逃げたのか?」とつっこまれ、不起訴や無罪の獲得が難しくなります。

 

 

逃げる際にホームや階段で通行人に接触し転倒させてしまえば、暴行罪や傷害罪が成立します。傷害罪の最高刑は懲役15年で迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪より重いです。

 

 

線路上に逃げると鉄道営業法違反にも問われます。電車がストップすれば鉄道会社から多額の損害賠償を請求されてしまいます。

 

 

このように逃亡することによって多くのデメリットが発生するため、痴漢冤罪に巻き込まれても絶対に現場から逃げないでください。

 

 

2.痴漢冤罪で女性に謝罪してはいけない

女性に腕をつかまれて「痴漢です!」と言われても、痴漢をしていないのであれば、決して謝罪をしてはいけません。はっきりと「私は痴漢をしていません。」と言ってください。

 

 

腕をつかまれた直後に、男性と女性との間でどのようなやりとりがあったのかは、後の刑事手続で、大きな意味をもちます。

 

 

☑ 反射的に「すいません」と言ってしまった

☑ とりあえず謝れば騒ぎがおさまると思った

 

 

現場で謝罪していれば検察官や裁判官にこのようなことを言ってもとりあってくれません。彼らは、「悪いことをしたから謝罪する」という経験則に基づき、あなたが痴漢をしたから謝罪したと考えます。刑事裁判になれば判決書に次のように書かれるでしょう。

 

 

被告人の話を前提とすると、被告人にとって痴漢をしたとの非難は全く予想外のことなのであるから、被害者に対してそのような事実を否定するはずであるが、被告人はホーム上で、被害者に対し「すいません。」と痴漢したことを前提とするような発言をしている。

 

 

そのため、痴漢冤罪に巻き込まれても絶対に謝罪してはいけません。

 

 

3.痴漢冤罪で供述調書に署名指印をしてはいけない

痴漢冤罪に巻き込まれたら、警察署に連行されます。警察署で取調べを受け、供述調書を作成することになりますが、決して調書に署名指印をしてはいけません。

 

 

署名指印のない調書は、刑事裁判で証拠として提出することができません。そのため仮に自分にとって不利なことが書かれていたとしても、マイナスにはなりません。

 

 

【刑事訴訟法】

第322条 被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。

 

 

「自分の言いたいことを全て書いてもらえれば署名指印しても問題ないのでは?」と思うかもしれません。しかし、本人は痴漢冤罪に巻き込まれて精神的に動揺した状態で取調べを受けています。

 

 

そのため、取調べを受けた時点では「問題ない」と思っていても、実際は自分にとって不利な内容の調書になっていることが少なくありません。

 

 

痴漢トラブル直後の初期供述は、記憶が鮮明なときにされた供述として重視されます。そのため、署名指印のある不利な内容の調書が作成されると不起訴や無罪の獲得が難しくなります。

 

 

そのため、弁護士に相談するまでは、絶対に供述調書に署名指印をしないでください。取調官から「あなたが言いたいことは全部書いたので署名指印してください。」と迫られても、「弁護士に相談してから署名指印するかどうか決めます。」と答えてください。

 

 

なお、取調べ自体を拒否すれば、逮捕される可能性が高くなりますので、不本意だとは思いますが、取調べには素直に応じるようにしてください。

 

 

取調べには応じるが供述調書に署名指印をしない

 

 

4.痴漢冤罪で警察に個人情報を隠してはいけない

痴漢冤罪に巻き込まれると、警察官にあなたの氏名や住所、電話番号、勤務先を聞かれます。その際、「何もやましいことをしていないのだから言う必要はない。」として、言わない方がいます。

 

 

しかし、氏名などの個人情報を隠していると、どこの誰かもわかりませんので、警察がいったん解放してしまえば、その後に連絡のとりようがなく、取調べを行うことができなくなってしまいます。

 

 

そのため、警察に「逃亡のおそれがある」と判断され、逮捕されてしまいます。警察は本人を逮捕した後、運転免許証や名刺、携帯電話を押収し、個人情報を把握しますので、隠したところで何もメリットはありません。

 

 

こちらから勤務先を警察に言っても、通常は警察から勤務先に連絡がいくことはありません。もっとも、勤務先を黙秘していると、警察が名刺などを押収し、勤務先に在籍確認の連絡をすることがあります。

 

 

そのため、警察に氏名・住所・勤務先等の個人情報を聞かれた場合は素直に答えてください。

 

 

痴漢冤罪で名刺を渡せば立ち去れる?

痴漢冤罪で名刺を渡せば立ち去れる?

 

弁護士のアドバイスとして「駅事務室に行ったらベルトコンベアー式に逮捕されてしまうので、事務室には行かず名刺を渡して立ち去るのがよい。」というものがあります。

 

 

このアドバイスは痴漢冤罪の有効な対処法といえるでしょうか?

 

 

声をかけてきた女性も、勘違いであるとはいえ、「この男許せない!」と必死になっています。女性にとって、満員電車のなかで「この人痴漢です!」と声を上げるのは、非常に勇気のいることです。

 

 

一大決心をして声をあげた女性が、名刺1枚渡されて、「わかりました」と納得して、すんなり立ち去らせてくれるとは思えません。

 

 

そのため、あなたが名刺を渡して立ち去ろうとしても、女性と押し問答になったり、もみ合いになる可能性が高いです。そのような状況で強引に立ち去ってしまえば、それ自体が「逃亡」とみなされ、逮捕のリスクが上がってしまいます。

 

 

ウェルネスの弁護士は、名刺を渡して立ち去った後に逮捕された方の弁護をしたこともあります。したがって、このようなアドバイスは「現場で実際に使えるアドバイス」とは言えません。

 

痴漢冤罪に巻き込まれたときの2つの対処法

痴漢冤罪の2つの対処法

 

1.痴漢冤罪に巻き込まれたら勤務先に電話する

(1)なぜ勤務先に電話するのか?

痴漢冤罪に巻き込まれたら、まずは勤務先に電話し、「気分が悪くなったので本日は休ませてください。」と言いましょう。

 

 

この時点では、あなたが逮捕されるかどうかわかりませんが、もし逮捕されれば、身柄が拘束されるため、電話をかけることもできなくなります。つまり会社を無断欠勤することになります。

 

 

仮に逮捕されなかったとしても、警察署で取調べを受けることになるため、大幅に遅刻することになります。あらかじめ体調不良で休みますと連絡を入れておけば、勤務先に余計な詮索をされないですみます。

 

 

(2)いつ電話すればいいの?

逮捕されるまでは行動に制限はありませんので、あなたには「電話をする権利」があります。とはいえ、警察官が来た後は、警察官に制止されたりして、事実上、電話をすることが難しくなります。

 

 

そのため、できるだけ現場に警察官が来るまでに電話をしてください。LINEやショートメールで連絡すると、後から返信が必要なメッセージがくることもあります。電話をかけて1回のやりとりで完結させた方がよいでしょう。

 

 

(3)休む日は当日だけでいいの?

痴漢冤罪に巻き込まれた直後の時点では、あなたが逮捕されるかどうかわかりませんし、逮捕されたとしていつ釈放されるかもわかりません。

 

 

もっとも、痴漢で逮捕されても適切な弁護活動をすれば最長3日以内に釈放まで持ち込める可能性が高いです。

 

 

そのため、職場には「2,3日休みます」と言えばよいでしょう。仮に逮捕されなかったり逮捕されてもすぐに釈放されれば、「体調が回復しました」と言って出社すればよいだけの話です。

 

2,痴漢冤罪に巻き込まれたら家族に電話する

(1)家族に伝える3つのこと

痴漢冤罪に巻き込まれたら、勤務先に続いて家族に電話しましょう。家族には次の3点を伝えてください。

 

 

①痴漢冤罪に巻き込まれたこと

②今どこの駅にいるのか

③私選弁護人に依頼してもらいたい

 

 

(2)どうして駅名を伝えるのか?

家族に電話した際、痴漢冤罪に巻き込まれたことを伝えるだけでは不十分です。もし逮捕された場合は、弁護士ができるだけ早く警察署に行って、本人と接見する必要があります。

 

 

接見に行く前提として、弁護士が留置先の警察署を把握している必要があります。痴漢の捜査は、下車駅を管轄する警察署が行いますので、逮捕された場合は下車駅近くの警察署に留置されている可能性が高いです。

 

 

駅名がわからないと警察署を特定することができず、弁護士が通勤ルート沿いの警察署にかたっぱしから電話をして確認することになり、スタートが遅れてしまいます。

 

 

(3)どうして私選弁護人に依頼してもらいたいことを伝えるのか?

痴漢で逮捕された場合、本人は当番弁護士を呼ぶことができます。ただ、当番弁護士は弁護士会から出動要請を受けた時から24時間以内に接見すればよいというルールになっていますので、必ずしも逮捕当日に会いに来てくれるとは限りません。

 

 

また、当番弁護士はさまざまな弁護士が登録している一方で、弁護士を選べないというデメリットがありますので、刑事事件に精通していない弁護士が来ることもあります。

 

 

私選弁護人であれば依頼する側で弁護士を選ぶことができますし、逮捕当日の接見も可能なことが多いです。

 

 

もっとも、逮捕されたら本人はスマートフォンやPCを一切使えなくなるため、自分で私選弁護人に依頼することはできません。そこで家族に私選弁護人へ依頼してもらうことになります。

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痴漢冤罪でお困りの方やご家族が痴漢冤罪で逮捕された方はお気軽にウェルネス法律事務所(03-5577-3613)までお電話ください。

 

 

 

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