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風俗(デリヘル)で本番行為をしたら不同意性交等罪?逮捕や示談も解説
このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。
目次
風俗(デリヘル)で本番行為-不同意性交等罪になる?ならない?
1.不同意性交等罪とは
風俗(デリヘル)で本番行為をした場合、不同意性交等罪が成立する可能性があります。不同意性交等罪とは、相手の意思に反して性交等をすることです。性交等とは以下の行為をいいます。
①性交(膣に陰茎を挿入すること)
②肛門性交(肛門に陰茎を挿入すること)
③口腔性交(相手の口内に陰茎を入れること、自分の口内に相手の陰茎を入れること)
④膣または肛門に陰茎以外の身体の一部または物を挿入する行為であってわいせつなもの
風俗(デリヘル)での本番行為は①の性交に該当します。
2.風俗(デリヘル)での本番行為が不同意性交等罪になるケース
デリヘル嬢への本番行為が不同意性交等罪になるのは以下のケースです。
①デリヘル嬢が嫌がっているのに強引に挿入したケース
②素股をしているときに偶然を装って意図的に挿入したケース
不同意性交等罪の要件として、相手の意思に反していることが必要です。刑法は相手の意思に反するケースを、以下のとおり8つに類型化しています。
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①デリヘル嬢に強引に挿入するケースは上記の1号(暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。)に該当します。
「殴ったり蹴ったりしなければ暴行にならない」と思っている方もいますが、間違いです。相手が嫌がっているのに強引に性交すれば、殴ったり蹴ったりしていなくても「暴行」と評価される可能性が高いです。
②素股中にいきなり挿入されることは、デリヘル嬢にとっては突然のことであり、上記の5号(同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。)に該当します。
3.風俗(デリヘル)での本番行為が不同意性交等罪にならないケース
風俗(デリヘル)で本番行為をすれば常に不同意性交等罪になるわけではありません。デリヘル嬢から裏オプションとして本番行為を持ちかけられてした場合は、デリヘル嬢の意思に反していないため、不同意性交等罪にはなりません。
*デリヘル店が本番行為を黙認していた場合は、経営者や店舗スタッフには風営法違反が成立しますが、本番行為をした客には風営法違反は成立しません。
風俗(デリヘル)で本番行為-不同意性交等罪で逮捕される?
不同意性交等罪は性犯罪の中では最も重い犯罪です。そのため、不同意性交等罪の被疑者になると逮捕される可能性が高くなります。もっとも、風俗(デリヘル)で本番行為をした場合は、一般の方を被害者とする不同意性交等事件に比べて逮捕される可能性は低くなります。
理由は、一般の方と異なり、デリヘル嬢は口淫等のある程度の性行為は最初から許容しているため、違法性の程度が低いと評価されがちだからです。とはいえ、デリヘル嬢を殴ったり蹴ったりして本番行為をした場合は、悪質性が高いため、逮捕される可能性が高くなります。
風俗(デリヘル)で本番行為-刑事事件になった場合の流れは?
弁護デリヘル嬢へ本番行為をして被害届を出された場合は、刑事事件となり警察の捜査が始まります。その後の流れは逮捕された場合と逮捕されない場合で異なります。
1.逮捕された場合の流れ
逮捕されると翌日か翌々日に検察庁に連行され検察官の取調べを受けます。検察官が勾留の要件に該当すると判断すると、裁判官に勾留を請求します。勾留の要件は以下となります。
①罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
②証拠隠滅または逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること
検察官に勾留を請求されると、当日か翌日に裁判所に連行され、裁判官の勾留質問を受けます。裁判官も勾留の要件に該当すると判断すると被疑者を勾留します。
起訴前の勾留期間は原則10日、勾留が延長されると最長20日になります。検察官は最長20日の勾留期間内に被疑者を起訴するか釈放しなければなりません。
2.逮捕されない場合の流れ
デリヘル嬢へ本番行為をした場合でも、必ずしも逮捕されるとは限りません。逮捕されない場合は、最初の呼び出しからおおむね2,3か月程度で証拠書類が検察官に引き継がれます。この引き継ぎのことを「書類送検」といいます。
書類送検されると担当の検察官が決まります。検察官は2,3か月かけて被疑者を起訴するか不起訴にするかを決定します。
風俗(デリヘル)で本番行為-示談のメリットは?
1.刑事事件化を阻止できる
デリヘル嬢の意思に反して本番行為をした場合、デリヘル嬢が店舗スタッフに連絡して助けを求めます。デリヘル嬢から緊急連絡が入ると男性スタッフがホテルの一室に駆けつけ、その場で客を問い詰めます。
客がその場から逃げたり賠償金の支払を一切拒否しない限り、被害者がすぐに被害届を出すことは少ないです。
被害届が出される前に「被害届を出さない」という内容の示談がまとまれば、刑事事件になることはなく、警察が介入してくることもありません。この段階で示談を成立させるのがベストな解決と言えるでしょう。
2.不起訴の可能性が高くなる
被害者であるデリヘル嬢から被害届が出た場合は、刑事事件となり警察の捜査が始まります。最終的には検察官が起訴するか不起訴にするかを決定します。
デリヘル嬢との間で示談がまとまり許してもらえれば、あえて処罰する必要がなくなるため、不起訴になる可能性が高くなります。不起訴になれば刑事裁判にかけられないため、処罰されることはなく前科がつくこともありません。
3.執行猶予の可能性が高くなる
風俗(デリヘル)で本番行為をして不同意性交等罪で起訴された場合は、実刑になる可能性が高いです。刑法上、執行猶予を付けられるのは3年以下の拘禁刑に限られますが、不同意性交等罪の拘禁刑の下限は5年であり3年を超えているからです。
もっとも、デリヘル嬢と示談が成立した場合は、酌量減刑され執行猶予がつく可能性が十分にあります。酌量減刑とは、情状に特に酌量すべき事情がある場合に法定刑の下限と上限を半分に短縮する処分です。
【刑法】
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酌量減刑されれば拘禁刑の下限が5年から2年6月に短縮されますので、執行猶予が見えてきます。
風俗(デリヘル)で本番行為-示談は弁護士に依頼しよう!
デリヘル嬢に本番行為をしたケースでは、加害者は、通常、デリヘル嬢の本名や電話番号を知ることができません。
風俗店に問い合わせても、デリヘル嬢の個人情報は教えてくれません。警察や検察も被害者の意思を尊重しますので、被害者が加害者へ個人情報を教えてもよいと言わない限り、教えてくれません。
弁護士が間に入れば、被害者も安心できるため、個人情報を教えてもらえることが多いです。そのため、示談交渉は弁護士に依頼しましょう。