児童買春で自首できないケースと逮捕の可能性を下げる方法

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

18歳以上と思って児童買春した場合は自首できない

 【よくあるケース】

出会い系アプリで知り合った女の子と実際に会って性行為をしました。事前に18歳と言われていたので、児童買春にはならないと思って、2万円を渡してSEXしました。

 

ところが、昨日、実は17歳と打ち明けられ、学生証を見せてもらったところ、本当に17歳でした。

 

児童買春で逮捕されないか不安で、夜も眠れず仕事も手につきません。自首をすれば逮捕されずにすむということなので、弁護士と一緒に一刻も早く自首したいです。

 

児童買春が犯罪(児童ポルノ法違反)となるためには、相手が18歳未満であることを認識している必要があります。上のケースでは、客観的には児童買春をしていますが、18歳未満であることの認識がありませんので、児童ポルノ法違反は成立しません。

 

また、自首は、自分が犯罪をしたことを捜査機関に自発的に認めることです。このケースのように、「18歳だと思って」女性と性行為をしても犯罪にはならないことから、それを自発的に話したところで自首にはなりません。

 

18歳以上と思って児童買春した場合の逮捕リスク

性行為をしたときに、相手のことを18歳以上と思っていたが、後日18歳未満であることが判明した場合、性行為の時点で故意がないので、児童ポルノ法違反は成立しません。犯罪が成立しない以上、逮捕されたり、処罰されることもないはずです。

 

もっとも、補導やサイバーパトロール等をきっかけとして、児童が警察の事情聴取を受け、その際、「相手の男性には正直に17歳と言いました。」等と供述する可能性もゼロとはいえません。

 

児童買春をしている少女は、不特定多数の男性を相手にしていることが多いため、悪意はなくとも、他の男性とのやりとりと混同して、事実ではないことを言ってしまうことも考えられます。 そのようなケースでは、警察が児童の言い分を信用して、逮捕や家宅捜索を実施する可能性がないとはいえません。

 

18歳以上と思って児童買春した場合の対応方法

(1)警察への相談

性行為をしたときに、相手のことを18歳以上と思っていたが、後日18歳未満であることが判明した場合、故意がないため、児童ポルノ法違反は成立しません。

 

犯罪が成立しない以上、自首はできませんが、誤認逮捕を防ぐために、事前に警察署に出頭することはできます。この場合の出頭は、「自首」ではなく「相談」のための出頭ということになります。

 

(2)相談の流れ

相談の流れは次の通りです。

 

①警察署に出頭する

②相談担当者に事件についてお話しする

③相談者の情報と相談内容が県警全体で共有されるデータベースに登録される。

 

自首とは異なり、相談したことを直接のきっかけとして刑事事件として立件されることはありません。

 

(3)相談の効果

相談したからといって、逮捕や家宅捜索を受ける可能性がゼロになるわけではありません。

 

補導やサイバーパトロール等をきっかけとして、児童が警察の事情聴取を受け、「17歳と言いました。」等と供述した場合は、刑事事件として立件され、強制捜査をされる可能性もあります。ただ、事前に出頭し、「相談」という形で自己の言い分を警察に伝えておくことで、児童の言い分のみで一方的に捜査が進められるリスクを減らすことができます。

 

また、相談の際、「呼び出しを受けた場合はいつでも警察に出頭します」等とお話しし、それを記録しておいてもらうことで、逮捕のリスクを下げることができます。

 

(4)相談の限界

相談することにより、逮捕や家宅捜索のリスクを減らすことができるのは、「相談した警察署」が補導等により児童とコンタクトをとった場合に限られます。

 

例えば、A警察署に相談したあと、B警察署の捜査員が、その児童を補導して捜査を始めたときは、B警察署の捜査員は、被疑者が事前にA警察署に相談していたことを把握していないと思われます。

 

警察に相談した事実や相談内容は、県警全体で共有されるデータベースに保存されますが、通常、警察が児童買春の捜査を進めるにあたり、「被疑者が他の警察署で相談しているかもしれない。」と考え、逮捕や家宅捜索の前に、データベースを検索するようなことまではしていないと思われるからです。

 

そのため、相談したことの効果が及ぶのは、相談した警察署限りとなります。「それでは安心できない」という場合は、児童の行動範囲に所在する複数の警察署に相談していただくことになります。

 

また、B警察署の捜査員によって逮捕された後であれば、弁護士が「事前にA警察署に相談していたこと」をB警察署の担当者や検察官、裁判官に指摘し、早期釈放につなげる余地もあります。

 

18歳以上と思って児童買春したときの弁護士対応

18歳以上と思って児童買春したときは、事後的に18歳未満であるとわかったとしても、児童ポルノ法違反にはならず、自首の余地はありません。

 

ただ、そのようなケースであっても、弁護士から高額の費用で自首をすすめられた方もいるようです。逆に、「どうしようもない」として相談に乗ってくれない弁護士もいるようです。

 

ウェルネスの弁護士は、このようなケースでも、リーズナブルな料金(税込み16万5000円)で、できる限りの対応をさせていただきます。

 

 

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