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児童買春で家宅捜索・逮捕が多い理由と例外3つ
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
児童買春と家宅捜索
1.児童買春の捜査は家宅捜索が基本
警察が児童買春を捜査する際は、家宅捜索を行うことが多いです。
児童買春の被疑者は、スマートフォンでインターネットにアクセスし、Twitterや出会い系アプリを通じて児童と知り合い、その後、LINEやカカオトークを通じて児童と連絡をとりあうことが多いです。
そのため、被疑者のスマートフォンは、児童買春に至る経緯や児童の年齢についての認識を立証するための重要な証拠になります。
もっとも、警察が被疑者にスマートフォンを任意に提出するよう求めると、被疑者がスマートフォンのデータを削除したり、本体を破棄してしまうおそれがあります。
被疑者がスマートフォンを通じて児童と連絡をとりあい、「自分のことは警察に言わないで。」等と口裏あわせをする可能性もあります。そこで、家宅捜索におって強制的にスマートフォンを押収しようとするのです。
2.児童買春の家宅捜索の流れ
家宅捜索は平日の朝に行われることが多いです。通常、4、5名の捜査員が車に乗って被疑者の自宅に来ます。事前に「これから行きますので自宅で待っていてください。」等と連絡が入ることはありません。ある日突然やって来ます。
家宅捜索は裁判所の令状にもとづいて行われる強制処分です。そのため、本人が拒否しても捜査員が家にあがりこんできます。
3.児童買春の家宅捜索で押収されやすい物
児童買春の家宅捜索でよく押収される物を以下の表にまとめました。
押収物 | 押収する目的 |
①携帯電話 | 児童とのやりとりを解析し、買春にいたる経緯や年齢についての認識を確認するため |
②パソコン | 同上 |
③ホテルのメンバーズカード | 事件当時にホテルに滞在していたことを立証するため |
④キャッシュカード類 | 児童買春の直前に児童に渡すお金をATMで引き出していないか確認するため |
⑤事件の日に着ていた衣類 | 防犯カメラに撮影されている犯人の画像と照合するため |
4.児童買春で家宅捜索された場合の注意点
児童買春で家宅捜索された場合は、その場で捜査員に、「押収品のリスト(押収品目録交付書)をください」と言って交付してもらいましょう。後に弁護士に相談する際、そのリストを弁護士に見せてください。
児童買春と逮捕
1.児童買春で被疑者を逮捕する理由
逮捕は逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが高いと判断された場合に実施されます。児童買春は初犯でいきなり実刑になることはなく、社会生活を犠牲にして逃亡することが頭をよぎる犯罪ではないでしょう。
もっとも、児童買春は、痴漢や盗撮のように見ず知らずの人に対して行われる犯罪ではなく、SNS等で何度か連絡を取りあった相手に対して行われる犯罪です。
そのため、再び相手と接触して口裏合わせをすることが可能なケースが多く、証拠隠滅のおそれはそれなりにあるといえるでしょう。そのため、警察が児童買春の被疑者を逮捕することは決して珍しいことではありません。
2.児童買春で逮捕されるタイミング
児童買春で逮捕されるタイミングは、家宅捜索の直後になることが多いです。ひととおり捜索が終わった後、被疑者を警察車両に乗り込ませ、車内で逮捕状を執行することが多いです。
警察も最低限の配慮はしてくれますので、妻や子供の目の前で逮捕状を読み上げられ手錠をかけられることはないでしょう。家宅捜索の当日に逮捕されなければ、その後に否認しない限り、逮捕されない可能性が高いです。
3.児童買春で家宅捜索されても逮捕されるとは限らない
児童買春が事件化すると家宅捜索されることが多いですが、家宅捜索されれば必ず逮捕されるというわけではありません。
警察が家宅捜索を実施する時点で、まだ逮捕状をとっていないケースもあります。その後に本人の取調べをして、本人が素直に認めるようであれば、逮捕せずに任意で捜査することも少なくありません。
警察が家宅捜索に来た時点で既に逮捕状をとっている場合は、逮捕するのが通常です。もっとも、家宅捜索の現場で被疑者が素直に容疑を認めている場合は、逮捕状を執行せずに任意捜査に切り替えることもあります。
児童買春で家宅捜索も逮捕もされない3つのケース
児童買春事件では、逮捕や家宅捜索という強制捜査が実施されることが多いですが、次の3つのケースでは、強制捜査が実施されないことが多いです。
1.JKリフレ関連の児童買春
18歳未満の児童を働かせていたJKリフレが摘発された場合、多数の利用者が児童買春の被疑者になりますが、警察が多くの被疑者を個別に逮捕したり家宅捜索するのは、現実的ではありません。
そこで、JKリフレ関連の児童買春事件では、いきなり強制捜査は行わず、まずは電話で警察署に呼び出し、任意の取調べを行います。スマートフォンも警察署で任意に提出させます。
ただし、警察から電話がかかってきたときに、児童買春を否認したり出頭を拒否すると、後日逮捕されスマートフォン等を押収される可能性が高くなります。
2.ホテル街で検挙された児童買春
都市部のラブホテル街は、生活安全課の捜査員によって頻繁にパトロールされています。
児童買春をした後、児童と一緒にホテル街を歩いているときに検挙された場合、そのまま近くの警察署に連行され、スマートフォンを任意提出させます。
取り調べで児童買春について自白した場合は、犯行直後に検挙されスマートフォンも押収されていることから、証拠隠滅の可能性が低いと言え、任意で取調べが行われることが多いです。
3.児童買春で自首した場合
児童買春の被疑者として特定される前に、警察署に出頭し、児童買春を認めた場合は、自首が成立します。
自首をした場合は、自ら出頭している以上、逃亡の可能性は低いと判断されます。出頭した際、スマートフォンやパソコン等の証拠を持参すると、自ら自身して提出している以上、証拠隠滅の可能性も低いと判断されます。
そのため、逮捕されたり家宅捜索される可能性は低くなります。
⇒児童買春で自首するメリット・デメリットや自首の流れを弁護士が解説
児童買春で弁護士をつけるタイミング
1.児童買春で逮捕された場合
児童買春で逮捕された場合は勾留を阻止するためにできるだけ早く弁護士をつけるべきです。逮捕後に呼べる弁護士は、国選弁護人、私選弁護人、当番弁護士の3種類です。
ご自身は逮捕されていますので、スマートフォンを使って私選弁護人を探すことはできません。また、国選弁護人は勾留されてからでないと接見に来てくれません。
そのため、ご家族がすぐに私選弁護人を呼んでくれなければ、自分で当番弁護士を呼ぶのがベストです。
⇒逮捕後どの弁護士を呼ぶ?連絡方法・弁護士費用・選び方も解説
⇒当番弁護士とは?逮捕後すぐに呼べる無料の弁護士を活用しよう!
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2.児童買春で逮捕されていない場合
家宅捜索されたとしても逮捕されなければ、ご本人がいつでも弁護士に相談したり依頼することができます。不起訴処分を目指すのであれば、早期に弁護士をつけた方がよいでしょう。
逮捕されていなければ、国選弁護人や当番弁護士をつけることはできないため、私選弁護人から選ぶことになります。
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