情状証人のQ&A

情状証人のQ&A

 

 

このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

Q1:情状証人として出廷する際、裁判所に持参するものはありますか?

シャチハタ以外の印鑑(認め印可)をお持ちください。裁判所で証人出廷カードと宣誓書に捺印してもらいます。

 

 

Q2:メモを見ながら証言することはできますか?

証人はメモではなく自らの記憶に基づき証言することになっているため、証言中にメモを見ることはできません。事前に弁護士と打ち合わせをしておき、メモをよく読んでおくようにしてください。

 

 

Q3:情状証人は、弁護士の質問に答える以外に、自分の言いたいことを言う機会はありますか?自分の口から、被告人がいかに真面目で善良な人間なのかということを裁判官に説明したいのです。

情状証人は、弁護士や検察官・裁判官の質問に対して回答する以外に、発言することはできません。

 

 

ただ、発言したいことがある場合は、その内容に対応する質問を弁護士にしてもらうことにより、発言することができます。

 

 

また、弁護士から「最後に何か言いたいことはありますか?」と質問してもらった上で、発言することも考えられます。まずは弁護士にご相談ください。

 

 

Q4:情状証人は多ければ多いほどよいのでしょうか?

必ずしもそういうわけではありません。

 

 

例えば、親と職場の上司であれば、監督内容も自ずと違ってきますので、それぞれ情状証人になってもらう意味はありますが、同居の父と母のように、監督内容がほとんど変わらない場合は、双方に証人になってもらったからといって、有利になるわけではありません。

 

 

弁護士が複数の情状証人の尋問を申請しても、裁判官によって証言内容が重複すると判断されれば、申請が却下されることもあります。

 

 

Q5:傍聴人に対して情状証人の個人情報はどこまで明らかになるのでしょうか?

情状証人は事前に証人出廷カードに氏名・生年月日・職業・住所を記載しますが、これらが法廷で読み上げられるわけではありません。

 

 

裁判官は、証人に対して「氏名・住所などは出廷カードに記載した通りで間違いないですか?」と尋ねるだけです。そのため、個人情報が傍聴人にもれることは通常ありません。

 

 

ただ、「氏名は?」等と改めて確認する裁判官もいますので、心配であれば、弁護士から事前に裁判官に対して、情状証人の個人情報がもれないよう配慮を求めることもできます。

 

 

Q6:情状証人として出廷する際、傍聴人に顔を見られたくありません。マスクをしたまま尋問を受けてもよろしいでしょうか?

【通常の裁判】

マスクをしたままでも問題ありません。ただ、声が通りづらくなるので、大きめの声でお話しください。

 

 

【裁判員裁判】

裁判員裁判では、一般の方も審理に加わります。情状証人の見た目の印象も裁判員の心証に影響を与えますので、マスクをとって尋問に臨んだ方がよいでしょう。

 

 

なお、証言台に着席した後にマスクをとっても、角度的に傍聴人から顔は見えません(傍聴席は証言台の後ろになります)。

 

 

【変更あり】

コロナ禍の現在はマスク着用が原則になりました。証言台でマスクをとると、裁判官から「マスクをとらないでください。」と注意されますので、マスクを着用したままご対応ください。

 

 

Q7-1:前科があれば情状証人にはなれませんか?

前科があるからといって情状証人になれないというわけではありません。ただ、殺人などの重大犯罪の前科があったり、被告人が犯した罪と同種の犯罪の前科がある場合は、監督能力に疑問符がつきますので、情状証人には適さないといえるでしょう。

 

 

被告人が犯した罪とは関係がない軽微な犯罪でしたら、前科があっても、情状証人になっていただいて構いません。例えば、性犯罪を犯した被告人の裁判に、スピード違反の前科がある雇用主が情状証人として出廷しても問題ありません。

 

 

Q7-2:捜査機関が事前に情状証人の前科や前歴について調べた上で、反対尋問で指摘してくることはありますか?

通常、情状証人の前科や前歴まで調べませんので、検察官から反対尋問で指摘されることはないでしょう。

 

 

 

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