- トップ
- > 家宅捜索後に弁護士を選ぶタイミングや弁護士の種類について
家宅捜索後に弁護士を選ぶタイミングや弁護士の種類について
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
家宅捜索後の流れ
家宅捜索はある日突然始まります。警察が事前に「今から家に行きます。」と連絡してくれるわけではありません。家宅捜索は裁判所の令状に基づく強制処分ですので、被疑者が拒否しても強制的に実施されます。
宅捜索を受けた当日の流れは次の3つです。
①そのまま逮捕される
②警察署で取調べが行われた後に解放される
③家宅捜索のみで終了
それぞれの場合にわけて、弁護士を選ぶタイミングや弁護士の種類について解説します。
家宅捜索後に逮捕された場合
1.逮捕されるタイミング
家宅捜索に際し捜査員が逮捕状を持参している場合は、家宅捜索が終了した後、玄関先や家の前にとめた警察車両の中で逮捕されます。
いったん警察署まで連行されてから逮捕されることもあります。
2.私選弁護人を呼ぶ
逮捕された場合は一刻も早く弁護士のサポートを受けることが必要です。
既に私選弁護人をつけている場合は、警察官に、「○○法律事務所の○○弁護士に私が逮捕されたことを伝えてください。」と言えば、警察官から弁護士事務所に電話が入ります。私選弁護人であれば速やかに接見に来てくれるでしょう。
3.当番弁護士を呼ぶ
家宅捜索の前から私選弁護人をつけている方は少ないと思われます。逮捕された時点で私選弁護人をつけていなければ、どうすればよいのでしょうか?
国選弁護人をつけてもらえるのは勾留された後です。これに対して、当番弁護士であれば勾留前でも接見に来てくれます。そのため、直ちに当番弁護士を呼んでください。
⇒当番弁護士とは?逮捕後すぐに呼べる無料の弁護士を活用しよう
当番弁護士を呼ぶと翌日の夜までには接見に来てくれるでしょう。無料で今後の流れや取調べにどう対応すればよいのか等を教えてくれます。
当番弁護士の活動は1回接見して終了です。継続的な弁護を依頼するのであれば、当番弁護士に国選弁護人になってもらうか(資産が50万円未満の場合)、私選弁護人として選任する必要があります(資産が50万円以上の場合)。
4.国選弁護人を呼ぶ
逮捕された本人に限り国選弁護人を呼ぶことができます。もっとも、当番や私選と異なり、国選弁護人が接見できるのは勾留された「後」に限られます。
勾留「前」に動くことができないので、勾留を阻止するための活動はできません。勾留阻止を目指すのであれば、私選弁護人に依頼することになります。
5.家族が私選弁護人をつける
「警察が家宅捜索をしに来た」
「捜索が終わった後に夫を連れて行った」
「警察官は逮捕しますと言っていた」
このように家宅捜索後に本人が逮捕されたことを家族が知っている場合は、家族が私選弁護人を探して依頼することもできます。詳細は以下のページをご覧ください。
⇒逮捕後どの弁護士を呼ぶ?弁護士費用・連絡方法・選び方を解説
できれば当日中に私選弁護人に接見してもらうとよいでしょう。
家宅捜索後に取調べを受けて解放された場合
1.家には帰れる
家宅捜索後に警察署に連行され取調べを受けた後に解放されるケースです。すぐに身柄拘束されるわけではないので、ご自身で弁護士を選ぶことできます。
この場合はさらに身元引受があるケースとないケースに分けられます
2.身元引受があるケース
身元引受とは、家族や上司が警察署に来て、捜査員から事件の概要について説明を受け、本人を監督する旨の身柄請書にサインし、本人と一緒に帰ることです。
実家が遠方にある場合は電話で身元引受の手続をすることもあります。この場合は、捜査員が被疑者の家族に電話して、事件の概要を説明し、「きちんと監督してください。」等と念押しします。
警察の実務では、被疑者を逮捕せずに在宅で捜査するのであれば、家族や上司など被疑者に近しい人に身元を引き受けてもらう運用になっています。
そのため、家宅捜索後に身元引受の手続があった場合は、逮捕される可能性は低いので、一刻も早く弁護士をつけなければならないというわけではありません。ただ、不起訴に向けて動くのであれば弁護士の選任は早い方がよいでしょう。
起訴前で身柄拘束されていない場合は、制度上、国選弁護人や当番弁護士は利用できませんので、私選弁護人に依頼することになります。
3.身元引受がないケース
家宅捜索後に身元引受の手続がなければ、逮捕の可能性を想定する必要があります。できるだけ早く弁護士に相談した方がよいでしょう。
「逮捕の可能性がある」というだけでは国選弁護人や当番弁護士を利用することはできません。そのため、弁護活動を希望する場合は私選弁護人に依頼する必要があります。
家宅捜索のみ実施された場合
1.逮捕も取調べもない
家宅捜索された後に捜査員に「また連絡する。」等と言われ、当日中に逮捕も取調べもされないケースです。この場合も身元引受があるケースとないケースで緊急性が異なってきます。
2.身元引受があるケース
警察が逮捕を想定していなければ、当日中に取調べがなくても、身元引受は実施する可能性が高いです。捜索された家で家族と同居している場合は、玄関先で捜査員が家族に事件について説明し、身柄請書にサインさせます。
被疑者が一人暮らしの場合は、警察が実家の家族に連絡を入れることが多いです。身柄請書を被疑者に渡した上で、家族に記入してもらって後日提出するよう指示することもあります。
身元引受の手続がとられた場合は逮捕される可能性は低いです。そのため、一刻も早く弁護士をつけないといけないというわけではありません。ただ、不起訴に向けて動くのであれば弁護士の選任は早い方がよいでしょう。
身柄拘束されていないので、国選弁護人や当番弁護士を利用することはできず、私選弁護人に依頼することになります。
3.身元引受がないケース
警察が身元引受がなければ、逮捕される可能性が十分にあるため、できるだけ早期に私選弁護人に相談するようにしてください。
【関連ページ】