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留置場での生活
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
目次
留置場での生活:一日のタイムテーブル
多少の違いはありますが、留置場での典型的なタイムテーブルは次の通りです。
午前6時30分 | 起床→布団の片づけ、部屋の掃除、洗面 |
午前7時 | 朝食 |
午前7時30分 | 運動 |
午後0時 | 昼食 |
午後5時 | 夕食 |
午後8時30分 | 就寝準備 |
午後9時 | 就寝 |
これら以外の時間に警察署や検察庁で取調べを受けたり、弁護士と接見したり、ご家族と面会します。
留置場での生活:運動
どこの留置場でも平日の朝方に運動の時間が設定されています。運動ときくと広場でサッカーをしたり、ランニングやラジオ体操をするようなイメージがありますが、そのようなことは一切できません。
ひげ剃りや爪切りをしたり、他の被疑者と雑談をして過ごします。「運動」というのは名ばかりで、実際は運動ではありません。
ひげ剃りについては、安全上の理由により電動シェーバーで行ないます。被疑者が自分でシェーバーを使ってひげをそりますが、そったひげの処理やシェーバーの手入れは留置係官が行います。
留置場での生活:入浴
東京都内の留置場では夏場は週に2回、冬場は4,5日に1回入浴することができます。他県でも同様のところが多いです。
浴室のスペースの問題から、全員で一斉に入浴するのではなく、数人ずつ交代で入ります。入浴時間は一人20分程度です。
留置場での生活:洗濯
留置場では週に1回程度、洗濯が行われます。クリーニング業者に依頼するわけではなく、係官が場内に設置された洗濯機と乾燥機を使って洗濯します。
入浴の日に実施されることが多いです。
留置場での生活:散髪
男性の場合、多くの留置場では髪を伸ばし続けるか、坊主頭にするかの選択しかありません。自分で好みの髪型にカットするようなことはできません。入浴前の時間に自分でバリカンを使って散髪します。
地域によっては、ある程度好みの髪型に散髪してもらえる留置場もあります。例えば、埼玉県の留置場では、2500円で理髪師が髪を切りにきてくれます。
なお、散髪するためには検察官の許可が必要です。通常認められますが、覚せい剤事件で毛髪鑑定の可能性があるときなどは許可されません。
留置場の生活:医療
留置場には月に1,2回、医師が健康診断にきます。被疑者は身体検査室において医師の診察を受けます。通常は簡単な問診を受け胸に聴診器を当ててもらう程度です。
緊急性がある場合は、留置場から直接、最寄りの病院に連れて行ってもらうことも可能です。対応してくれない場合は、弁護士から留置場の責任者や検察官に要請します。
留置場の生活:薬
風邪薬、胃薬、頭痛薬、下痢止めなどの常備薬は、留置係官に申し出れば処方してくれます。
睡眠導入剤や精神安定剤については常備薬ではありませんので、医師に処方箋を書いてもらう必要があります。巡回診断の際に、医師に症状を伝えれば処方箋を書いてくれます。
特殊な薬については、病院まで連れて行ってもらい、医師の処方を受けることになります。
留置場での生活:自弁
自弁とはお金を払って注文する弁当のことです。自弁があるのは平日の昼食のみです。金額は警察署によってまちまちですが500円~800程度のところが多いです。
東京都内の留置場では、正規の昼食はパンと簡単な惣菜のみで非常に味気ないため、自弁をとる方が多いです。正規の昼食と異なり暖かいご飯を食べられる場合もあります。
通常は前日に注文します。メニュー表を見せてもらえる警察署もありますし、係官が口頭でメニューを説明するところもあります。
留置場の生活:会話
留置場によっては同部屋の人との会話が禁止されているところもありますが、ほとんどの留置場では世間話程度の会話は認められています。
ただ、大きな声で笑ったり、房越しに会話していると注意されることがあります。
留置場での生活:官本
官本とは留置場で無料で借りることができる本です。官本の種類としては、推理小説、歴史小説が多いです。雑誌はおかれていません。辞典類も置かれていますので、謝罪文や反省文を作成する際に参照することができます。官本は定期的に入れ替えがあります。
房内へは官本と自分の本を合計3冊持ちこめることが多いです。官本は朝、ワゴンや棚から借りてきて房内へ持ち込みます。自分の本は場内のロッカーから房内に持ち込みます。いずれも夜に返却します。手元で保管し続けることはできません。
留置場での生活:ボールペン
留置場では先端がとがっていない専用のボールペンしか使えません。ボールペンは無料で貸してもらえますが、原則として、被疑者ノートを書いたり、手紙を書くときしか借りることができません。ボールペンを使って問題集に書き込みを入れたりすることはできません。
ボールペンは朝、留置係官から借りて夜に返却します。ずっと持っていることはできません。
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