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自転車の乗り逃げは窃盗罪?逮捕の可能性についても解説

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

自転車の乗り逃げは窃盗罪になる?

他人の自転車を乗り逃げした場合、窃盗罪が成立するケースと占有離脱物横領罪が成立するケースがあります。

 

【窃盗罪の刑罰】

①10年以下の懲役、②50万円以下の罰金のいずれか

 

【占有離脱物横領罪】

①1年以下の懲役、②10万円以下の罰金、③科料のいずれか

 

窃盗罪は物に対する他人の占有を侵害したときに成立します。占有離脱物横領罪は占有を離れた他人の物をとったときに成立します。

 

両者の違いは「とられた物を被害者が占有していたか否か」です。被害者の占有が認められれば窃盗罪、占有が認められなければ占有離脱物横領罪が成立します。

 

「占有」とは「物を事実上支配している状態」のことです。物を事実上支配しているか否かは、①被害者と物との距離や②被害者の認識から判断されます。

 

自転車の乗り逃げのケースでも、自転車をとられた時点で被害者が自転車のすぐそばにいた場合は占有が認められ窃盗罪が成立します。

 

被害者が自転車から離れたところにいても、置き忘れたのではなく、「あそこに置いた」と明確に覚えているのであれば占有が認められ、窃盗罪が成立する可能性が高くなります。

 

以下、ケース別にみていきます。

 

放置自転車の乗り逃げ

放置自転車を乗り逃げしたケースでは、乗り逃げの時点で次の3つのポイントにすべてあてはまる場合は、被害者の占有が認められ窃盗罪が成立します。

 

①被害者が自転車を放置した場所の近くにいた

②被害者が自転車を放置してからそれほど時間がたっていない

③被害者がどこに自転車を放置したかを明確に覚えている

 

逆に、以下のようなケースでは被害者の占有が否定され、占有離脱物横領罪が成立する可能性が高くなります。

 

被害者が家から遠く離れたところに自転車を放置したが、酒に酔っていたこともあり、どこに放置したか覚えていない。放置してから1週間後に乗り逃げの被害にあった。

 

駐輪場におかれた自転車の乗り逃げ

マンションやスーパー、駅前の駐輪場におかれた自転車を乗り逃げした場合は、窃盗罪が成立します。

 

駅前の駐輪場に自転車をおいてから学校や会社に行く場合のように、自転車の持ち主が駐輪場から離れた場所にいる場合でも、通常は自分の自転車をどこに置いたかを明確に覚えているでしょうから、占有が認められます。

 

そのため、駐輪場の自転車を乗り逃げすると、被害者の占有を侵害したものとして窃盗罪が成立します。

 

駐輪場に立ち入った点については、建造物侵入罪が成立します。ただ、マンションやスーパーの駐輪場のように誰でも入れるスペースであれば、建造物侵入罪で立件される可能性は低いでしょう。

 

捨てられた自転車の乗り逃げ

路上に捨てられた自転車を乗り逃げしても窃盗罪にはなりません。窃盗罪は物に対する占有を保護する犯罪ですが、捨てられた物については誰の占有も及んでいないため、占有を侵害することもないからです。

 

また、占有離脱物横領罪も成立しません。占有離脱物横領罪は、占有を離れた他人の物を保護する犯罪ですが、捨てられた物は所有権が放棄されており、「他人の物」とはいえなくなるからです。

 

もっとも、路上ではなく、マンションや住宅街のゴミ置き場に捨てられた自転車を乗り逃げした場合は、リサイクル条例の内容やごみ置き場の状況によっては、捨てた人や自治体に所有権や占有が認められ、窃盗罪が成立する余地があります。

 

自転車の乗り逃げで逮捕される場合はある?

自転車の乗り逃げで多いのは、出来心で路上で見つけた自転車に乗って移動中に、巡回中の警察官に職務質問され発覚するケースです。

 

自転車の乗り逃げは軽微な犯罪であるため、警察官に対して、乗り逃げしてしまったことを素直に認めれば、逮捕されることはないでしょう。

 

もっとも、いかなる場合でも逮捕されないというわけではありません。次のようなケースでは逮捕されることがあります。

 

①住居不定の場合

②乗り逃げを否認した場合

③転売目的の場合

 

【①住居不定の場合】

住居不定の場合は、軽微な事件であっても、逃亡のおそれが認められやすく、逮捕されることが多いです。

 

【②乗り逃げを否認した場合】

「飲み屋で知り合った人からもらった自転車に乗っていただけ。」等と否認をしていると逮捕されることがあります。ウェルネスの弁護士も乗り逃げを否認して逮捕されたケースを取り扱ったことがあります。

 

【③転売目的の場合】

転売目的で駐輪場やサイクルショップの店先にとめてある高価な自転車を盗んだ場合は、逮捕される可能性が高くなります。余罪がある場合は再逮捕されることもあります。鍵を破壊した場合は器物損壊罪が成立します。

 

試乗中の自転車を乗り逃げした場合は、窃盗罪ではなく詐欺罪(10年以下の懲役)や横領罪(5年以下の懲役)が成立します。

 

自転車の乗り逃げが刑事事件になった場合の対応方法

自転車の乗り逃げが刑事事件化した場合は、早期に自転車の持ち主と示談をした方がよいでしょう。

 

乗り逃げ直後に巡回中の警察官に見つかった場合は、自転車はすぐに持ち主のもとに戻りますので、示談金の内容としては慰謝料がメインになります。金額としては数万円程度で示談がまとまることが多いです。

 

乗り逃げした後にも長期間にわたって自転車を使っていた場合は、たとえ自転車が持ち主に戻ったとしても、持ち主は新たな自転車を購入していることが多いため、新たな自転車の購入費用に慰謝料を加えた金額で示談がまとまることが多いです。

 

自転車の乗り逃げは、転売目的でない限りは、早期に示談が成立すれば微罪処分で終了するケースもあります。

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刑事事件化した場合は、早めに弁護士に相談した方がよいでしょう。

 

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