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【刑事事件】逮捕後に新型コロナ感染が判明した場合の流れ

逮捕後に新型コロナ感染が判明した場合の流れ

 

このページでは、東京都内の警察に逮捕された方が新型コロナに感染していることが判明した場合の流れについて、弁護士 楠 洋一郎が解説しています。

 

 

本ページの公開日は2022年3月24日です。新型コロナの状況により運用が変わる可能性がありますのでご承知おきください。

 

 

 

逮捕後にコロナ感染が判明するまでの流れ

捜査員は被疑者を逮捕した後、被疑者が新型コロナに感染しているかどうかを確認するため、警察署で被疑者のだ液をとりPCR検査を行います。

 

 

検査結果が出るまでの間に取調べをして、供述調書を作成することが多いです。この時点では、捜査員は特別な防護服等を着用していません。

 

逮捕後にコロナ感染が判明した場合の留置先

通常であれば、被疑者は逮捕された警察署にそのまま留置されます。もっとも、PCR検査で陽性になると、指定された警察署に移送されます。

 

 

東京都内では、新型コロナに感染した被疑者は、原宿警察署に移送される運用になっています。原宿警察署の留置係官は、感染防止のため常時タイベックススーツを着用しています。

 

 

逮捕後にコロナ感染が判明した場合の送検

警察が被疑者を逮捕すると、48時間以内に検察官に送致する手続をとらなければなりません。通常は警察署から護送バスで検察庁に連行され、検察官の取調べを受けます。

 

 

検察官は取調べの状況や警察から引継ぎを受けた捜査資料にもとづき、勾留請求するかどうかを判断します。

勾留請求とは?流れや阻止する方法について弁護士が解説

 

 

東京の警察に逮捕された後にコロナ感染が判明した場合、被疑者が検察庁に連行されるのではなく、検察官が原宿警察署に出張する運用になっています。

 

 

検察官は原宿警察署内の一室に入り、リモート通話システムで別室にいる被疑者の取調べを行います。被疑者に署名・指印してもらうことができないため、供述調書は作成されません。そのため、取調べは短時間で終了することが多いです。

 

逮捕後にコロナ感染が判明した場合の勾留質問

検察官が勾留を請求すると、当日または翌日に裁判官の勾留質問が実施されます。東京では勾留請求の翌日に実施される運用になっています。

勾留質問とは?裁判官が勾留するか釈放するかを決める手続

 

 

裁判官は勾留質問の状況や検察から引継ぎを受けた捜査資料をふまえ、被疑者を勾留するかどうかを決めます。

 

 

勾留質問を受けるため、被疑者は護送バスに乗せられ、警察署から裁判所に連行されます。コロナ感染者も裁判所に連行されますが、他の被疑者と一緒にバスで移動するのではなく、単独で護送されます。

 

 

東京地方裁判所では、コロナ感染者の勾留質問は、他の被疑者の勾留質問が全て終わった後に実施されます。具体的には午後4時頃から実施されることが多いです。

 

 

裁判官は机を挟んで被疑者と向き合う形で勾留質問を行います。通常は裁判官と被疑者の間に遮へい物はありませんが、コロナ感染者については、アクリル板で完全に仕切られた部屋で勾留質問が行われます。

 

 

逮捕後にコロナ感染が判明した場合の取調べ

1.警察の取調べ

コロナ感染が判明した後の取調べは、タイベックススーツを着用した取調官によって実施されます。通常の取調べと同様に行われますので、供述調書も作成されます。

 

 

2.検察官の取調べ

2回目以降の取調べは、被疑者が回復してから検察庁で実施されます。そのため、勾留延長される可能性が高くなります。

勾留延長とは?延長の流れや阻止する方法を弁護士が解説

 

逮捕後にコロナ感染が判明した場合の弁護活動

弁護士は、原宿警察署でコロナに感染した被疑者と接見することができます。感染防止のため、接見室のアクリル板の通気孔がふさがれています。

 

 

弁護士が私選弁護人として受任する場合、被疑者に「弁護人選任届」という書類を差し入れ署名・指印してもらい、検察庁に提出します。

 

 

弁護人選任届を提出しないと、検察官に被害者の電話番号を教えてもらえない等さまざまな支障が生じます。そのため、弁護人選任届は速やかに検察庁に提出する必要があります。

 

 

被疑者がコロナに感染している場合は、弁護人選任届を差し入れて署名・指印してもらうことはできますが、ビニール袋に密封された状態で弁護士に戻され、留置係官から「開封せずに3日待てばウィルスが死滅します。」と言われます。

 

 

ビニール袋に入ったままの弁護人選任届を検察庁に提出すれば、そのまま受理してもらえます。

 

 

ただ、弁護人選任届に弁護士の署名(記名)や職印がなければ受理してくれませんので、弁護士が被疑者に差し入れる前の時点であらかじめ署名(記名)し、職印を押しておく必要があります。

 

 

コロナ回復後の被疑者の状況

原宿警察署では、留置係官が毎日、コロナに感染した被疑者の体温や血中酸素飽和度を計測し、管轄の渋谷保健所に報告します。

 

 

保健所の指示によりコロナから回復したと見なされると、被疑者は、原宿警察署の別のフロアに移されます。別の警察署に留置された後にコロナ感染が判明した場合は、回復後にもともと留置されていた警察署に戻されます。

 

 

その後の流れは通常の被疑者と同様です。詳細は以下のページをご覧ください。

起訴前の流れ(逮捕・勾留あり)