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東京拘置所への移送
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
東京拘置所への移送はいつ?
逮捕されると警察署の留置場で拘束されます。東京拘置所に移送されるのは、起訴されてから約3週間後になることが多いです。起訴前に拘置所に移送されることはありません。また、起訴直後に移送されることもありません。
余罪で再逮捕や追起訴の可能性があれば、その可能性がなくなるまでは、東京拘置所に移送されることはありません。多数の余罪がある場合は、判決までずっと警察署に留置されているケースもあります。
なお、控訴した被告人が東京拘置所に移送されるのは、控訴してから約1か月後となります。
東京拘置所への移送当日の流れ
東京拘置所に移送される際は、警察署から拘置所に直行するわけではありません。通常は、留置されている警察署からまず東京地方検察庁に連行されます。
集中護送のバスが各警察署を回って被告人を乗せていき、午前10時30分頃に東京地検に到着します。バスの中には、逮捕後初めて検察庁に連行される被疑者や中間調べで連行される被疑者もいます。
バスを降りると、エレベーターで東京地検A棟の地下2階に移動します。拘置所に移送される被告人は、専用の部屋で待機します。
その後、すぐにまたバスに乗せられ、午前11時頃に東京拘置所に向けて出発します。昼食は東京地検で待機中に支給されます。そのため、午前10時台に昼食を食べることになります。
東京拘置所への移送-家族はどうやって知る?
被告人は、前日に「明日、東京拘置所に移送します。」と言われることが多いです。それより前に「○月○日に移送します。」と通知があるわけではありません。弁護士や家族にも連絡はありません。
ただ、移送の日が近づいてくると、留置係官が被告人に対して、「荷物をまとめておくように。」等と指示するので、なんとなく移送が近いということはわかります。「そろそろ移送だよ。」と教えてくれる親切な係官もいます。
ご本人が東京拘置所に移送された当日に、東京地検の職員から担当弁護士に「本日移送しました。」と連絡が入ります。そのため、被告人のご家族は、弁護士からの連絡により移送されたことを知ることが多いです。移送当日は午後5時近くの時間しか面会できませんのでご注意ください。
なお、控訴した被告人が東京拘置所に移送された場合は、東京高等検察庁の職員から移送の連絡が入ります。
東京拘置所への入所手続
(1)医療健診
拘置所へ移送されると、2,3時間かけて医療健診が行われます。身長、体重、血圧を測定し、視力検査、レントゲン撮影を行います。また、複数の医師から、「タバコは吸っていましたか?」、「お酒は飲んでいましたか?」、「覚せい剤をやっていましたか?」、「自殺願望がありますか?」等と問診を受けます。尿検査や、陰部、肛門の検査もあります。
(2)収容される房が決まる
拘置所には雑居房と独居房があります。雑居房では一つの部屋に5、6人の方々が生活しています。独居房は個室です。
有名人や重大事件の被告人は独居房に収容されます。一般の方でも、接見禁止がついている状態で東京拘置所に移送された場合は、独居房に入れられることが多いです。警察署で抗精神薬を服用していた場合も独居房に入れられることが多いと言われています。
雑居房では、格差が生まれないようにするため、収容される方の所持金によって、所持金が多い人の部屋、少ない人の部屋、中程度の部屋と3種類に分かれています。
(3)散髪
雑居房に収容される場合は、衛生面から散髪をするように言われます。拘置所の中に、床屋さんのようなスペースがあり、受刑中の方が散髪をしてくれます。独居房に収容される場合は、髪を切れとうるさく言われることはないようです。
(4)その他
拘置所に移送された当日やその後1日、2日は、私物が検査中で手元になく、やることがない状態になってしまいます。また、慣れない環境で不安に思っている方も多いです。
当日は入所手続の関係で、午後5時近くの時間しか接見できませんが、翌日以降は平日の午前9時~午後5時であれば接見することができるので、時間があれば会いに行ってあげた方がよいでしょう。
東京拘置所への移送と保釈
東京拘置所に移送された時点で、再逮捕や追起訴の可能性はほとんどなくなるので、保釈請求をしてもよいタイミングです。
保釈請求する際、被告人には逃亡や証拠隠滅をしない旨の誓約書に署名・指印してもらいます。弁護士が事前に誓約書を留置施設に差し入れて、ご本人に署名・指印してもらいます。
警察署の留置場では、接見の際に弁護士が誓約書を差し入れ、ご本人に署名・指印してもらい、直ちに宅下げを受けることができますが、東京拘置所では差し入れと宅下げにそれぞれ1日、2日かかってしまいます。
移送後速やかに保釈請求するためには、移送前の時点で、誓約書に署名・指印をしてもらうことが必要です。
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