【決定版】弁護士が教える痴漢冤罪を切り抜ける極意

このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

痴漢冤罪とは

痴漢冤罪とは、痴漢をしていないのに、捜査機関に痴漢の容疑をかけられることです。

 

痴漢冤罪の典型的なケースは、混みあった電車の中で近くにいた女性に痴漢と間違われ、警察に通報されるケースです。

 

近年、痴漢容疑で逮捕・起訴された後に、人違いの可能性がある等として無罪判決が下されるケースが増えており、痴漢冤罪が大きな問題になっています。

 

ちなみに、実際は痴漢をしたが、罪を逃れるために「やっていない」というケースは痴漢冤罪ではありません。

 

もっとも、不可抗力で女性の体に接触したところ痴漢と間違われて刑事事件になった場合は、痴漢冤罪といえます。

 

 

痴漢冤罪の流れ

(1)痴漢冤罪と警察

警察が痴漢事件を認知すれば、ひととおりの捜査をした後、事件を検察庁に引き継ぎます。

 

もっとも、警察官が、被疑者と女性双方の話を聞き、痴漢冤罪の可能性が十分にあると判断した場合は、事件を検察庁に引き継ぐことなく、警察署限りで終わりにすることがあります(不送致)。

 

警察官自身が、女性の話を疑っているときは、身元引受人も呼ばないことが多いです。

 

一方、警察官が、女性の話の方が信用できると判断したときは、本人を逮捕するか、身元引受人を呼んだ上で在宅事件として捜査します。

 

どちらのケースでも、必要な捜査をした後、事件を検察庁に引き継ぎます。

 

(2)痴漢冤罪と検察

痴漢事件が検察庁に引き継がれると、担当の検察官が決まります。

 

検察官が、警察の捜査資料を検討したり、被疑者や女性から話を聴いた上で、「痴漢冤罪の可能性があり、裁判をしても勝てないかもしれない。」と判断した場合は、「嫌疑なし」または「嫌疑不十分」で不起訴にします。

 

*痴漢を認めている被疑者について、示談が成立した等の理由により不起訴にするときは、「起訴猶予」で不起訴にします。同じ不起訴であっても、痴漢を認めているかどうかで理由が違ってきます。

 

(3)痴漢冤罪と裁判

検察官が、「痴漢冤罪とは考えられない。裁判にすればまず間違いなく有罪判決にできる。」と考えたときは、起訴します。

 

被疑者が冤罪を主張している場合は、書面審理のみで終わる略式裁判ではなく、法廷に出席することが必要な正式裁判で審理されることになります。

 

*一方、痴漢(迷惑防止条例違反)の容疑を認めているケースでは、前科がない限り、略式裁判になることが多いです。

 

裁判で、裁判官が「痴漢で有罪とするには合理的な疑いが残る」と判断した場合は、無罪判決が下されます。

 

逆に「合理的な疑いが生じない程度に被告人が痴漢をしたことが証明された」と判断すれば有罪判決が下されます。

 

 

痴漢冤罪のケースでしてはいけないこと

①逃げる

弁護士の中には、痴漢に間違われた場合、その場から逃げるようアドバイスする方もいますが、これはおすすめできません。

 

逮捕は、逃亡や証拠隠滅のおそれが高いときに、これらを防止するためにされます。

 

そのため、逃亡して捕まった場合は、非常に高い可能性で逮捕されることになります。

 

仮に、その場は逃げきることができたとしても、防犯カメラや交通系ICカードから足がつき、後日逮捕されることもあります。

 

逮捕後に「痴漢をしていない。」といくら主張しても、検察官や裁判官に「じゃあなぜ逃げたのか?」とつっこまれ、不起訴や無罪判決の獲得が難しくなります。

 

②謝罪する

女性に腕をつかまれて「痴漢です!」と言われても、痴漢をしていないのであれば、決して謝罪してはいけません。はっきりと「私は痴漢をしていません」と主張してください。

 

腕をつかまれた直後に、男性と女性との間でどのようなやりとりがあったのかは、後の裁判で、大きな意味をもちます。裁判でいくら無罪を主張しても、現場で女性に謝っていれば、裁判官は、痴漢をしていたから謝罪したと考えるでしょう。

 

③警察に対して自分の個人情報を明かさない

警察に氏名や住所、勤務先を聞かれても、「やましいことをしていないのだから、言う必要はない。」と言って、開示しない方がいます。

 

しかし、氏名などの個人情報を隠していると、警察に「逃亡のおそれがある」と判断され、逮捕の可能性が上がってしまいます。

 

警察に氏名や住所、勤務先を聞かれた場合は素直に答えてください。運転免許証や名刺を見せるように言われた場合も、従ってください。

 

会社名を教えても、警察から会社に連絡がいくことは通常ありません。

 

 

痴漢冤罪のケースでするべきこと

①まずは落ち着こう

痴漢の疑いをかけられれば誰しも動揺するでしょう。ただ、パニックになってしまうと、警察官から「挙動不審で怪しい。」と思われ、逮捕される可能性が高まります。

 

まずは落ち着いて毅然と対応しましょう。

 

②やりとりを録音する

スマートフォンの録音機能を使って、現場での被害者や駅員、警察官とのやりとりを録音しておきましょう。

 

裁判になった場合、初期供述は重要な資料になりますので、証拠として保存しておきます。

 

②取調べにはきちんと協力する

痴漢冤罪のケースで、警察官に対し、「痴漢していないので取調べは受けません。」とか「これから仕事があるので警察署には行きません。」等と言う方がいます。

 

しかし、捜査への協力を拒否していると、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、逮捕されてしまいます。

 

本人にとっては不本意なことでしょうが、取調べには協力した上で、取調べのなかで、自分の言い分を述べましょう。

 

④繊維鑑定を依頼する

衣服や下着の上から人の身体に触った場合、触った人の手指に衣類の繊維が付着します。そのため、被疑者の手指からとれた繊維片を鑑定し、それが女性の衣類に由来するものであれば、その女性に触ったことの証拠になります。

 

逆に、自身の手指から女性の衣類と同じ繊維が見つからなければ、痴漢冤罪の可能性が高まります。

 

繊維鑑定をするためには、被疑者の手指に粘着テープをはりつけ、指先の繊維片を採取します。そのため、警察官に対して、自分の手指に鑑定用の粘着テープを張り付けて繊維鑑定をするよう要求すべきです。

 

 

ケース別にみる痴漢冤罪の対応方法:一瞬さわったと言われた場合

満員電車に乗り降りする際に一瞬お尻をさわった等と言われるケースです。

 

このようなケースでは、警察としても検察としても、男女双方の言い分をよく聞いて、慎重に判断することが多いです。

 

なぜなら、満員電車で一瞬触られたというケースでは、女性が「痴漢された」と勘違いしていることが多いからです。

 

そのため、痴漢冤罪のケースでしてはいけないこと痴漢冤罪のケースですべきことを踏まえて、冷静に対応すれば、逮捕されたり、起訴される可能性は高くはありません。

 

 

ケース別にみる痴漢冤罪の対応方法:持続的にさわったと言われた場合

(1)女性の話が信用されやすい

A駅からB駅までずっと触られた等と言われるケースです。

 

一瞬触られたと言っている場合は、女性が勘違いしている可能性もありますが、持続的に触られたと言っている場合は、少なくとも、被害を受けたことについて女性が勘違いしている可能性は低いと考えられます。

 

そのため、持続的に触られたといっているケースでは、警察も女性の話を信用しがちです。

 

それでは、このようなケースにどのように対応すればよいのでしょうか?

 

(2)実際に触れていたケース

<触れてはいたが満員電車の人混みにおされたためであり、痴漢をするつもりはなかった>というケースが考えられます。

 

確かに、人の身体に触れていたとしても痴漢をするつもりがなければ犯罪は成立しません。

 

もっとも、このようなケースで痴漢冤罪の主張をするのは難しいと思われます。

 

なぜなら、どんなに混雑していたとしても、女性の身体に触れた手を引き抜くことは不可能ではないと考えられるためです。

 

引き抜こうと思えば引き抜けるにもかかわらず、あえて引き抜こうとしなかったということであれば、裁判でも痴漢の故意があったと認定される可能性が高いです。警察官に不可抗力を主張しても、痴漢冤罪の可能性は低いと判断され、逮捕される可能性が高くなります。

 

逮捕を避けるためには、むしろ不可抗力の主張をせずに、警察官に対して、反省の態度を示すべきです。

 

「痴漢でつかまったら冤罪でも逮捕される」とよく言われますが、多くのケースは、「持続的に接触をしていたが不可抗力である」と主張しているパターンです。

 

このケースでは、痴漢は成立していることが多く、「そもそも痴漢冤罪ではない」ということになります。

 

(3)全く触れていないケース

女性に全く触れていないにもかかわらず、痴漢の疑いをかけられてしまったケースです。このケースに対しては以下の対応をとってください。

 

①繊維鑑定を依頼する

詳しくはこちら

 

②他の乗客の動きを報告する

女性が持続的に触られたと言っている場合、触られたこと自体について勘違している可能性は低いと思われます。

 

そのため、真犯人と人違いをされている可能性が十分にあります。

 

もし、自分の周囲で不審な動きをしていた乗客がいれば、状況を警察官にお話ししてください。

 

③女性とのやりとりを報告する

もし、痴漢冤罪に巻き込まれる前に、女性との間で、何らかのトラブルがあった場合は、女性が腹立ちまぎれに、痴漢の被害をでっちあげている可能性もあります。

 

そのような事情がある場合は、警察官に状況を報告してください。

 

 

痴漢冤罪で逮捕されても嘘の自白をする必要はない

(1)痴漢と勾留-昔の状況

10年以上前は、痴漢で逮捕された方が冤罪を主張した場合、勾留されることが普通でした。保釈も認められず、数カ月間勾留されるケースもありました。

 

そのため、痴漢冤罪で逮捕された場合、長期間の身柄拘束を避けるため、不本意ながらも「痴漢をしました」と認めるケースが少なくありませんでした。

 

(2)痴漢と勾留-現在の状況

最近では、痴漢冤罪を主張しても多くのケースで、勾留されることなく釈放されるようになってきました。

 

性犯罪の事件では、裁判官は、「被疑者が被害者に接触する可能性があるかどうか」という点を重視して、勾留するかどうかを判断します。

 

例えば、被疑者が被害者を尾行して被害者の部屋に侵入してわいせつ行為をした場合、被疑者は被害者の自宅を知っています。

 

そこで、裁判官は、「もし被疑者を釈放すれば、お礼参りをしたり自己に有利な証言をさせようとして、被害者に接触しようとするのはないか」と考え、勾留を認める可能性が高くなります。

 

これに対して、満員電車で発生した痴漢事件では、被疑者は被害者の住所等の個人情報を知らないので、物理的に接触することが難しくなります。

 

この点は、被疑者が痴漢を認めていようと、冤罪を主張していようと変わりません。

 

このような痴漢事件の特質に加え、近年、痴漢冤罪が大きな問題になっていることもあり、裁判官は痴漢事件の被疑者を勾留することに慎重になっています。

 

(3)虚偽の自白をする必要はない

最近は、痴漢冤罪の主張をしても、勾留までされるケースは少ないです。そのため、痴漢で逮捕されても、冤罪のケースであれば、不本意に自白するようなことをせず、堂々と否認を貫くべきです。

 

実務の傾向を知らない弁護士は、「認めないと勾留される可能性が高い」とアドバイスすることもありますが、これは正しいとはいえません。

 

 

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