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保護観察中の薬物再乱用防止プログラムについて

保護観察所では、特定の薬物犯罪を犯して保護観察中の人を対象として薬物再乱用防止プログラムが実施されています。薬物再乱用防止プログラムについて、弁護士 楠 洋一郎がQ&A方式でまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

 

保護観察所の薬物再乱用防止プログラムの対象になるのはどのような人ですか?

覚せい剤、大麻、麻薬等の規制薬物やラッシュ等の指定薬物の単純所持または使用で処罰され、保護観察中の方が対象になります。

 

 

薬物再乱用防止プログラムはどこで実施されますか?

対象者の現住所を管轄する保護観察所で実施されます。

 

 

薬物再乱用防止プログラムはどれくらいの期間実施されますか?

原則として保護観察が終了するまで実施されます。

 

 

薬物再乱用防止プログラムにはどのようなものがありますか?

コアプログラムとステップアッププログラムの2つがあります。

 

 

コアプログラムとはどのようなものですか?

コアプログラムは2週間に1回のペースで実施されます。全部で5つの課程があり、1つの課程で1時間30分のプログラムが1回実施されます。約3か月で全ての課程が終了します。

 

 

コアプログラムの5つの課程は次のとおりです。

 

 

第1課程 「薬物依存について知ろう」

第2課程 「引き金と欲求」

第3課程 「引き金と錨」

第4課程 「『再発』って何?」

第5課程 「強くなるより賢くなろう」

 

 

これらの課程を通じて、薬物に手を出しやすくなる状況や薬物に手を出す直前の状況を把握し、そのような状況を回避して再犯を防止するための計画を作成します。

 

 

東京保護観察所では、第1課程から第4課程までは、ワークブックを用いた集団講義の形で実施されます。保護観察官以外に精神保健福祉士やダルクのメンバーが補助者として参加することもあります。プライバシーの観点から各参加者はニックネームで呼ばれます。

 

 

第5課程のみ担当の保護観察官によってマンツーマンで実施されます。

 

 

ステップアッププログラムとはどのようなものですか?

コアプログラムが終了した後にスタートするプログラムです。1か月に1回の頻度で保護観察期間が終了するまで実施されます。

 

 

ステップアッププログラムは、コアプログラムで身につけた知識の定着を図るためのプログラムです。保護観察が終了した後をみすえ、ダルクや精神保健福祉センター等の外部施設を見学したり、家族との合同面接を実施することもあります。

 

 

薬物再乱用防止プログラムには薬物検査もセットで含まれると聞きましたが本当でしょうか?

はい。プログラムを受ける前に保護観察官によって簡易薬物検査が実施されます。検査にはだ液検査と尿検査の2つの方法があります。東京保護観察所ではだ液検査が行われています。

 

 

薬物検査で陽性反応が出た場合はどうなるのでしょうか?

陽性反応が出た場合は、保護観察官によって自発的に警察に出頭するよう促されます。出頭しなければ保護観察官が警察に通報します。

 

 

薬物検査は強制的に行われるのでしょうか?

警察が令状を取って行う尿検査のように物理的な強制力はありませんが、事実上の強制力があります。

 

 

簡易薬物検査も薬物再乱用防止プログラムの一部です。そのため、薬物再乱用防止プログラムの対象になる方は、簡易薬物検査を受けることも保護観察中に守るべきルールとされます。

 

 

このルールのことを「特別遵守事項」といいます。特別遵守事項に違反した場合は、執行猶予や仮釈放が取り消されることがあります。

 

 

そのため、物理的な強制力はありませんが、検査拒否に対しては執行猶予や仮釈放の取消しがありうるという点で事実上の強制力があります。

 

 

なお、6か月未満の仮釈放者については、薬物検査や薬物再乱用防止プログラムを受けることが特別遵守事項とはされていません。任意で薬物検査を受けるよう促されますが、これを拒否しても仮釈放が取り消されることはありません。

 

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薬物検査は何のために実施されるのでしょうか?

検査で陰性の結果を出し続けることにより、達成感を得させて断薬のモチベーションにしてもらうことが狙いです。薬物犯罪の摘発を目的とするものではありません。

 

 

薬物再乱用防止プログラムを休むことはできますか?

特別遵守事項とされていますので、体調不良などの特別の事情がある場合を除き休むことはできません。体調不良の場合でも診断書の提出が必須となりますし、保護司や保護観察官が様子を見に自宅に来ることもあります。

 

 

 

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