示談と謝罪文

示談と謝罪文

 

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

 

示談と謝罪文:謝罪文の位置づけ

示談というのは、平たく言えば、「加害者が被害者にお金を払って許してもらう」ことです。もっとも、精神的に動揺している被害者にいきなりお金の話をするのは得策ではありません。まずは、誠心誠意謝罪することが大切です。

 

 

交通事故であれば、直接、加害者が被害者の面前でお詫びすることもありますが、暴行傷害痴漢盗撮など多くの刑事事件では、被害者は加害者と接触することを望んでいません。

 

 

警察も被害者の気持ちを尊重して、加害者やその家族に被害者の個人情報を教えることはありません。

 

 

そのため、謝罪の方法としては、加害者が謝罪文を作成し、弁護士を通じて被害者にお渡しすることになります。謝罪文を通じて謝罪の気持ちが被害者側に伝われば、示談が成立する可能性が高まります。

 

 

以下では謝罪文の作成方法について弁護士が解説します。

 

 

示談と謝罪文:謝罪文の内容

自分で考えて書く

謝罪文の内容は、事件の性質や被害者との関係等によって様々です。

 

 

インターネットを検索すれば、謝罪文の文例(テンプレート)を見ることもできます。そのような文例を参考にすること自体は問題ありませんが、そのままコピーすることのないようにしてください。

 

 

一般的な文例だと、とってつけたような内容になってしまい、被害者に謝罪の意が伝わらないことが多いです。謝罪文は自分で考えて書きましょう。

 

 

4部構成を意識する

自分で考えて書くといっても、何から書いていいのかわからないという人が多いでしょう。謝罪文の作成にあたっては、次の4部構成を意識すると書きやすいです。

 

第1部 謝罪

第2部 原因分析

第3部 再発防止策

第4部 謝罪

 

謝罪文ですので、まずは謝罪から始めます。その上で、被害者に対して、どのような被害を与えたのかを想像して具体的に書くとよいでしょう(第1部)。

 

 

その後、行為に及んだ原因や背景事情について記載します(第2部)。代表的なものとして、仕事や家庭のストレス、飲酒などが考えられます。

 

 

ただ、あまり書きすぎると自己弁護しているように受けとられますので、ほどほどの分量にしてください。「そういったことは罪を犯した理由にならない。」というフォローも必要です。

 

 

続いて、再発防止策について言及します(第3部)。単に「もう二度としません。」等と書くのではなく、具体的に述べることがポイントです。

 

 

最後に改めて謝罪して文を終えます(第4部)。示談金等の話は弁護士がしますので謝罪文に書く必要はありません。

 

 

再発防止策は実行できることを書く

例えば、謝罪文に「今後は再発防止のためにカウンセリングに通います。」等と書いた場合、それを読んだ被害者から、「実際にカウンセリングに通っているんですか?」等と尋ねられることがあります。

 

 

もし通っていなければ、不信感を持たれてしまいます。再発防止策は確実に実行できることを謝罪文に書いてください。

 

 

示談と謝罪文:謝罪文の形式

便箋

便箋は縦書きでも横書きでも結構です。色は白やそれに準じた色(クリーム色等)にしてください。罫線があった方が書きやすいでしょう。

 

 

手書きで作成する

ビジネス文書ではありませんので、PCで作成するのはご法度です。手書きで作成するのが基本です。字の巧拙にかかわらず、心をこめて丁寧に書いてください。

 

 

誤字・脱字があった場合は、修正ペンで修正するのではなく、もう一度初めから書き直してください。

 

 

被害者の表記について

被害者が知人のときは、当然、謝罪文にも「○○様」という形で表記します。

 

 

被害者の氏名がわからないときは、「被害者様」と記載するのが一般的です。「あなた様」、「貴女」、「貴殿」等は、不快に思われる方もいるので避けた方が無難です。

 

 

「もともと被害者の氏名を知らなかったが捜査書類に書かれていて知ってしまった」という場合も、謝罪文には「被害者様」と記載してください。

 

 

被害者のお名前を謝罪文に書いてしまうと、「なぜ私の名前を知っているのか?」と被害者に無用の不安を与え、示談交渉が難航する可能性があるからです。

 

 

署名・捺印

謝罪文の末尾に作成日を記載した上で、署名・捺印してください。印鑑は署名の右横に、正しい向きで、はっきり写るように押してください。名前にかぶってもかぶらなくてもどちらでも大丈夫です。

 

 

逮捕・勾留中の場合は、印鑑を押すことができませんので、指印を押します。

 

 

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