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国選弁護人でも費用がかかる!?訴訟費用が生じるケースや金額について

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

国選弁護人でも訴訟費用がかかるのが原則

国選弁護人は無料で利用できる-こう思っている方が多いようです。国選弁護人の中にも、被疑者や被告人に「費用はかかりませんので安心してください。」と説明している方もいるようです。

 

しかし、国選弁護人のケースであっても、有罪判決が下されれば、被告人が訴訟費用を負担するのが原則です。法律では、経済的に訴訟費用を支払えないことが明らかな場合のみ負担しなくてもよいとされています。

 

【刑事訴訟法181条1項】

刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。但し、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときは、この限りでない。

 

「国選弁護人は無料」と思って安心していたところ、後で裁判所に費用負担を命じられてびっくりするケースが少なくありません。

 

訴訟費用とは

訴訟費用とは文字通り刑事裁判にかかった費用のことです。具体的には以下の3つに分類できます。

 

(1)国選弁護人の報酬

訴訟費用の大半を占めるのは国選弁護人の報酬です。金額についてはケースに応じて細かく定められています。国選弁護人の報酬については下記ページをクリックすると多数のpdfファイルが出てきますが、そのうち「国選弁護報酬及び費用についての基本的な説明」というpdfファイルをクリックしてください。

国選弁護人の報酬(法テラスのサイト)

 

裁判員裁判ではない通常の刑事事件では、起訴前の費用と起訴後の費用をあわせて20万円前後になることが多いです。裁判員裁判のケースでは100万円を超えることもあります。

 

(2)証人

証人には裁判所までの移動にかかる交通費と日当が支給されます。交通費については通常は実費が認められます。日帰りで裁判所まで行けない場合は宿泊費も支給されます。金額は以下の通りです。

 

交通費

実費

日当

1日当たり8050円以内

宿泊料

大都市圏は1泊8700円以内、それ以外は1泊7800円以内

 

(3)鑑定人・通訳人・翻訳人

それぞれ鑑定料、通訳料、翻訳料が支給されます。具体的な金額は裁判所が決定します。また、証人と同じく、交通費・日当・宿泊料が支給されます。

 

交通費

実費

日当

1日当たり7650円以内

宿泊料

大都市圏は1泊8700円以内、それ以外は1泊7800円以内

 

ほとんどの裁判では、鑑定人・通訳人・翻訳人が登場することはなく、証人も弁護側が申請した情状証人のみです。情状証人は被告人の負担を減らすため、日当と交通費を放棄するのが通常です。

 

そのため、ほとんどの事件では、訴訟費用は国選弁護人の報酬のみということになります。

 

訴訟費用は私選弁護士の方が安い!?

私選弁護士の場合は、弁護士費用は被告人やその家族が負担しています。国選弁護人のように税金で弁護士費用がまかなわれているわけではありません。そのため、訴訟費用には私選弁護士の費用は一切含まれません。

 

したがって、国選弁護士を選任した方が私選弁護士をつけた場合よりも、国に支払う訴訟費用は高額になります。本人や家族が負担する「トータルの費用」は、私選弁護士をつけた方が国選弁護士を利用した場合よりも高いと思われますが、訴訟費用も加味して考えるとその差は縮まります。

 

国選弁護人で訴訟費用が発生するケース

法律では、有罪判決を受けた被告人は訴訟費用を支払うことになっていますが、実際は、経済的に難しいことが多く、裁判所に訴訟費用の負担を命じられないことが多いです。

 

もっとも、被告人に訴訟費用を支払うだけの資力があることが裁判上明らかな場合は、訴訟費用の負担を命じられることがあります。例えば次のようなケースです

 

①検察側の証拠として提出された被告人の身上調書に「貯金は200万円あります。」と記載されている。

 

②被告人質問で、裁判長から「現在収入はどれくらいありますか?」と聞かれて、「月収50万円です。」と回答した。

 

③被告人質問で、裁判長から「保釈金は誰が負担したんですか?」と聞かれて、「私の貯金から出しました。」と回答した。

 

訴訟費用はいつ決まるの?

訴訟費用は判決を言い渡す際に、同時に言い渡されます。裁判所が決めた訴訟費用に異議があれば、控訴することにより争うことができます。控訴せずに訴訟費用だけ切りはなして争うことはできません。

 

訴訟費用はどうやって支払うの?

訴訟費用の回収は裁判所ではなく検察庁が担当しています。判決が確定してから約1か月後に検察庁から自宅や刑事施設に納付書が届きます。納付書を持参して銀行で支払い手続をします。

 

刑事施設に収容されている場合は家族に支払ってもらうことになるでしょう。

 

訴訟費用の執行免除の申立て      

訴訟費用の負担を命じられたとしても、裁判所に執行の免除を申し立てることができます。

 

免除の申立てができるのは判決が確定した後20日以内です。判決が出た後1、2週間で、「訴訟費用の執行免除の申し立て制度があります。」という案内が検察庁から本人のもとに届きます。

 

免除を申し立てる場合は、貧困のため訴訟費用の支払いが難しいことを具体的に書面に記載して裁判所に提出することになります。課税証明書、源泉徴収票、預金通帳の写しなどの証拠資料も添付した方がよいでしょう。

 

免除申立てが認められたら免除決定書が、却下されたら却下決定書が裁判所から本人のもとに送付されます。

 

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