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乱交パーティーと逮捕・報道-刑事事件に強い弁護士が解説

乱交パーティーを主催したり参加したとして逮捕された事件が報道されることがあります。

 

 

このページでは刑事事件に詳しい弁護士が乱交パーティー絡みでどんな犯罪が成立するか等について解説しました。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しました。

 

 

 

 

乱交パーティーに参加するとどんな犯罪になる?

金銭を払って成人女性と合意の上で性交しても、それだけでは処罰されません。売春防止法は、売春することや売春の相手方となることを禁止していますが、罰則がないからです。

 

 

【売春防止法3条】

何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない。

 

 

そのため、乱交パーティーで成人女性と性交しても、逮捕されたり起訴されることはありません。

 

 

もっとも、乱交相手が未成年の場合や乱交している状況を不特定多数が見ることができる場合は、犯罪となり逮捕・起訴されるリスクがあります。それでは犯罪ごとに見ていきましょう。

 

 

1.児童買春罪

乱交相手が18歳未満の未成年の場合は、児童買春罪(児童ポルノ法違反)になり得ます。児童買春罪の罰則は5年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

 

 

乱交が児童買春罪になるためには以下の要件を満たす必要があります。

 

 

①乱交の相手が18歳未満である

②乱交の相手が18歳未満であることを認識していた

③乱交の対価として金銭等を払った(または支払う約束をした)

 

 

①の要件については、乱交相手の年齢は警察が調べればすぐにわかりますので、問題にはなりません。

 

 

③の要件については、乱交パーティーの参加者はパーティーの主催者に参加料金を払っており、乱交相手に直接金銭を払っていないと思われますが、「児童に対する性交等を周旋した者」に金銭を払えば、児童買春の要件を満たします。

 

 

よく問題になるのは②の要件です。乱交相手が18歳未満であったとしても、参加者が18歳以上と思っていれば、児童買春の故意がなく児童買春罪にはなりません。

 

 

もっとも、取調べの際「18歳未満とは知らなかった」と言えば、すぐに見逃してもらえるわけではありません。

 

 

児童買春罪が成立するためには、「18歳未満で間違いない」という確定的な認識までは必要なく、「18歳未満かもしれない」という未必的な認識で足りるからです。

故意とは?確定的故意と未必の故意について弁護士が解説

 

 

乱交パーティーの主催者はSNSで参加者を募っていることが多いですが、募集告知に、「女子高生」、「JK」、「17歳」、「アンダー」等のワードがあれば、刑事裁判でも未必の故意が認定されることが多いです。

 

 

そのような状況で闇雲に「18歳未満とは知らなかった」と否認を続けると、逮捕される可能性が高くなりますので注意が必要です。まずは刑事事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。

 

 

2.公然わいせつ罪

乱交パーティーはホテルや民泊などの閉鎖的な空間で行われるため、部外者が乱交の様子を目撃することはないでしょう。

 

 

もっとも、乱交パーティーが大人数で開催された場合は、「公然と」わいせつな行為をしたとして、公然わいせつ罪が成立する余地があります。

 

 

乱交パーティーの参加者はSNSの募集告知に応じて参加しただけであり、AV撮影クルーのような相互のつながりはありません。そのため、大人数の参加者が不特定多数であるとして、公然性の要件を満たすと考えられます。

 

 

公然わいせつ罪の罰則は、6か月以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留、科料のいずれかです。

 

 

3.児童ポルノ製造罪

乱交相手の児童の姿態や乱交中の様子をスマートフォン等で撮影すれば、児童ポルノ製造罪が成立し得ます。

 

 

児童ポルノ製造罪は故意犯ですので、撮影対象が18歳未満であることについて認識していることが要件となります。

 

 

もっとも、児童買春罪と同様に「18歳未満であるかもしれない」という未必的な認識があれば故意は認められます。児童ポルノ製造罪の罰則は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

 

 

撮影が禁じられている乱交パーティーでこっそりと盗撮した場合は、児童ポルノ法のひそかに盗撮罪が成立し得ます。ひそかに盗撮罪の罰則も3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

 

 

4.ひそかに盗撮罪

撮影が禁じられている乱交パーティーでこっそり盗撮した場合は、児童ポルノ法のひそかに盗撮罪が成立し得ます。ひそかに盗撮罪の罰則も3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

 

 

乱交パーティーを主催するとどんな犯罪になる?

乱交パーティーを主催すると、売春防止法違反、児童福祉法違反、児童買春周旋罪、公然わいせつほう助罪になる可能性があります。それぞれの犯罪についてみていきましょう。

 

 

1.売春防止法違反

売春防止法は、売春することや売春の相手方になること自体については罰則を定めていません。もっとも、売春を助長する以下の行為については罰則を定めています。

 

 

対象

罰則

売春の周旋をした者

2年以下の懲役または5万円以下の罰金

人を欺き、若しくは困惑させてこれに売春をさせ、又は親族関係による影響力を利用して人に売春をさせた者

3年以下の懲役または10万円以下の罰金

人を脅迫し、又は人に暴行を加えてこれに売春をさせた者

同上

上の2つの罪を犯した者が、その売春の

対償の全部若しくは一部を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したとき

5年以下の懲役及び20万円以下の罰金

情を知って、売春を行う場所を提供した者

3年以下の懲役または10万円以下の罰金

 

 

乱交パーティーの主催者もこれらに該当するとして売春防止法違反で逮捕・起訴されるリスクがあります。

 

 

2.児童福祉法違反

乱交パーティーに18歳未満の児童を参加させて乱交させた場合は、「児童に淫行させた」として児童福祉法違反が成立する可能性が高いです。

 

 

【児童福祉法34条】

何人も次に掲げる行為をしてはならない

6 児童に淫行させる行為

 

 

児童福祉法違反の罰則は、10年以下の懲役または300万円以下の罰金です。懲役と罰金が両方科されることもあります。

 

 

児童福祉法違反が成立するのは、児童に対して事実上の影響力を行使して、淫行させた場合です。

 

 

乱交パーティーの主催者は、不特定多数の男性参加者をSNSで募集する一方で、女性については、以前から知っていて親交がある女性を参加させるケースが多いです。

 

 

児童の方から積極的に乱交パーティーへの参加を希望することはないと思われますので、主催者が児童に対して事実上の影響力を行使して、乱交パーティーへ参加させているのが実情と思われます。

 

 

そのため、主催者には児童福祉法違反が成立する可能性が高いです。

 

 

3.児童買春周旋罪

乱交パーティーを主催して参加者に児童買春をさせると、「児童買春の周旋をした者」として児童買春周旋罪が成立します。

 

 

児童買春周旋罪の罰則は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金です。懲役と罰金の両方が科されることもあります。

 

 

営利目的で乱交パーティーを何度も主催していた場合は、「児童買春の周旋をすることを業とする者」として、7年以下の懲役及び1000万円以下の罰金が科されます。

 

 

4.公然わいせつほう助罪

お互いにつながりのない不特定多数の参加者が乱交パーティーに参加していた場合、露出している参加者には公然わいせつ罪が成立し得ます。

 

 

主催者も自ら乱交に参加していれば公然わいせつ罪になり得ます。自身は乱交に参加していない場合でも、参加者のために乱交場所を用意しているため、公然わいせつほう助罪になります。

 

 

ほう助とは、他人の犯罪の手助けをして結果発生を容易にすることです。

 

 

乱交パーティーと報道

乱交パーティーで逮捕されると報道される可能性が高くなります。

 

 

近年、SNSを通じて参加者を募る乱交パーティーが目立っており、上で見たように様々な犯罪の温床になるため、警察当局は取り締まりに力を入れています。

 

 

他の乱交パーティーの主催者や参加者に対しても警鐘を鳴らす意味で、警察当局は被疑者を逮捕するとかなり積極的にプレスリリースする傾向があります。以下で報道された乱交パーティーの事例を紹介します。

 

 

1.貸別荘で100名以上参加の乱交パーティー

浜名湖畔の貸別荘で120名規模の乱交パーティーを主催したとして、男女2名が公然わいせつほう助罪で逮捕された事件。参加者2名も公然わいせつ罪で現行犯逮捕された。

 

 

2.乱交パーティーで女子高生に淫らな行為

乱交パーティーで18歳未満の女子高生に淫らな行為をしたとして、主催者と参加者の医師、公認会計士、自衛官、公立中学校教諭、僧侶らが児童福祉法違反、児童買春罪等で逮捕された事件。

 

 

3.民泊で乱交パーティー開催

民泊を借りて乱交パーティーを開催したとして男女5名が売春防止法違反(場所提供)で逮捕された事件。平成24年頃から同様の犯行を繰り返し、6億5000万円を売り上げていたという。

 

 

乱交パーティーで逮捕・報道を回避するために

乱交パーティーの主催者については、逮捕・報道を回避することは難しいですが、参加者については、自首をすることにより逮捕・報道を回避できる可能性が高まります。

自首に弁護士が同行するメリットや同行の弁護士費用について

 

 

以前に参加した乱交パーティーの主催者や参加者が逮捕されたとニュースで見て、「自分も逮捕されるかも。」と不安な日々を過ごされている人もいるかもしれません。

 

 

ウェルネスの弁護士は、乱交パーティーの自首同行で逮捕を回避した実績があります。乱交パーティーでお悩みの方はお気軽にウェルネス(03-5577-3613)へお電話ください。

 

 

 

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