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在庁略式(逮捕・勾留なし)
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
在庁略式とは
刑事事件について検察官が略式起訴すると、略式裁判を経て被告人に略式命令が渡されます。
⇒略式裁判とは?罰金の金額や払えない場合について弁護士が解説
逮捕・勾留されている間に略式起訴されると、被告人は略式命令が出るまで裁判所で待機し、略式命令を受けとった直後に釈放されます。これを「在庁略式」といいます。
これに対して、逮捕・勾留されていない在宅事件では、検察官が略式起訴すると、裁判所から略式命令が本人の自宅に郵送されます。
在宅事件でも在庁略式にできる
逮捕・勾留されていない在宅事件のケースでは、略式命令は郵送で自宅に届くのが基本ですが、検察官に申請することにより、在庁略式にしてもらい裁判所で受けとることも可能です。
ただ、在庁略式の方が手続に要する時間や検察事務官の負担が大きくなるので、事前に、弁護士が検察官に申請し、出頭日などを調整しておきます。
在宅事件で在庁略式にする理由
同居の家族がいて、家族に裁判所や検察庁から書面がきたことを知られたくなければ、在庁略式にしてもらうべきです。
逮捕・勾留されていなければ、略式命令は特別送達という形式で自宅に送られてきます。本人が自宅に不在の場合、郵便局員は同居の家族に渡します。略式命令を受けとると、約1週間後に検察庁から罰金の納付用紙が届きます。
在庁略式にしてもらい、当日中に罰金を支払えば、後日、裁判所や検察庁から書類が届くことはありませんので、家族にばれるおそれもなくなります。
在庁略式と罰金の納付
在庁略式にしてもらった場合は、裁判所で略式命令を受けとった当日に罰金も納付します。もし当日に納付しなければ、検察庁から納付用紙が自宅に送られてくるので、わざわざ在庁略式にしてもらった意味がなくなるからです。
そのため、出頭する際には、罰金額相当の現金を持参することになります。金額については事前に弁護士が検察官に確認します。
在宅事件で在庁略式にした場合の流れ(東京地検)
東京地方検察庁で、在宅事件の被疑者が在庁略式で処分を受けるときの流れは次の通りです。基本的には他の検察庁でも同様の流れになります。
あらかじめ弁護士が検察官に略式起訴する場合は在庁略式にするよう申請しておく | |
当日午前10時 | 検察庁へ出頭 →検察官の取調べを受け略式裁判の説明を受ける →申述書に署名・捺印 |
午前11時30分 | 検察事務官と一緒に地下連絡通路を通って、東京簡易裁判所刑事第3室(2階)に行く →待機スペースにて待機 |
午後1時30分 | 裁判所書記官から略式命令書を受けとる →受領書にサインして押印 →待機スペースにて待機 |
午後1時45分 | 検察事務官が迎えにくる →地下連絡通路を通って、東京地検の執行係(2階)に行く |
午後1時50分 | 執行係の職員に罰金を払って領収証を受けとる→終了 |
*赤字部分のみ事前に別の日に行うこともあります。
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