下着泥棒で逮捕される事例は?示談のメリットや示談金についても解説

☑ 下着泥棒は逮捕される?

☑ 下着泥棒の示談について知りたい

☑ 下着泥棒の余罪があればどうなる?

 

 

このページでは下着泥棒をしてしまった方や下着泥棒で逮捕された方のご家族を対象として、上記のような疑問について、弁護士 楠 洋一郎がわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてみてください!

 

 

下着泥棒の事例は?

下着泥棒の事例として次のようなケースがあります。

 

①ベランダに手を伸ばして干してあった下着をとった

②コインランドリーで洗濯機や乾燥機に入っていた下着をとった

アパートの室内に侵入して引出しや洗濯かごから下着をとった

 

 

下着泥棒は何罪になる?刑罰は?

1.下着泥棒は窃盗罪

下着泥棒は窃盗罪になります。刑罰は10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。下着に触れた後に第三者に見つかりとらずに逃げた場合は、窃盗未遂罪になります。

 

 

【刑法】

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

*2025年6月1日より懲役刑に代わって拘禁刑が導入されました。

 

 

2.住居(建造物)侵入罪が成立することも

室内やアパートのベランダ、戸建て住宅の庭に侵入して下着をとった場合は、窃盗罪とは別に住居侵入罪が成立します。コインランドリーで下着をとった場合は建造物侵入罪が成立します。

 

 

住居侵入罪も建造物侵入罪も刑罰は3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です。

 

 

【刑法】

第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。

*2025年6月1日より懲役刑に代わって拘禁刑が導入されました。

 

 

3.窃盗罪と住居(建造物)侵入罪との関係

住居侵入罪または建造物侵入罪と窃盗罪は手段と目的の関係になります。手段と目的の関係にある複数の犯罪を牽連犯(けんれんぱん)といいます。牽連犯については、最も重い犯罪の刑で処断されます。

 

 

【刑法】

第五十四条 一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

 

 

住居侵入罪・建造物侵入罪よりも窃盗罪の方が刑罰が重いため、下着泥棒のケースでは、窃盗罪の刑で処断されることになります。

 

 

下着泥棒で逮捕される事例は?

下着泥棒で逮捕される事例として、現行犯逮捕されるケース、緊急逮捕されるケース、後日逮捕されるケースの3つがあります。それぞれについて説明します。

 

 

1.下着泥棒と現行犯逮捕

下着泥棒で最も多いのは、アパートのベランダ等で干された下着を盗っているところを住人や通行人に目撃されて取り押さえられ、現行犯逮捕されるケースです。

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コインランドリーで下着を物色しているところを通行人に目撃され、私人逮捕(現行犯逮捕)されることもあります。

 

 

 

2.下着泥棒と緊急逮捕

下着泥棒をしているところを第三者に見られて逃走中に、付近を警戒中の警察官から職務質問をされ下着泥棒が発覚した場合は、緊急逮捕されることがあります。

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3.下着泥棒と後日逮捕

下着泥棒をした当日に逮捕されなかったとしても、防犯カメラによって足がつき後日逮捕されることがあります。

 

 

前科や前歴があれば、警察庁のデータベースに指紋情報が登録されているため、ベランダの手すり等から検出された指紋が決め手になって後日逮捕されることもあります。後日逮捕される場合は、警察が身柄を取りに自宅や職場に来ることになります。

 

 

下着泥棒で起訴される?

下着泥棒は、財産的な損害を与えるだけでなく、性的なプライバシーを侵害する犯罪です。また、下着泥棒から不同意わいせつ等のより重大な性犯罪に発展していくケースもあり、一般予防の観点からも厳しく処罰すべきと考えられています。

 

 

そのため、たとえ初犯であっても公判請求されることが少なくありません。公判請求されると公開の法廷で審理され、検察官から拘禁刑を請求されることになります。

刑事裁判の流れ

 

 

下着泥棒は重大犯罪とまではいえないため、初犯であれば執行猶予がつく可能性が高いです。

 

 

下着泥棒と示談

1.下着泥棒で示談をするメリット

下着泥棒の被害者との間で示談が成立すれば不起訴になる可能性が高くなります。不起訴とは刑事裁判にかけないこととする処分です。刑事裁判にならないので処罰されたり前科がつくことはありません。

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2.下着泥棒の示談金の相場

下着泥棒の示談金の相場は10~20万円程度です。

 

 

ベランダや室内に侵入して下着泥棒をした場合、被害者の自宅が加害者に発覚しているため、被害者が引っ越しを希望することがあります。その場合は引っ越し費用を上乗せすることも検討する必要があるでしょう。

 

 

3.下着泥棒の示談交渉は弁護士に依頼する

下着泥棒の被害者は、氏名や電話番号等の個人情報を加害者に知られたくないと思っています。そのため、加害者は、被害者の個人情報を捜査機関から教えてもらうことはできません。

 

 

弁護士が間に入れば、被害者も安心でき氏名や電話番号を教えてもらいやすくなります。そのため、下着泥棒の示談交渉は弁護士に依頼しましょう。

 

 

4.下着泥棒の示談のポイント

いったん起訴されてしまったら、その後に示談が成立しても、不起訴になることはありません。無罪にならない限り、前科がついてしまいます。示談を希望するのであれば、早めに弁護士に依頼して動いてもらった方がよいでしょう。

 

 

下着泥棒と余罪

下着泥棒のケースでは、逮捕された事件以外にも余罪があることが多いです。ニュースでも下着泥棒の自宅から押収された大量の下着が陳列されている場面がしばしば報道されます。

 

 

警察は余罪捜査のため、被疑者の自宅を捜索し女性物の下着があれば押収します。それでは下着泥棒の余罪はどのように取り扱われるのでしょうか?

 

 

1.余罪について自供したとき

警察が家宅捜索で下着を押収すると、被疑者に対して示し取りをして、その下着をどこから持ってきたのかを確認します。「示し取り」とは、被疑者に証拠物を見せながら、供述を求めることです。

 

 

被疑者から「この下着は~から持ってきました」といった供述が得られた場合は、捜査員が被害場所に行き、居住者に下着を見せながら「下着泥棒がこの下着をとったと言っていますが、心あたりはありますか?」と尋ねます。

 

 

心あたりがあれば、被害者に対して被害届を提出するか否かを確認し、提出するのであれば、余罪についても刑事事件として立件します。

 

 

余罪を刑事事件として立件すると、その事件について再逮捕するか追送致することになります。追送致とは、被疑者を再逮捕せずに捜査資料のみを検察官に引き継ぐことです。

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余罪について素直に自供していれば、再逮捕ではなく追送致で進められる可能性が高いです。いずれにせよ検察官は余罪についても、起訴するか不起訴にするかを決めます。

 

 

ウェルネスの弁護士が知り合いの元検察官に聞いたところ、下着窃盗の被疑者は下着に対して強い執着をもっており、大量の下着の1枚1枚について、「この下着はいつどこから盗ってきたものです。」と正確に覚えている人が多く、ある意味感心させられるとのことです。

 

 

2.余罪について否認・黙秘したとき

下着泥棒の余罪について聞かれた際に否認したり黙秘すれば、刑事事件として立件されない可能性が高いです。もっとも、次の条件を全て満たす場合は、たとえ否認したり黙秘しても、再逮捕や追起訴される可能性は十分にあります。

 

 

①被疑者の自宅から発見された下着と酷似している下着について被害届や遺失物届が出ている。

②被疑者が犯人であることを裏付ける防犯カメラや指紋などの客観的な証拠がある。

 

 

もっとも、①や②の条件を満たすか否かは容易にわかりません。そのため、自供するか否かは弁護士に相談した上で決めるようにしてください。

 

 

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