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上訴権の放棄とは?執行猶予を早く終わらせる方法を解説
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
上訴権の放棄とは?
被告人は、第一審の地方裁判所の判決に対して不満があるときは、高等裁判所に控訴して、別の裁判官に審理してもらうことができます。高等裁判所の判決にも不満があれば、最高裁判所に上告することができます。
このように被告人には控訴や上告をする権利がありますが、これを放棄するのが上訴権の放棄です。
上訴権の放棄により執行猶予が早く終わる
執行猶予中に再び犯罪行為をしてしまい起訴された場合は、実刑判決になる可能性が高くなります。執行猶予も取り消される可能性が高いです。そのため、執行猶予期間は1日でも短いに越したことはありません。
執行猶予は判決が確定した日からスタートします。判決が確定するのは、判決が言い渡された日の15日後になります。そのため、判決が確定する日を前倒しできれば、それに伴い、執行猶予の最終日も前倒しされることになります。
そのための方法が上訴権の放棄です。被告人と検察官の双方が上訴権を放棄すると、判決宣告日から15日が経過する前であっても、その時点で判決が確定します。
上訴権放棄のデメリット
上訴権を放棄すると、その事件について上訴することができなくなります。
被告人と検察官の双方が上訴権を放棄した時点で判決は確定しますが、その後に被告人や検察官が上訴することを認めれば、いったん確定した判決がその後の上訴により確定していないことになってしまい、不安定になってしまうからです。
上訴権放棄には、「上訴できなくなる」というデメリットがあるため、死刑や無期懲役・無期禁固という重い刑罰が言い渡された場合は、法律で上訴権放棄ができないこととされています。
これら以外の刑罰が言い渡された場合は、被告人が判決に納得しており、「やっぱり上訴したい」と気が変わる可能性がなければ、上訴権放棄のデメリットはないということになります。
起訴事実について認めている事件で執行猶予が言い渡されたケースでは、判決に納得しているケースが多いと思われますので、上訴権放棄を検討してもよいでしょう。
上訴権放棄の流れ
①執行猶予判決が言い渡される
↓
②判決の言渡し直後に、法廷で、弁護士が被告人の署名・捺印がある上訴権放棄の申立書を書記官に提出する
↓
③弁護士が、法廷にいる検察官に申立書の写しを渡し、上訴権の放棄を依頼する
↓
④検察官が上訴権放棄の申立書を裁判所に提出
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⑤判決が確定→その日から執行猶予がスタートする
上訴権を放棄をすればいつ判決が確定する?
検察官も判決の内容について納得している場合は、最短で判決当日に確定することもあります。
ただ、検察官が判決に納得しておらず、検察庁の内部で控訴するか否かを検討する場合(控訴審議を開く場合)は、確定まで1週間以上かかるケースもあります。
控訴審議の結果、検察官が控訴することになった場合は、被告人が上訴権を放棄しても一審で確定することはありません。
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