逮捕された!「自称」がつくのはなぜ?対処法は?

逮捕された被疑者について、「自称 会社員」、「自称 飲食店経営」等と報道されることがあります。

 

 

このページでは、逮捕されたときに氏名や住所、職業が「自称」とされる理由や「自称」とされた場合のデメリット、対処法について、刑事事件に詳しい弁護士 楠 洋一郎が解説しました。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

 

逮捕された!どうして「自称」になる?

ニュース報道で、逮捕された人の職業の前に「自称」という言葉がつけられていることがあります。捜査の世界では、職業以外に氏名や住所も「自称」とされることがあります。

 

 

氏名や住所・職業が「自称」扱いになるのは、被疑者を現行犯逮捕したケースです。通常逮捕するケースでは、捜査員が犯人を絞り込んでいく過程で、被疑者の氏名・住所・職業を把握した上で、裁判官に逮捕状を請求します。

 

 

そうして発付された逮捕状には、被疑者の氏名・住所・職業が明記されていますので、自称扱いになることはありません。

 

 

これに対して、現行犯逮捕するケースでは、警察官にとっても逮捕は突然のことですので、逮捕直後の時点では被疑者がどこの誰なのかを把握していないのが通常です。

 

 

被疑者の氏名・住所・職業は逮捕後に被疑者の身分証明書や社員証を見て確認することになります。

 

 

もし現行犯逮捕された被疑者が運転免許証や健康保険証、マイナンバーカード等の公的な身分証や社員証を持っていなければ、氏名や住所、職業が自称扱いになります。

 

 

職業については、社員証を持っていなくても、警察が被疑者の勤務先に電話して在籍を確認できれば、自称扱いにはなりません(ただし職場にバレてしまいます)。

 

 

逮捕された状況で氏名や住所、職業を偽る被疑者はまずいませんが、裏づけがとれない限りは自称扱いにされてしまいます。

 

 

逮捕された!「自称」扱いになるデメリット

逮捕後に氏名や住所、職業が自称とされた場合は、そうでないケースに比べて、勾留される可能性が高くなります。

 

 

氏名や住所は人の最も基本的な情報です。職業も氏名や住所ほどではありませんが、人の属性を基礎づける重要な情報になります。そのような情報が自称扱いになると、身元が不安定ということになり、勾留の要件である逃亡のおそれがあると判断されやすくなります。

 

 

そのため、勾留される可能性が高くなってしまいます。いったん勾留されると原則10日、勾留が延長されると最長20日にわたって留置されることになります。

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そのため、職場に逮捕されたことが発覚し解雇される可能性が高くなります。

 

 

逮捕された!「自称」扱いになった場合の対処法

現行犯逮捕された際、身分証や社員証を持ち合わせておらず、氏名や住所、職業が自称とされた場合、そのままにしていると勾留される可能性が高くなります。

 

 

警察も被疑者から聞いた住所に行ったり、家族や職場に連絡する等して、氏名や住所・職場の調査をします。

 

 

ただ、被疑者を逮捕すると48時間以内に検察官に送致しなければならないため、氏名や住所、職場の特定まで間に合わず、「自称」がついたままで送致することも少なくありません。

 

 

検察官は独自に身元を調査することは通常ありませんので、「自称」がついたまま裁判官に勾留請求し、裁判官も自称であることをふまえ、勾留請求を許可しがちです。

 

 

弁護士が家族と連絡をとりあって、逮捕された被疑者の身分証明書や社員証を取り寄せ、検察官や裁判官に提出すれば、「自称」がとれることになります。

 

 

そうすると、身元が不安定であるといった評価をされることもなくなり、勾留されずに釈放される可能性が高くなります。

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