証拠調べの解説

証拠調べの解説

検察官の証拠調べ請求はこうして行われる

①検察官は、証拠をリストアップした「証拠等関係カード」という紙を、裁判官と弁護士に交付します。

 

②検察官が裁判官に「証拠等関係カード記載の各証拠の取調べを請求します」と言って、証拠の取調べを請求します。

 

証拠書類に同意が必要な理由

証拠書類は弁護士(被告人)や検察官の同意がなければ、原則として、裁判の証拠とすることはできません。

 

なぜ同意が必要となるのでしょうか?

 

供述調書等の書類に書かれていることが真実とは限りません。見間違いや記憶違いの可能性もあります。捜査官によって誘導されているかもしれません。そのため、供述調書等の書類のみで裁判を進めると、間違った裁判をしてしまう可能性があります。

 

そこで、間違った裁判にならないよう、書類の取調べについては弁護士・検察官の同意が必要とされているのです。

 

弁護士が供述調書を不同意にした場合

弁護士が供述調書等の証拠書類を不同意にすると、原則として、その書類を裁判の証拠にすることはできません。

 

もっとも、検察官はその書類の供述者を証人として、取調べを請求することができます。例えば、弁護士が目撃者の供述調書を不同意にした場合、その調書を証拠とすることはできませんが、代わりに、検察官は、目撃者の証人尋問を請求することができます。

 

証人尋問の請求を、弁護士が「不同意」にすることはできません。

 

供述調書の取調べと証人尋問の違い

目撃者の供述調書を取り調べても、目撃者その人に対して証人尋問をしても同じではないかと思われるかもしれませんが、大きな違いがあります。

 

それは、証人尋問の場合、反対尋問をする機会が保証されるということです。例えば、目撃者に対しては、目撃したときの明るさや距離、目撃者の視力、供述が変遷している理由などを、反対尋問によって検証することができます。

 

反対尋問の結果、「この目撃者は信用できない」という心証を裁判官が抱くかもしれません。

 

これに対して、供述調書の取調べだけでは、反対尋問をすることができず、正確性を検証することができません。

 

一部のみ不同意にしてもよい

証拠について不同意にする場合は、書類の全部を不同意にしても、一部を不同意にしても構いません。一部不同意の場合は、検察官(弁護士)は、不同意部分をマスキングした証拠書類を裁判官に提出します。そのため、不同意部分が裁判官の目に入ることはありません。

 

書類以外の証拠について

証拠調べ請求をされるのは供述調書等の書類だけではありません。物(例:覚せい剤事件における覚せい剤)や証人の取調べが請求されることもあります。

 

物や証人については、弁護士(検察官)が同意したり、不同意にすることはできません。物については反対尋問する余地はないですし、証人については反対尋問の機会が保証されているからです。

 

 

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