家族・上司が身元引受人になる4つのパターンと弁護士の対応

刑事事件の身元引受人について弁護士 楠 洋一郎が解説します。

 

 

 

 

身元引受人を求めるのは逮捕しないとき

警察が刑事事件の被疑者に対して、身元引受人を立てるよう求めるのは、被疑者を逮捕しないときです。逮捕しない代わりに、身元引受人に被疑者を託し、被疑者が逃げたり、証拠を隠滅したりしないよう監督させます。

 

 

家族・上司が身元引受人になる4つのパターン

①家族に警察署まで迎えに来てもらうケース

刑事事件を起こして日中に警察に検挙された場合は、捜査員が家族に電話して、身元引受人として警察署まで迎えに来させることが多いです。

 

 

身元引受人になるのは妻や親など同居の家族が一般的です。一人暮らしの場合は実家の親に警察署まで来てもらうことが多いです。身元引受人には警察署で身柄請書に署名・捺印してもらいます。

 

 

②警察が家族に会いに行くケース

会社帰りに痴漢盗撮をしたり、酔って駅員に暴行するなどして、夕方以降に検挙されたときは、取調べが終わるのが深夜や未明になることがあります。

 

 

そのようなケースでは、捜査員が警察車両で被疑者を自宅まで送り、同居の家族に身元引受人になってもらうことが多いです。家族から見れば、深夜や早朝にいきなり起こされ、玄関先で捜査員との対応を余儀なくされるので、非常に動揺することになります。

 

 

③警察が身元引受人と直接接触しないケース

被疑者が一人暮らしで、実家も遠方にあり、親がすぐに警察署に来ることが難しい場合は、捜査員が被疑者に身柄請書を渡し、実家の親に署名・捺印してもらった上で、警察に提出するよう求めることがあります。

 

 

実家の親には警察から電話連絡が入ることもあれば、入らないこともあります。

 

あわせて、捜査員が警察車両で被疑者を自宅まで送迎し、本人が自宅の鍵を開けている様子や公共料金の控えを手にしているところを写真撮影することが多いです。

 

 

④勤務先の上司に警察署まで来てもらうケース

被疑者が一人暮らしで、実家も遠方にあり、親がすぐに警察署に来ることが難しい場合は、③の方法によるのではなく、捜査員が勤務先の上司に連絡し、迎えに来てもらうことがあります。

 

 

ただ、勤務先にばれてしまうと、刑事事件によっては懲戒解雇のおそれもでてきます。上司に連絡されるのを何としても防ぎたければ、③のケースで処理してもらえるよう、捜査員と交渉するべきです。

 

 

弁護士が身元引受人になるケース

弁護士も身元引受人になることができます。弁護士が身元引受人になれば、警察から家族や上司に連絡がいくことは通常ありません。ただ、上で述べた①、②、④のケースでは、弁護士を選任する時間的な余裕がないと思われます。

 

 

これに対して、③のケースでは、1週間程度は身柄請書を待ってもらえることが多いため、その間に弁護士を選任し、弁護士が身柄請書に署名・捺印することにより、身元引受人になることができます。

 

 

①と④のケースでも、事件当日ではなく後日に検挙された場合は、検挙されるまでの間に弁護士を選任しておけば、弁護士が警察署に駆けつける等して身元引受人になれる余地はあるでしょう。

 

 

また、自首をする場合であれば、あらかじめ弁護士に相談して、身元引受人として一緒に出頭してもらうことも可能です。

 

 

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