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痴漢は証拠がなくても自首できる?弁護士が解説
このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。
自首とは
自首とは、自分がした犯罪を自発的に捜査機関に申告し処分を求める意思表示です。
自首が成立するためには、犯罪と犯人が特定される前に捜査機関に申告する必要があります。犯罪と犯人の両方が特定された後に出頭しても自首は成立しないのです。
自首するためには、自発的な申告であることが必要です。取調官から追及されて申告しても自首にはなりません。
証拠がなくても自首できる?
自首の要件として、証拠を持参して出頭することまでは求められていません。証拠を確保するのは、捜査機関の仕事であり犯人の義務ではないからです。
警察の捜査について必要な事項を定めた犯罪捜査規範にも、証拠がなければ自首を受理できないとは書かれていません。
【犯罪捜査規範第63条】 司法警察員たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があつたときは、管轄区域内の事件であるかどうかを問わず、この節に定めるところにより、これを受理しなければならない。 |
もっとも、実際は、証拠がなければ自首として受理されないことが多いです。証拠がなければ捜査しようがなく、刑事事件として取り扱う必要がないためです。
以下では、痴漢事件で証拠がなくても自首できるかどうかについて解説しました。ぜひ参考にしてみてください。
痴漢の証拠にはどんなものがある?
痴漢の典型的な証拠は以下の通りです。
防犯カメラ等 | 電車内の防犯カメラ |
駅構内の防犯カメラ | |
加害者が犯行時に来ていた服(防犯カメラに写っている犯人と同一人物であることを裏づける証拠になります) | |
関係者の供述 | 犯行状況についての被害者の供述 |
犯行状況についての目撃者の供述 | |
下車後に対応した駅員の供述 | |
その他 | 加害者の交通系ICカードに紐づけられた個人情報、乗車履歴 |
被害者・目撃者がスマホで加害者を撮影した映像 |
これらの証拠のうち、痴漢をした時に加害者が着ていた服については、本人の自宅にあるでしょうから、出頭する際に警察に持参することができます(着用したまま出頭することが多いです)。
交通系ICカードも持参できるでしょう。それ以外の証拠については、そもそも加害者側で確保することができない証拠になります。
痴漢は証拠がなくても自首できる?
1.被害届が出ている場合
被害者から被害届が出ていれば、加害者側の証拠(痴漢していた時に加害者が着ていた服と交通系ICカード)がなくても、出頭すれば自首として受理されます。
交通系ICカードの現物がなくても、防犯カメラから犯人が通過した改札と通過時刻がわかれば、警察は鉄道会社に捜査関係事項照会をすることによって、カードに紐づけられた個人情報や利用履歴を確認することが可能です。
当日着用していた衣類については、それがなければ犯行を証明することができないほどの決定的な証拠というわけではありません。
犯人性は、当時の衣類がなくても、被害者や目撃者の証言、防犯カメラに写っている犯人の人相・体格等から裏付けることが可能だからです。
もっとも、自首する以上は、積極的に捜査に協力する意思を示すため、可能な限り衣類や交通系ICカードを持参すべきでしょう。
出頭前にこれらの証拠を捨ててしまうと、「証拠を隠滅した」と言われても反論のしようがなく、自首したのに逮捕される可能性もあります。
そのため自首を希望するのであれば、これらの証拠は捨てないで手元に置いておきましょう。
2.被害届が出ていない場合
出頭した時点で被害届が出ていない場合は、衣類や交通系ICカードを持参して出頭しても、自首として受理される可能性は低いです。
被害者から訴えがない以上、警察としてもあえて捜査をして検察官に送付する必要がないと考えられるからです。
そもそも刑事事件として扱われないため、自首として受理されなくても、加害者にとって不利益はありません。後日に被害者から被害届が出た場合は、最初に出頭した時点にさかのぼって自首したものとして扱われます。
3.まとめ
痴漢で自首するためには、証拠があるかないかということよりも、被害届が出ているか否かがポイントになります。
被害届が出ていれば、加害者側の証拠がなくても自首として受理されますし、被害届が出ていなければ、証拠があっても自首として受理されない可能性が高いです。
痴漢の自首に強い弁護士が解説!