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傷害事件で逮捕されたら?弁護士の呼び方・選び方や弁護士費用について
このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。
傷害事件で逮捕されたときに弁護士を呼ぶメリット
1.早期釈放の可能性が高まる
刑事事件の身柄拘束は逮捕→勾留というステップで進みます。傷害事件で逮捕されても勾留を阻止できれば、3日以内に釈放されます。逆に勾留を阻止できなければ、原則10日、延長されれば最長20日にわたって勾留されます。
勾留されると身柄拘束が長引くため、勤務先や学校に事件を起こして逮捕されたことがばれてしまい、解雇や退学のおそれが出てきます。
逮捕直後に弁護士を呼べば、弁護士が意見書や家族の身元引受書を検察官や裁判官に提出して、勾留阻止の可能性を高めます。
2.示談成立の可能性が高まる
傷害事件で逮捕されても、示談がまとまれば不起訴になる可能性が高くなります。とはいえ、被害者の連絡先がわからなければ、示談交渉を始めることができません。
傷害事件の被害者は加害者に対して恐怖感を持っており、加害者やその家族に個人情報を知られたくないと思っています。検察官もそのような被害者の思いを尊重して、加害者側に被害者の個人情報を教えてくれません。
弁護士が示談交渉の窓口になれば、被害者も安心して弁護士に連絡先を教えて示談交渉を進めることができます。
3.不利な調書を作成させない
傷害事件で逮捕されると、すぐに警察署に連行され取調べが始まります。逮捕直後の動揺した状態で、弁護士のアドバイスなしで取調べに臨むと、取調官のプレッシャーにおされて、不利な調書をとられてしまうことが多いです。
傷害の容疑を否認している場合、「私がやりました」という自白調書をとられてしまうと、起訴されて有罪になる可能性が高くなります。
弁護士が接見して黙秘権等の重要な権利について説明し、取調べにどのように対応すればよいのかをアドバイスします。
【傷害事件で逮捕されていないときに弁護士を呼ぶメリット】 逮捕されていない場合でも、示談を成立させたり、不利な調書を作成されないようにするために弁護士に依頼した方がよいでしょう。
傷害事件を起こして現場から逃げた場合は、弁護士が自首に同行することにより、逮捕・報道を回避して、家族や職場への発覚を阻止できる可能性が高くなります。 |
傷害事件で逮捕されたときに弁護士を呼ぶタイミング
傷害事件で逮捕されたらできるだけ早く弁護士を呼ぶべきです。理由は以下の3つです。
1.勾留が決まるまで時間がない
早朝に逮捕された場合、東京では2日以内、東京以外のほとんどの地域では逮捕翌日に勾留されるか釈放されるが決まります。午後に逮捕された場合でも期間は1日延びるだけです。
勾留を阻止するためには、上記の期間内に、弁護士が検察官や裁判官に意見書を提出する必要があります。弁護士を呼ぶタイミングが1日でも遅れると、弁護活動が間に合わないということにもなりかねません。
2.供述調書は撤回できない
傷害事件で逮捕されるとすぐに警察の取調べが始まります。取調官は弁護士が接見に来るまで取調べを待ってくれるわけではありません。
むしろ弁護士が来ないのをいいことに、捜査側に都合のよい調書をいっきに作成しようとします。そのため、弁護士を呼ぶタイミングが遅れると、不利な調書が作成されていき、処分が重くなる可能性が十分にあります。
供述調書はいったん作成されれば、原則として後で撤回することができません。傷害の容疑を否認している場合に自白調書をとられてしまうと、不起訴や無罪の獲得が難しくなってしまいます。
3.示談交渉のタイムリミット
被疑者が勾留された場合、検察官は最長20日の勾留期間内に被疑者を起訴するか、釈放するかを決めなければなりません。
傷害事件では、たとえ勾留されても勾留期間内に示談が成立すれば、釈放されて不起訴になる可能性が高いです。弁護士が検察官に示談書を提出すれば、当日か翌営業日に釈放されるケースが多いです。
もし勾留期間内に示談が成立しなければ、起訴される可能性が高くなります。示談交渉に入るタイミングが早ければ早いほど、示談が成立するタイミングも早くなり、不起訴の可能性が高くなります。
【傷害事件で逮捕されていないときに弁護士を呼ぶタイミング】 逮捕されていなければ、一刻も早く弁護士に依頼する必要まではありません。ただ、被害者へのお詫びや示談の申し入れが遅いと、被害者の心情を害することがあるため、早めに弁護士に依頼した方がよいでしょう。
傷害容疑を否認している場合も、不利な調書を作成されないようにするため、早めに弁護士に相談した方がよいでしょう。
傷害事件を起こして現場から逃げた場合、自首を検討することになります。犯人として特定されてしまうと、出頭しても自首にはならないため、できるだけ早く弁護士に相談してください。 |
傷害事件で逮捕されたら弁護士をどうやって呼ぶ?
1.逮捕された本人が弁護士を呼ぶ方法
傷害事件で逮捕された後に呼べる弁護士は当番弁護士と国選弁護人です。私選弁護人は原則として呼べませんが、逮捕前に私選弁護人に依頼していた場合は呼べます。以下それぞれについて見ていきましょう。
①当番弁護士
当番弁護士とは弁護士会から派遣され、身柄を拘束されている被疑者や被告人と無料で1回接見してくれる弁護士です。
当番弁護士の呼び方は、警察職員に「当番弁護士を呼んでください。」と言うだけです。その後の手続は警察と弁護士会がしてくれます。
当番弁護士のメリットは、「逮捕後いつでも呼べる」、「無料で1回接見してくれる」というこです。
当番弁護士のデメリットは、接見してアドバイスする以上の活動はしてくれないということです。例えば、被害者と示談交渉をしたり、検察官に意見書を提出するといった活動はしてくれません。
また、弁護士を選ぶこともできませんので、傷害事件の弁護経験がない弁護士が接見に来ることもあります。
②国選弁護人
国選弁護人は、貧困等の理由により私選弁護人に依頼できない方のために、国(裁判所)が選任する弁護人です。選任するのは国であって被疑者・被告人ではありません。
国選弁護人の呼び方は、警察職員に対して「国選を呼んでください。」と言うだけです。後は警察・裁判所・法テラスが手続をしてくれます。
国選弁護人のメリットは弁護士費用が無料になることが多いという点です。デメリットは逮捕直後に呼ぶことはできず、初回の接見が勾留後になるという点です。
また、弁護士を選ぶことができないので、傷害の弁護経験がない弁護士や熱意にかける弁護士が担当になることもあります。
③私選弁護人
傷害事件で逮捕される前に私選弁護人に依頼していれば、逮捕後にその弁護人を呼ぶことができます。呼び方は警察職員に対して、「〇〇法律事務所の〇〇弁護士を呼んでください。」と言うだけです。
私選弁護人の電話番号がわからなくても、警察職員の方で調べて電話してくれることが多いです。
私選弁護人に依頼していても逮捕されるとパニックになってしまい、弁護士や事務所の名前を忘れてしまうことがあります。
持ち物の中に私選弁護人の名刺があれば、警察職員に「〇〇に私選弁護人の名刺が入っていますので弁護士を呼んでください。」と言えば対応してくれます。
もっとも、逮捕前に私選弁護人に依頼している方は少ないと思われます。そのため、現実的な選択肢としては、当番弁護士か国選弁護人を呼ぶということになります
2.家族が弁護士を呼ぶ方法
傷害事件で逮捕された方の家族も弁護士を呼ぶことができます。家族が呼べる弁護士は、当番弁護士か私選弁護人です。国選弁護人は逮捕された本人しか呼べません。
①当番弁護士
家族が当番弁護士を呼ぶためには、弁護士会に電話して接見を依頼することになります。弁護士会は各都道府県にありますが、本人が逮捕された警察署がある都道府県の弁護士会に電話してください。
逮捕されている警察署がわからなければ、どの弁護士会に電話すればよいのか特定できないため、当番弁護士の依頼をすることはできません(管轄内の警察署であれば留置先を調査してくれる弁護士会もあります)。
また、午後5時過ぎ以降は留守番電話による対応となり、当番弁護士への連絡は翌日になります。
②私選弁護人
逮捕された方の家族は私選弁護人を呼ぶことができます。私選弁護人を呼ぶときの流れは以下の通りです。
1)電話やメールで法律相談を予約する
2)予約した日時に事務所を訪問し弁護士に相談する
3)依頼する
4)弁護士が接見に行く
まずは弁護士に1回だけ接見に行ってもらうこともあります(初回接見)。初回接見の依頼は事務所に行かなくても電話のみで行える事務所もあります。
ウェルネス法律事務所も初回接見についてはお電話での依頼にも対応しております。
【傷害事件で逮捕されていないときに依頼できる弁護士は?】 在宅で捜査されている被疑者は、当番弁護士や国選弁護人を利用することはできません。当番弁護士や被疑者国選弁護人を呼ぶためには、被疑者が逮捕・勾留されていることが要件となるからです。
そのため、弁護を希望する場合は私選弁護人に依頼するという選択肢しかありません。 |
傷害事件で逮捕されたらどの弁護士を呼ぶべき?
1.逮捕された方の家族
家族が呼べる弁護士は当番弁護士か私選弁護人ですが、弁護士費用を準備できる場合は、私選弁護人を呼ぶことをおすすめします。
当番弁護士の業務は1回接見すれば終了するため、被害者と示談交渉をしたり、裁判官に意見書を提出するといったことまではしてくれません。
また、当番弁護士は弁護士会によってランダムに選ばれるため、傷害事件の弁護経験がない弁護士が接見に来ることもあります。
私選弁護人であれば、家族がどの弁護士(事務所)に依頼するかを選ぶことができます。また、逮捕直後から最後まで継続的に活動できるというメリットもあります。
「まずは事件の内容を把握してから依頼するかどうか検討したい」という方は、初回接見のみ依頼することもできます。
2.逮捕された本人
事前に私選弁護人に依頼していなければ、逮捕された本人が逮捕直後に呼べる弁護士は当番弁護士だけです。
逮捕中は家族であっても本人と面会することができないため、仮に家族が私選弁護人を呼んでいたとしても、その弁護士が接見に来るまでは、私選弁護人がついていることを知ることができません。
私選弁護人が呼ばれているのかわからないままずっと待っているわけにはいかないため、逮捕されればまずは当番弁護士を呼んでください。
【傷害事件で逮捕されていないとき-どの弁護士にする?】 逮捕されていなくても、起訴(公判請求)されれば被告人国選弁護人を利用することができます。ただ、被告人国選弁護人は起訴「後」に選任されるため、不起訴に向けた活動をすることはできません。
軽傷の傷害事件のケースでは逮捕されずに在宅捜査になることも多々あります。このようなケースで不起訴を獲得するためには私選弁護人に依頼する必要があります。 |
傷害事件に強い弁護士とは?
傷害に強い弁護士の特徴は以下の3つです。
1.傷害の弁護経験が豊富な弁護士
傷害の弁護経験が豊富な弁護士であれば、示談交渉の方法や慰謝料の相場、釈放のポイント等を熟知していますので、ベストな結果を得られる可能性が高くなります。
多くの弁護士は民事事件をメインに活動しており、傷害のような刑事事件に精通しているわけではありません。
刑事事件は民事事件に比べて、本人や家族の人生に大きな影響を与えます。そのため、経験不足の弁護士に委ねるのは不安が残ります。
2.土日も活動してくれる弁護士
逮捕されれば検察官の勾留請求⇒裁判官の勾留質問を経て勾留されるか釈放されるかが決まります。これらの手続は土日であっても中断されず、平日と同じように進んでいきます。
示談交渉をする際も、被害者は平日は仕事をしていて忙しく、土日しか面談の機会がとれないことも少なくありません。土日も動いてくれる弁護士であれば、途切れのない弁護活動が可能になり安心です。
3.交通事故に詳しい弁護士
傷害事件は被害者にケガをさせたという点で交通事故に類似しており、慰謝料の相場についても、交通事故の相場を参考にすることが多いです。
交通事故は損害の項目ごとに慰謝料等の相場がクリアに決まっており、弁護士と裁判所で相場の情報が共有されています。
交通事故について詳しい弁護士であれば、被害者から理不尽な要求をされたときも、きちんと反論することができます。
傷害事件に強い弁護士の選び方
1.刑事事件に注力している事務所を探す
傷害事件のような刑事事件に精通している弁護士は決して多くはありません。そのため、「知人に紹介してもらった弁護士」や「自宅近くの弁護士」が傷害事件に強い弁護士である保証はありません。
最近は東京や大阪などの都市部を中心として、刑事事件に注力している事務所が増えてきました。
傷害は刑事事件の中では決して珍しい事件ではありませんので、刑事事件に注力している事務所であれば、傷害事件の弁護スキルが蓄積されていると思われます。
傷害事件で逮捕されている場合、弁護士選びはスピードが勝負です。インターネットであれば、刑事事件に注力している事務所を効率的に探すことができるのでおすすめです。
2.弁護士に対面で相談する
刑事事件に注力している弁護士事務所をピックアップしたら、予約をした上で、事務所で法律相談をしてみてください。
弁護士の説明に納得でき、信頼できそうであれば依頼するとよいでしょう。当日中に初回接見に行ってくれる弁護士がおすすめです。
弁護士費用についても必ず確認するようにしてください。ホームページではリーズナブルに見えても、事務所に行くと、びっくりするくらい高額の弁護士費用を提示されることがあります。
いきなり100万円以上の費用を請求された場合は、すぐに依頼するのではなく、他の事務所にも相談に行って見積もりをもらってから判断した方がよいでしょう。
傷害事件の弁護士費用
傷害事件の弁護士費用の相場は、逮捕されている場合で70万円から150万円になります。
逮捕されていない場合の弁護士費用の相場は、60万円から120万円です。逮捕されていなければ、弁護士が接見に行く必要がないので、逮捕された場合の弁護士費用より安くなります。
大手の弁護士事務所は、多額の広告費をかけてネットマーケティングに力を入れていることが多く、弁護士費用が高くなりがちです。弁護士費用を節約するためには、小規模な事務所にも注目するとよいでしょう。
⇒傷害事件の弁護士費用の相場は?示談との関係や節約のポイント
【ウェルネスの弁護士費用】 ウェルネスの傷害事件の弁護士費用は、逮捕されている場合は総額55万円(税別)になることが多いです。内訳は着手金が33万円、釈放の報酬金が22万円です。
逮捕されていない場合は総額44万円(税別)になることが多いです。内訳は着手金が22万円、不起訴の報酬金が22万円です。 |