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痴漢冤罪で不起訴・無罪を獲得するための弁護活動
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
痴漢冤罪は初動がポイント
痴漢をしていないのに痴漢したと言われた場合、現場での本人の言動が後々まで大きな意味をもつことになります。痴漢をしていないのであれば、現場から逃げたり、相手に謝罪したり、その場で示談の申入れをすることはご法度です。
そのようなことをすれば、後の刑事裁判で無罪を主張しても、検察官から「痴漢をしていないんだったらなぜ逃げたんですか?」等と追及され、裁判官にも「被告人の供述は信用できない。」と判断されてしまいます。
痴漢をしていないのであれば、その場で毅然と「やっていない。」と明言すべきです。スマートフォン等を使用してご自身や相手の発言を録音しておくのがベストです。
痴漢冤罪でも早期釈放を目指すべき
近年、「客観的な証拠がなく冤罪を生みやすい」という痴漢事件の特徴がクローズアップされています。
一昔前は、痴漢の容疑を否認した場合、長期の勾留を覚悟しなければなりませんでした。しかし、近年は、裁判官も痴漢冤罪の問題に目を向けるようになっており、逮捕されても勾留されない運用が定着しつつあります。
否認しているからとって釈放をあきらめる必要はありません。一日も早い釈放を目指すべきです。
痴漢冤罪の取調べで自白調書をとらせない
痴漢事件においては、多くの場合、被疑者と被害者(と称する人物)の発言以外に目ぼしい証拠はありません。そのため、「被疑者の言っていることが信用できるか否か」が大きなポイントになります。
例えば、被疑者が本当は痴漢をしていないにもかかわらず、取調べの際、捜査機関のプレッシャーに負けてしまい、「痴漢しました」と自白してしまったとします。
その場合、後の刑事裁判において、痴漢冤罪を主張しても、検察官から「取調べのときは自白してましたよね?」と突っ込まれ、裁判官にも信用性を疑われることになります。
痴漢事件の場合、当事者の供述以外に目ぼしい証拠がないことから、捜査機関は否認を続ける被疑者に対して、あの手この手を使って自白するよう働きかけます。
痴漢冤罪のケースで不起訴処分や無罪判決を目指すのであれば、このような働きかけに屈しないことが大切です。本人が捜査機関のプレッシャーに屈しないよう、弁護士がバックアップします。
痴漢冤罪では再現実験が有効
当事者の供述が信用できると認められるためには、動かしがたい事実と矛盾していないことが必要です。痴漢の(自称)被害者は、供述調書で、電車内での自身と被疑者との位置関係や被疑者にどのように触られたか等を述べています。
もし、被疑者と被害者の身長や腕の長さなどの動かしがたい事実を前提として、「被害者が述べている位置関係で」、「被害者が述べている方法で」痴漢をすることが物理的に不可能であったり、明らかに不自然であったりする場合、被害者の供述は信用できないということになります。
このような観点から、被害者が言っていることの信用性を検討するために、弁護士が、動かしがたい事実を前提として、被害者が述べている状況を物理的に再現できるか否かを検証します。
痴漢冤罪では被害者供述の不合理性を明らかにする
痴漢事件においては、「被害者の供述が信用できるか否か」も大きな争点となります。人間の記憶は時の経過とともに衰えていきますが、取調べが進むにしたがって、被害者の供述が詳しくなっていくことがあります。
また、複数の供述調書の間で、同一の場面についての供述が矛盾していることもあります。
これらは取調官による誘導や被害者の迎合的な態度を示唆するものです。被害者の供述調書を検討することにより、これらの不合理な変遷を明らかにし、法廷で被害者に反対尋問することにより、不合理な点をあぶり出します。
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