「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」とは?

このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。

 

 

 

 

1.「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者」とは?

禁錮以上の刑とは、禁錮刑・懲役刑・死刑を意味します。

 

 

「刑に処せられその執行を終わるまで」とは、裁判で刑罰が確定してから刑期を終えるまでの期間です。刑務所に服役中がこれにあたります。

 

 

仮釈放中の場合はまだ刑期を終えていないため、「その執行を終わるまで」に当たります。残りの刑期が経過すれば執行を終えたことになります。

 

 

2.「禁錮以上の刑に処せられ、執行を受けることがなくなるまでの者」とは?

まず「禁錮以上の刑に処せられ、執行を受けることがなくなる者」とは、以下の者です。

 

(1)刑の時効が完成した者

(2)大赦・特赦・刑の執行の免除があった者

 

 

これらの者は、「禁錮以上の刑に処せられ、執行を受けることがなくなるまでの者」から除外され資格制限が解除されることになります。このように(1)と(2)に該当する者を欠格要件から除外するための規定です。

 

 

この規定がないと、(1)と(2)に該当する者は、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者」には当たらないため、一生、資格制限に服さなければならなくなります(例:一生、選挙権・被選挙権がなくなる)。

 

 

そのような不合理な事態を回避するために、この規定が設けられました。これから(1)と(2)について詳しく解説していきます。

 

 

(1)刑の時効が完成した者

判決が確定するといつでも刑罰を執行できる状態になります。もっとも、刑罰が執行されないまま一定期間が経過すると、その後に刑罰を執行できなくなります。これが刑の時効です。

 

 

例えば、懲役刑が確定すると刑務所に収容されますが、逃亡して所在不明のまま刑の時効が完成すると、その後に刑務所に収容されることはなくなります。

 

 

刑の時効は刑罰の重さによって異なります。刑罰が重くなれば刑の時効も長くなります。

 

 

【刑の時効】

宣告された刑罰

時効期間

無期懲役・禁錮

30

10年以上の懲役・禁錮

20

3年以上10年未満の懲役・禁錮

10

3年未満の懲役・禁錮

罰金

拘留・科料・没収

 

刑の時効が問題となるのは、判決言渡しの時点で身柄拘束されていない被告人が、実刑判決を受けた後に逃走したケースですが、実際にはほとんどありません。

 

 

【判決言渡しの時点で身柄拘束されていな被告人】

①在宅起訴された被告人

②起訴後に保釈された被告人

 

 

(2)大赦・特赦・刑の執行の免除があった者

大赦・特赦・刑の執行の免除はいずれも恩赦の一部です。恩赦とは行政権が国の刑罰権を消滅させることです。

 

 

①大赦とは

大赦とは、対象となる犯罪について有罪の言渡しの効力を失わせることです。大赦により服役中の方は釈放されます。仮釈放中の方は保護観察が終了します。大赦は、対象となる犯罪について、政令に基づき一律に実施されます。

 

 

②特赦とは

特赦も有罪の言渡しの効力を失わせることですが、政令で一律に実施される大赦と異なり、特定の者について個別に審査した上で実施されます。

 

 

③刑の執行の免除とは

刑の執行の免除とは、刑の言渡しの効力は維持したまま、執行のみを免除することです。特定の者について個別に審査した上で実施されます。

 

 

無期懲役刑の受刑者が仮釈放されると死去するまでずっと保護観察を受けるのが原則ですが、更生したと認められた場合は、刑の執行が免除され保護観察が終了します。

 

 

(3)執行猶予中の方

執行猶予中の方は、執行猶予が取り消されない限り刑の執行が猶予されており服役していないので、「執行を受けることがなくなるまでの者」に該当します。

 

 

猶予期間が経過した場合は、刑法27条により、刑の言渡しが効力を失うため、禁錮以上の刑に処せられたことがないことになります。

 

 

そのため、「執行を受けることがなくなる」わけではなく、「禁錮以上の刑に処せられ」たことがないという理由で、欠格要件に該当しないことになります。

 

 

【刑法】

第二十七条 刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。

 

 

 

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