累犯とは?累犯加重や執行猶予との関係について

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

累犯とは

累犯とは、前科がある方が再び罪を犯したケースのうち、次の3つの要件にあてはまる場合をいいます。

 

(要件)

① 以前に懲役刑に処せられ刑務所に入っていたこと

② 懲役刑の執行を終わった日から5年以内に新たに罪を犯したこと

③ 新たな罪の判決が有期の懲役刑であること

 

【①の要件について】

以前に懲役刑の判決を言い渡されていても、執行猶予で刑務所に入っていない場合は、累犯にはなりません⇒もっと詳しく

 

【②の要件について】

「懲役刑の執行を終わった日」とは懲役刑の刑期が終わった日をいいます。仮釈放されても刑期が終わったわけではありませんので、仮釈放中の犯罪は累犯にはなりません。なお、5年の起算日は刑期が終わった日の翌日です。

 

【③の要件について】

新たな罪を犯しても罰金や禁固にとどまる場合は、累犯にはなりません。

 

*厳密にいうと他にも累犯にあたるケースがありますが、非常にマイナーでほとんどの方には関係ないと思われますので、本ページでは省略しています。

 

これらの要件を満たせば新たに犯した罪がいくつあっても累犯になります。新たに犯した罪が1つであれば再犯、2つであれば3犯、4つであれば3犯です。

 

3犯の場合は、犯罪①と犯罪②、犯罪②と犯罪③に加え、犯罪①と犯罪③も上記の要件を満たしている必要があります(4犯以上も同様です)。

 

累犯加重

累犯になると、懲役刑の上限が2倍に加重されます。下限は変わりません。3犯でも4犯でも2倍です。3倍、4倍になるわけではありません。

 

例えば、覚せい剤使用罪の懲役刑は懲役1月~10年ですが、累犯になると懲役1月~20年になります。

 

【累犯加重の理由】

①累犯者は犯罪傾向が進んでおり、強く非難されるべきである。

②さらなる犯罪を防ぐために保安上刑を重くする必要がある

 

上限が2倍になるからといって、実際に言い渡される刑罰も2倍になるわけではありません。ただ、累犯にあたらないケースと比べると重い刑罰が言い渡されるでしょう。

 

執行猶予の前科があっても累犯にはならない

懲役の前科があっても、執行猶予がついていれば、新たに罪を犯しても累犯にはなりません。以下2つのケースに分けてみていきます。

 

【執行猶予期間が経過した後に新たな罪を犯した場合】

猶予期間の経過により、刑の言渡しの効力がなくなっているため、「懲役刑の執行を終わった」(累犯の要件②)とは言えず、累犯にはなりません。

 

【執行猶予中に新たな罪を犯した場合】

執行猶予によって刑が執行されずにすむわけですから「懲役刑の執行を終わった」(累犯の要件②)ことにはならず、累犯にはなりません。

 

ただ、執行猶予が取り消されて服役し、仮釈放も終えれば、累犯の前科になります。

 

累犯でも執行猶予の余地がある!

累犯についても執行猶予についても、以下のように、「刑の執行を終わった日から5年以内」という縛りがあります。

 

累犯

懲役刑の執行を終わった日から5年以内に新たに罪を犯したこと

執行猶予

禁錮以上の刑の執行を終わった日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者


執行猶予の要件の「刑に処せられた」というのは「裁判で判決を受けた」という意味です。そのため、以下のケースのように、累犯にはなるが、法律上、執行猶予が可能なケースもあります。

 

2015年7月31日

満期出所

 =刑の執行終了

2020年7月1日

新たな罪を犯す

刑の執行終了から5年以内

2020年9月29日

判決言渡し

刑の執行終了から5年経過

 

法律上、執行猶予が可能というだけで、必ず執行猶予になるわけではありません。執行猶予を獲得するためには、説得的な再犯防止プランを裁判所に示したり、被害者がいる犯罪であれば示談をする等といった弁護活動が必須となるでしょう。

 

累犯と一部執行猶予

覚せい剤や大麻などの違法薬物で起訴された場合は、累犯にあたれば、ほとんどのケースで、前刑の執行を終わった日から5年以内に懲役判決を受けることになり、執行猶予をつけることが法律上不可能になります。

 

ただ、刑の一部について執行猶予を獲得できる見込みは十分にあります。

一部執行猶予

 

一部執行猶予をつけるためには、「禁固刑・懲役刑の執行を終えた日から5年以内に禁固刑・懲役刑に処せられたことがない」ことが必要ですが、薬物犯罪についてはこの要件が適用されないため、累犯であっても、一部執行猶予を獲得できる余地は十分にあります。

 

累犯と保釈

保釈には、一定の例外に該当しない限り認められる権利保釈と裁判官の裁量で認められる裁量保釈の2つがあります。

 

被告人が長期3年以上の懲役・禁固にあたる罪を常習的に犯している場合は、上記の例外にあたり、権利保釈は認められません。

 

累犯者が保釈請求をした場合、常習性があるとして権利保釈が認められないことが多いです。

 

ただ、その場合でも裁量保釈の余地はありますので、累犯になるからといって保釈をためらう必要はありません。ウェルネスの弁護士も累犯のケースで保釈を獲得した実績があります。

裁量保釈とは?保釈につながる5つの事情を弁護士が解説

 

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