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淫行を弁護士が解説-なぜバレる?初犯は罰金?不起訴になる方法は?
☑ 淫行の意味は?
☑ 淫行の初犯は罰金になる?
☑ 淫行の罰金の相場は?
☑ 淫行の逮捕率・起訴率は?
☑ 淫行で不起訴を獲得するには?
このような疑問に答えるため、淫行事件に詳しい弁護士 楠 洋一郎が淫行の加害者側が知っておくべきことを解説しました。ぜひ参考にしてみてください。
淫行とは?判例をもとに弁護士が解説
淫行は青少年(18歳未満の者)と「淫らな」性行為をすることです。
青少年を対象とする全ての性行為を淫行として処罰すると、健全な恋愛に伴う性行為まで処罰の対象となり、行きすぎになってしまいます。そこで、最高裁判所は、淫行を次のように定義し、処罰の範囲を限定しました。
【「淫行」についての最高裁の判例】 淫行とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいう(最判昭和60年10月23日)。 |
性交類似行為とは手淫や口淫のことです。上のような意味での淫行に該当する場合に限り、処罰されています。
淫行と青少年健全育成条例違反
淫行は都道府県の条例によって禁止されています。淫行を禁止する条例は「青少年健全育成条例」とか「青少年保護育成条例」と名付けられていることが多いです。
そのため、淫行の正式な罪名は「青少年健全育成条例違反」とか「青少年保護育成条例違反」になります。淫行の罰則は条例によって異なりますが、2年以下の懲役または100万円以下の罰金とされていることが多いです。
地域 | 条例 | 罰則 |
東京 | 東京都青少年の健全な育成に関する条例 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
埼玉 | 埼玉県青少年健全育成条例 | |
神奈川 | 神奈川県青少年保護育成条例 | |
千葉 | 千葉県青少年健全育成条例 |
【東京都青少年の健全な育成に関する条例】
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【埼玉県青少年健全育成条例】
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【神奈川県青少年保護育成条例】
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【千葉県青少年健全育成条例】
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淫行と児童買春の違いは?
児童買春は対価を払って(または払う約束をして)、18歳未満の児童と性交や性交類似行為をすることです。これに対して、淫行では対価は要件とされていません。
淫行は、金銭などを性行為の対価としていないという点で、児童買春より悪質性が低いとみなされています。そのため、刑罰も児童買春(5年以下の懲役または300万円以下の罰金)より軽くなっています。
淫行はなぜバレる?
淫行は青少年の同意を得てこっそり行うものでありバレようがないとも思えます。もっとも、実際には刑事事件になり逮捕されたり起訴されるケースが少なくありません。淫行が警察に発覚する主なルートは以下の4つです。
1.職務質問
都市部のホテル街では、淫行や児童買春を取り締まるために、頻繁に警察官が巡回しています。
青少年と淫行した後、一緒にホテルから出て街中を歩いているときに、巡回中の警察官に職務質問され、淫行が発覚することがあります。
2.青少年の親からの通報
児童買春のケースでは、児童にお金を払って1回だけ性行為をして、その後は一切連絡をとらないことが多いです。
これに対して、お金が絡まない淫行の場合は、お互いに好意をもっており、継続的に何度も会っているうちに、青少年の親にばれてしまい、警察に通報されることがあります。
3.青少年の補導
淫行の相手となる青少年は、寂しさや性に対する好奇心から、出会い系アプリで不特定の男性とコンタクトをとり、同時並行的に交際していることがあります。
上記1や2のルートで青少年が補導されたり、深夜に外出するなどして補導された場合、青少年のスマホから芋づる式に他の男性の淫行が発覚することがあります。
4.美人局
青少年が仲間の男性とタッグを組んで、出会い系サイト等で知り合った男性を言葉巧みに誘い出し、性交後に「17歳です。警察に言いますよ。」等と言って、仲間の男性を呼び出し金銭を要求するケースがあります。
このようなケースで、淫行した男性が自ら警察に通報して発覚することがあります。
淫行の逮捕率・勾留率は?
1.淫行の逮捕率
2023年の検察統計年報によれば、淫行を含む青少年健全育成条例違反の逮捕率は25%です。4人に1人が逮捕されていることになります。
2.淫行の勾留率
逮捕の期間は最長3日ですが、逮捕後に勾留されると原則として10日にわたり拘束されます。勾留が延長されると、さらに最長10日にわたり拘束が続きます。
淫行を含む青少年健全育成条例違反で勾留されるケースは77%です。逮捕された方の4人に3人が勾留されている状況です。勾留が延長されるケースは62%です。
淫行の不起訴率は?
2023年の検察統計年報によれば、淫行を含む青少年健全育成条例違反で不起訴になる確率は52%です。起訴された48%のうち略式起訴が86%、正式起訴が14%です。
淫行の初犯は罰金?相場はいくら?
初犯の方が淫行で捕まった場合、略式起訴され罰金になることが多いです。
⇒略式裁判とは?罰金の金額や払えない場合について弁護士が解説
略式起訴されれば、略式裁判という簡易な手続で審理され罰金刑になります。略式裁判では、裁判官は検察官から出された証拠書類のみを検討します。
略式裁判では法廷が開かれませんので、被告人が出廷することもなく、裁判を受けたという実感を持ちにくいといえるでしょう。
とはいえ、略式裁判もれっきとした裁判ですので、罰金になれば前科がつきます。淫行で略式起訴されたときの罰金の相場は30万円です。前科を避けるためには、不起訴処分を獲得することが必要です。
淫行の時効は?
淫行の時効は3年です。3年たてば起訴することができなくなるので逮捕されることもありません。
淫行をした場合、1年以上たってから逮捕・起訴されることもあります。淫行の心当たりのある方は、たとえ警察から連絡がきていなくても、自首も含めて弁護士に相談した方がよいでしょう。
淫行の関連犯罪
1.撮影罪
淫行中やその前後に、13歳未満の者の性的姿態等(性的な部位や性行為中の姿態など)を撮影したり、13歳以上16歳未満の者の性的姿態等を5歳以上年長の者が撮影すると撮影罪が成立します。相手の同意があっても撮影罪になります。
罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
2.児童ポルノ製造罪
淫行中やその前後に、18歳未満の児童の胸や性器等を撮影すると、児童ポルノ製造罪が成立します。相手の同意があっても児童ポルノ製造罪になります。罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
3.不同意わいせつ罪
13歳未満の者にわいせつ行為をした場合は、青少年健全育成条例違反ではなく、不同意わいせつ罪が成立します。
13歳以上16歳未満の者に、5歳以上年長の者がわいせつ行為をした場合も同様です。相手の同意があっても不同意わいせつ罪になります。罰則は懲役6か月から10年です。
4.不同意性交等罪
13歳未満の者に性交等をした場合は、青少年健全育成条例違反ではなく、不同意性交等罪が成立します。
13歳以上16歳未満の者に、5歳以上年長の者が性交等をした場合も同様です。相手の同意があっても不同意性交等罪になります。罰則は懲役5年から20年です。
淫行になる?ならない?弁護士が解説
1.過失でも淫行になる?
青少年健全育成条例の多くは、過失によって18歳未満であることを知らなかった場合でも処罰を免れることができないとしています。
保険証や学生証で年齢確認をすることなく、口頭で「18歳です。」と言われて信じた場合は過失があると言えるでしょう。
2.高校生でも淫行になる?
高校生だからといって淫行にならないというわけではありません。ただ、青少年健全育成条例の多くは、18歳未満の青少年が淫行をした場合は処罰しないと定めています。
そのため、18歳未満の高校生であれば、淫行をしても逮捕されたり少年審判を受けることはありません。
ただ、警察に補導されたり、ぐ犯(虞犯)として取り扱われる可能性はあります。
⇒ぐ犯(虞犯)とは?ぐ犯事件の流れや対応の仕方について弁護士が解説
3.真剣交際でも淫行になる?
青少年健全育成条例は、18歳未満の青少年に対する性行為一般を処罰するものではなく、①心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性行為や、②青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性行為に限って処罰しています。
青少年と真剣に交際していれば、たとえ性行為をしても、上記の要件を満たさず淫行にはなりません。次のような事情があれば、真剣交際と認定されやすくなります。
①児童と年齢が近い
②性行為をするまでに時間をかけている
③お互いの親に紹介している
④性行為だけではなく普通のデートもしている
⑤将来の2人の関係について話し合っている
淫行で不起訴を獲得するために
1.示談をする
淫行で不起訴を獲得するためには、淫行の相手となった青少年と示談をした方がよいでしょう。
淫行は、性的な行為の意味を十分に理解していない青少年と淫らな性行為をすることです。淫行により青少年の健全な育成に有害な影響を与えたことから、示談をする意味はあるといえるでしょう。示談交渉は青少年の保護者との間で行います。
ただ、淫行条例は、「青少年の健全な育成を可能とする社会全体」を保護している面もあることから、青少年「個人」と示談したからといって不起訴に直結するわけではありません。
弁護士としては、示談が正当に評価されるよう、淫行条例の目的は、児童個人を性的な搾取から保護することであって、社会的利益は児童個人の保護を通じて達成される二次的なものであることを強調すべきです。
2.再発防止策を実行する
青少年との淫行は再犯事例が多いことから、被疑者に性依存症のクリニックに通ってもらったり、カウンセリングを受けてもらうことで再発防止を徹底することが考えられます。本人にこれらの取組み状況を書面にまとめてもらいます。
最も身近な存在である家族にも、本人をどのように監督していくかを書面にまとめてもらいます。弁護士がこれらの書面を検察官に提出します。
ウェルネスの弁護士は淫行の弁護経験・実績多数です。淫行事件でお困りならお気軽にウェルネス(03-5577-3613)へご相談ください。
淫行に強い弁護士が解説!