無免許運転で証拠不十分になり得るケースを弁護士が解説

無免許運転で証拠不十分になり得るケースを弁護士が解説

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しました。

 

 

 

無免許運転の証拠にはどのようなものがある?

1.無免許運転の要件

犯罪が成立する要件のことを構成要件といいます。無免許運転の構成要件は次の3つです。

 

 

①運転免許を有しないこと

②車を運転したこと

③無免許であることを認識していたこと

 

 

2.無免許運転の証拠

上記の要件に対応して、無免許運転の証拠には次のようなものがあります。

 

 

①警察の照会書に対する公安委員会の回答書

②無免許運転を発見した警察官の捜査報告書または現行犯逮捕手続書

③①の回答書、本人の供述調書、関係者の供述調書

 

 

①の公安委員会の回答書には事件当日に運転免許を有していなかったことが記載されています。

 

 

②の捜査報告書や現行犯逮捕手続書は、無免許運転を検挙した警察官によって作成され、どのような経緯で無免許運転を見つけたのかが記載されています。

 

 

①の回答書には、無免許になった原因や年月日も記載されています。これによって無免許の故意を推認できる場合があります(詳細は後述)。

 

 

本人が無免許であることを認めていれば、本人の供述が故意を裏づける証拠になりますし、本人が否認していても、家族ら関係者が「本人が無免許だと言っていました。」と供述していれば、故意があったことの裏づけ証拠になります。

 

 

無免許運転で証拠不十分になり得るケース

運転免許を有しないことは客観的な事実ですので争いようがありません。もっとも、運転していたことと無免許の認識については、争うことにより証拠不十分となる場合があります。

 

 

具体的なケースを見ていきましょう。

 

 

1.運転していたことについて証拠不十分となるケース

無免許運転は警察官によって現行犯で検挙されることがほとんどですので、被疑者が車を運転していたことを争うのは難しいでしょう。

 

 

もっとも現行犯で捕まっていない場合は、自分が車を運転していたことについて争う余地があります。具体的には以下のケースです。

 

 

人通りがなく付近に防犯カメラもない路上で物損事故を起こした。かけつけた警察官に「あなたが運転していましたか?」と言われて黙秘した。

 

 

このようなケースで黙秘を続けた場合、他に被疑者が運転していたことを裏づける証拠がなければ、証拠不十分で不起訴になる余地があります。

 

 

なお、黙秘権の行使は冤罪のケースに限られません。自分が犯罪行為をしていた場合であっても、黙秘権を行使することは可能です(ただし嘘をつく権利まではありません)。

 

 

デメリットは、黙秘することによって逮捕・勾留される可能性が高まるということです。

 

 

通常は、無免許運転で逮捕されても勾留前に釈放されますが、黙秘している場合は、検察官や裁判官に「証拠隠滅のおそれがある」と判断され、勾留される可能性が高くなります。

 

 

勾留されれば原則10日・最長20日にわたって身柄拘束され、その間に検察官によって起訴されるか、釈放されることになります。

 

 

2.無免許の認識について証拠不十分となるケース

公安委員会の回答書を見れば、いつ、どのような原因で無免許になったのかがわかります。

 

 

免許取消や免許停止で無免許になった場合、知らないうちに免許取消や停止になるとは考え難いため、無免許の認識があったと推認されます。

 

 

免許の更新を忘れていたために失効した場合、事件当日の何か月も前に失効していれば、特段の事情がない限り、「無免許であることを知りませんでした」と言っても通らないでしょう。

 

 

もっとも、失効したのが検挙された日の数日前であれば、失効に気づいていなかったとしても不自然ではありません。

 

 

実際に気づいていなかった場合、「うっかりしていてまだ運転免許があると思っていました。」等と容疑を否認すれば、証拠不十分で不起訴となる余地があります。

 

 

 

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