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公務員が時速80キロ以上のスピード違反をするとどうなる?
「首都高速でオービスを光らせてしまった」
「警察に呼ばれて行ったら85キロのスピード違反だった」
「さっさと罰金を払って終わらせよう。痛い出費だな。」
このように考えている公務員の方がいるかもしれません。しかし、ちょっと待ってください。公務員が時速80キロ以上のスピード違反をした場合、ご自身や家族の人生に重大な影響があります。
このページでは、公務員が時速80キロ以上のスピード違反をした場合の処遇と失職を回避するための方法について、弁護士 楠 洋一郎が解説しています。ぜひ参考にしてみてください!
【公務員】時速80キロ以上のスピード違反は懲役刑が原則
超過速度が時速80キロ以上のスピード違反をすると、たとえ初犯であっても公判請求され、検察官から懲役刑を請求されます。ただ、初犯であればいきなり実刑になることはなく執行猶予がつきます。
以上の運用は公務員であっても同様です。
【国家公務員】スピード違反で懲役になると失職する
1.懲役になると失職
国家公務員が時速80キロ以上のスピード違反をして公判請求された結果、執行猶予つきの懲役刑となった場合は失職します。
2.失職の根拠となる規定
国家公務員の失職について、法律は以下のように定めています。
【国家公務員法76条】
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【国家公務員法38条1号】
*執行猶予中の場合は赤字部分に該当します。 |
国家公務員法76条の文言上は、人事院規則に失職の例外が定められているかのように記載されていますが、現在に至るまでそのような例外規定は定められていません。
そのため、公判請求されて執行猶予付きの懲役刑が確定した時点で、当然に失職することになります。失職は懲戒処分ではないため、反論の機会も与えられず自動的に失職します。
退職金についても(一部)不支給とされる可能性が高いです。
【地方公務員】スピード違反で懲役になると失職する
1.懲役になると失職
地方公務員が時速80キロ以上のスピード違反をして公判請求された結果、執行猶予付きの懲役刑となった場合も失職します。
2.失職の根拠となる規定
地方公務員の失職について、法律は以下のように定めています。
【地方公務員法28条4項】
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【地方公務員法16条1号】
*執行猶予中の場合は赤字部分に該当します。 |
地方公務員法28条4項には「条例に特別の定めがある場合を除く」と規定されており、失職について例外の余地が残されています。
「条例に特別の定めがある場合」をみていきましょう。
3.東京都の条例
東京都の条例では次のように規定されています。
【職員の分限に関する条例8条】
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この規定によれば、以下の3つの要件を全て満たした場合は、情状により失職を回避できる余地があります。
①禁錮刑
②過失犯
③執行猶予付きの判決
スピード違反に禁錮刑はありませんので、①の要件を満たしません。
また、制限速度を80キロ以上も超えたスピードで車を運転していながら、スピード違反の故意がない(=過失)とは言えませんので、②の要件も満たしません。
そのため、職員の分限に関する条例によっても失職を回避できないことになります。失職に伴い退職金も(一部)不支給となる可能性が高いです。
【スピード違反と故意】 スピード違反の認識(故意)があるというためには、自分が運転している車の速度を正確に認識している必要はありません。また、道路の制限速度を正しく認識している必要もありません。
ばく然と「制限速度を超えて車を走行させている」という認識があれば、スピード違反の故意が認められます。 |
4.まとめ
その他の自治体でも東京都と同様の規定があることが多いです。神奈川や埼玉では県の条例レベルでは、失職の例外規定はありませんが、市の条例などで規定されています。
多くの自治体で失職の例外を過失犯に限定していますが、超過速度が時速80キロ以上のスピード違反を過失犯ということはできないでしょう。
そのため、公判請求され執行猶予付きの懲役刑になれば失職することになります。
公務員がスピード違反で失職を回避するために
1.検察官に略式起訴を求める
公務員は、たとえ執行猶予付きでも懲役刑になれば、失職を回避することはできません。退職金も(一部)不支給とされる可能性が高く、本人や家族にとって極めて過酷な事態となります。
そのため、公判請求されれば甚大な不利益が生じることを弁護士が意見書に記載して、検察官に対し略式起訴するよう求めます。略式起訴であれば罰金で済むため、失職を回避できます。
⇒略式裁判とは?罰金の金額や払えない場合について弁護士が解説
2.裁判官に罰金刑を求める
もし検察官に公判請求された場合は、弁護士が裁判官に対して、懲役刑になると被告人が失職せざるを得ないことや退職金が(一部)不支給になりうることを説明し、罰金刑を求めます。
公務員は公判請求された時点で起訴休職となり、給与の一部しか支給されなくなるため、既に社会的な制裁を受けているといえます。この点についても弁護士が裁判官に指摘します。
ウェルネスの弁護士は時速80キロ以上のスピード違反で以下の実績があります。
①公務員のケースで公判請求を回避
②正式裁判で罰金刑を獲得
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