スピード違反のご質問

Q1-1:先日、首都高速(中央環状外回り)で80キロのスピード違反をしてしまいました。今後どのような流れで手続きが進んでいくのでしょうか?

霞ヶ関の警視庁交通部交通執行課から呼び出しがあります。

 

 

Q1-2:警察で何をするのですか?

①取調官からオービスで撮影した写真を見せられます。写真の右横に、違反車両の速度、制限速度、違反の年月日、違反場所などが記載されています。それらを確認するよう言われ、間違いなければ確認欄に署名・捺印するよう求められます。

 

 

②身上調書と事件調書を作成します。身上調書は事件とは関係のない調書で、出生地、家族構成、学歴・職歴、運転経歴などが記載されます。事件についての調書には、スピード違反をした経緯、当日の走行経路、運転していた車の状態(故障の有無)などが記載されます。

 

 

Q1-3:その後どうなるのですか?

事件の記録が九段下にある東京地方検察庁交通部に送られます(「書類送検」といいます)。その後、担当の検察官から呼び出しがあります。

 

 

Q1-4:検察庁で何をするのですか?

事件についての取調べを受け、検察官によって調書が作成されます。調書の内容は、基本的には警察で作成した事件調書と同じです。

 

 

Q1-5:スピード違反をしてから検察庁で取調べを受けるまで時間的にどれくらいかかりますか?

早くて1ヶ月半程度です。遅いと半年以上かかることもあります。

 

 

Q1-6:検察庁で取調べを受けた後どうなるのですか?

検察官が公判請求するか略式請求するかを決めます。

 

 

Q1-7:私は国家公務員ですが、公判請求や略式請求をされると、仕事に影響はありますか?

1.公判請求された場合

スピード違反の刑罰は6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金です。時速80キロ以上のスピード違反ですと、多くの場合、執行猶予付きの懲役刑が科されることになります。懲役刑の場合、執行猶予か実刑かを問わず、判決が確定した時点で、失職となります(国家公務員法76条、同法38条1号)。

 

2.略式請求された場合

略式請求された場合、懲役刑が科されることはありません。罰金刑が科されることになります。罰金刑の場合は、懲役刑とは異なり、当然に公務員の職を失うわけではありませんが、何らかの懲戒処分を受ける可能性はあります(国家公務員法82条3号)。

 

 

人事院の「懲戒処分の指針について」によれば、著しいスピード違反の場合、「停職、減給又は戒告とする。」とあります。過去にもスピード違反で懲戒処分を受けたといった特別の事情がない限り、スピード違反だけで懲戒免職となることはまずないでしょう。

 

 

Q1-8:懲役刑を宣告され失職することは何としても避けたいです。どのようなことをすればよいのでしょうか?

公判請求するか略式請求するかを決めるのは検察官です。そこで、ご本人にとって有利な事情があることを検察官に主張し、略式請求で処理するよう求める必要があります。

 

 

Q1-9:具体的にどのようなことをすればよいのですか?

検察官に以下のような資料を提出します。

①ご本人作成の反省文

②自動車の売買契約書(自動車を売却した場合)

③申請による運転免許の取消通知書(運転免許を返納した場合)

④寄付をしたことの証明書(贖罪寄付をした場合)

⑤ご家族作成の誓約書、陳述書

 

 

さらに、検察官に対し以下の事情を主張します。

①スピード違反をした経緯に情状酌量の余地があること

②懲役刑となった場合失職することになり本人や家族にとって極めて過酷な事態となること

③前科・前歴、交通違反歴がないこと

④今後の更生計画が整っていること

 

 

Q1-10:既に公判請求されている場合はどうすればよいのでしょうか?

裁判官に対してQ1-9で挙げた活動を行います。さらに、法廷で、ご本人の口から、スピード違反をするに至った経緯、現在の心情、具体的な再発防止策などを語ってもらいます。また、ご家族にも情状証人として出廷してもらい、裁判官に、今後の監督プランなどを話してもらいます。

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Q1-11:スピード違反をしてしまったことは反省していますが、当日、娘が高熱を出しており、一刻も早く病院に搬送するためやむを得ずスピードを出してしまいました。このような場合でも、処罰を受けるしかないのでしょうか?

娘様に生命の危険が迫っていた等、スピード違反をしたことにつき、真にやむを得ない事情があれば、緊急避難として不起訴となる可能性があります。詳しくは弁護士にご相談ください。

 

 

Q1-12:行政処分はどのようになりますか?

免許停止などの前歴がない場合、12点(90日間の免許停止)となります。

 

 

Q2:先日、75キロのスピード違反をしてしまいました。私は現在、株式会社を経営していますが、今後も経営に携わることができるのでしょうか?なお、前科・前歴はありません。

裁判で実刑判決が下されれば、株式会社の取締役になることはできません(会社法331条1項4号)。ただ、スピード違反の場合、初犯の方に実刑判決が下されることはまずありません。罰金あるいは執行猶予付きの判決であれば、取締役の資格に影響はありません。

 

 

Q3-1:高速道路でオービスが光ったのでスピード違反をしたと思い減速しました。ただ、後から思い返すと、その手前のオービスも光っていたような気がします。もし、2か所のオービスでスピード違反が検知されていた場合は、2つの道路交通法違反が成立することになるのでしょうか?

オービス間の距離や道路状況の違い等を考慮して、新たな危険が発生したと考えることができれば、2つの道路交通法違反が成立します(最高裁決定平成5年10月29日)。

 

 

オービス間の距離が長くなればなるほど、新たな危険が発生したと評価されやすくなります。最高裁の事案ではオービス間の距離が約20キロメートルで2つの道路交通法違反が成立するとされました。

 

 

また、2地点間の道路状況が異なれば異なるほど、新たな危険が発生したと評価されやすくなります。道路状況の違いは、2地点間のインターチェンジやジャンクション、トンネルの有無、上り坂や下り坂、カーブの状況などによって判断されます。

 

 

Q3-2:2つの道路交通法違反が成立する場合、刑罰も2倍になるのでしょうか?

併合罪といって懲役刑の長期が1.5倍、罰金刑の長期が2倍になり、その範囲内で処罰されます。スピード違反はか月以下の懲役または10万円以下の罰金ですが、2件になると、か月以下の懲役または20万円以下の範囲で処罰されます。

 

 

 

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